コラム

成年後見人等に対する報酬助成制度を知っていますか?

資力のない方も安心して第三者後見人を利用できるために

介護保険制度は「措置から契約へ」のスローガンの下、社会福祉サービスを契約に基づき給付するものへと転換されましたが、成年後見制度は、判断能力が十分でないなど自ら上記契約を行うことが難しい方(高齢者、障害者等)をサポートするために導入されました。

高齢者社会が進むとともに、虐待、消費者被害、対応の難しい障害への対応など、いわゆる専門職後見人への需要が高まっています。他方、後見人への報酬は被後見人が負担することから、資力のない方が専門職後見人を付けられないという事態を防ぐため、厚労省や東京都では、後見人の報酬を助成する制度(いわゆる「支援事業」や「あんしん事業」といわれる報酬助成制度)が設けられています。

しかし、実際には、上記利用を首長申立事案や生活保護受給者に限定するなど限定的な運用をする自治体が少なくありませんでした。

そこで、資力のない方でも安心して第三者後見人を付けられるよう、第二東京弁護士会を含む東京三弁護士会と、東京司法書士会、リーガルサポート及び社会福祉士会の協働ににより、東京23区及び多摩地区の各自治体に対し上記報酬助成制度の十分な運用の働きかけを行いました。

これにより、首長申立の限定解除など報酬助成制度運用の拡充の動きが広まっています。
(例えば23区では、従前、13自治体で首長申立に限定していましたが、3自治体はこれを解除する採択、1自治体は趣旨採択、5自治体は請願書又は陳情書受理予定、その他3自治体も要綱改訂方向など)

今後は、上記活動に従った要綱変更や予算及び運用状況についても検証し、資力のない方でも安心して専門職後見人を利用できるよう継続して活動していきたいと思います。