コラム

遺留分ってどんなもの?②

前回(2015年6月24日コラム)は、遺留分を持っている人は誰か、ということをお話しました。

まず前回のおさらいです。

遺留分を持っている人は誰でしょうか?

遺留分を持っている人は、兄弟姉妹を除く法定相続人です。

そもそも法定相続人とは? 

●配偶者は常に法定相続人になります。

●第一順位相続人:子(実子、養子)

●第二順位相続人:直系尊属(両親、祖父母)

●第三順位相続人:兄弟姉妹

すると、第三順位の兄弟姉妹を除く、

①配偶者

②子(実子、養子)

③両親(②の子がいない場合に相続人になります)

に遺留分が認められます。

※兄弟姉妹は法定相続人なのですが、遺留分は認められていないことに注意が必要です。

たとえば全財産を法定相続人の誰か一人にだけ相続させる遺言が発見されたような場合、遺留分がある人は、遺留分相当額の取得を主張することができます。

では、遺留分がある人は、いくら取得できるのでしょうか。

遺留分の割合・計算方法について知っておきましょう。

【ステップ1】

相続した財産に遺留分割合をかけて、遺留分の対象となる財産の額を算出します。

(1)配偶者、第一順位相続人(子)が相続人の場合、遺留分割合1/2

(2)第二順位相続人(親、祖父母)のみが相続人の場合、遺留分割合1/3

※ここでいう相続財産の1/2とか1/3は、相続財産全体に対する割合であり、個々の共同相続人1人1人に対して与えられる割合ではありません。

【ステップ2】

ステップ1で出た遺留分の対象となる財産の額に、法定相続分割合をかけて、各自の取得額を算出します。

例1)Aが亡くなり、Aの妻Bと、子C、子Dが法定相続人の場合に、Aは全財産をCのみに相続させる遺言を作成していた場合、B、C、Dの遺留分割合は2分の1、Bの法定相続分は1/2、CとDの法定相続分は各自1/4ですから、

Bの遺留分は、相続財産×(遺留分割合1/2)×(法定相続分1/2)×=1/4

Dの遺留分は、相続財産×(遺留分割合1/2)×(法定相続分1/4)×=1/8


例2)Aが亡くなり、法定相続人として直系尊属である父B・母Cのみがいたという場合、直系尊属のみが法定相続人である場合に当たるので、BCの遺留分割合は、相続財産の3分の1となり、法定相続分は各自2分の1ずつですから、

Bの遺留分は、相続財産×(遺留分割合1/3)×(法定相続分1/2)×=1/6

Cの遺留分は、相続財産×(遺留分割合1/3)×(法定相続分1/2)×=1/6

※遺留分を計算する基礎となる相続財産を正確に算出するためには、生前に贈与を受けた財産等も考慮して計算する必要があります。

計算方法がわからない場合には、弁護士会の電話相談や、法律相談を受けるのもよいでしょう。

    第二東京弁護士会(ゆとり~な)

    ・高齢者・障がい者電話法律相談

     電話番号:03-3581-9110

    (実施日時:月曜日~金曜日 午前10時~正午、午後1時~午後4時)

    ・高齢者・障がい者法律相談予約電話番号:03-3581-2250

    (毎週木曜日午後1時~午後4時 霞ヶ関弁護士会館で実施、出張相談も実施しています。)

自分に遺留分があることが分かった!という場合、どのようにして遺留分の権利を行使すればよいのか、次回にお話しましょう。