コラム

遺留分ってどんなもの?③

前回までのコラムでは、遺留分を持っているのは誰か、遺留分の額はどうやって計算すればよいのか、お話ししました(2015624日、2016724日)。

では、遺留分がある場合には、誰にどうやって請求すればよいのでしょうか?

まず、遺留分を「誰に」請求するのかが問題です。

例えば、相続人が、亡くなった人の子のAさんとBさんの二人しかいない場合で、「遺産を全部Aにあげる」という遺言があるとします。そうすると、前回までのコラムのとおり、子であるBさんには、(遺留分割合1/2)×(法定相続分1/2)=遺産の1/4 の遺留分があります。このとき、Bさんは誰に遺留分を請求するのでしょうか?

「それはモチロン、Aさんでしょう?」そうです。遺産をたくさんもらうことになったAさんに対して、請求します。

つまり、遺留分を請求する相手は、大まかに言えば、「遺言によって多く遺産をもらった人」と考えればいいわけです。

ただし、遺言ではなく生前の贈与によって財産をもらった人や、遺産をもらった人からその遺産を譲り受けた人に対しても、請求できる場合があります。

では、誰に請求すればよいのか分かったところで、今度は「どうやって」請求すればよいか考えましょう。

実は、請求の方法には特に決まりはなく、口頭で請求することもできます。

しかし、遺留分は1年で時効にかかりますので、いつ請求をしたかがきちんと記録に残る方法で請求をするのが一般的です。具体的には、配達証明付きの内容証明郵便や、家庭裁判所に遺留分減殺請求の調停を申し立てることによって行います。

3回のコラムで、遺留分は「誰が」「いくら」「誰に」「どうやって」請求すればよいのかをお伝えしました。遺留分の問題は実に複雑で、細かいルールはまだまだたくさんあります。これまでのコラムで、自分も遺留分を請求できる!と思われた方は、ぜひ、専門家に相談して詳しく確かめてみて下さい。