コラム

成年後見と費用

 成年後見制度の利用を検討する場合,まず,気になることは,どのような手順で申立てを行えばよいかということと,成年後見制度を利用する場合に,どのくらいの費用が必要になるかということだと思います。

 そこで,以下では,成年後見を利用した場合(東京家庭裁判所に成年後見の申立てを行った場合。)に必要となる主な費用について,簡単に説明します。

1 裁判所に納める費用

  成年後見の申立ては,本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。例えば,本人の住所地が東京23区内であれば,東京家庭裁判所が管轄となります。

 そして,申立てにあたっては,一定の費用を裁判所に納める必要があります。

 具体的には,手数料や郵便切手代などとして,6600円の費用が必要となります。

  また,場合によっては,本人の精神状況を確認するために,裁判所が鑑定を実施する場合があり,その際には,鑑定費用を裁判所に予納する必要があります(なお,鑑定が実施された件数は全体の約9.2%と多くはなく,鑑定費用も,全体の約97.8%が10万円以下との発表がされています(成年後見関係事件の概況(平成28年1月~12月)http://www.courts.go.jp/vcms_lf/20170324koukengaikyou_h28.pdf)。

2 資料収集の費用

  成年後見の申立てを行うには,診断書や住民票などの様々な書類を揃えて,裁判所に提出する必要がありますが,その資料を集める際にも,手数料などの費用がかかります。

  具体的には,医師の作成した診断書(成年後見用)の作成費用が必要となるほか,住民票,戸籍謄本,登記されていないことの証明書などの公的書類を取得する際の手数料が必要となります。

3 申立依頼費用

  成年後見の申立ては,事案に応じた様々な書類を集めたり,普段は関わりのない裁判所への申立てを行う手続きなので,申立手続を弁護士に依頼することがありますが,その場合には,弁護士に支払う弁護士費用(手数料)が必要になってきます。

  弁護士に依頼した場合の費用については,個々の弁護士によって異なるため,ご依頼される弁護士にお尋ね頂くことになりますが,第二東京弁護士会の法律相談センターでは,原則として手数料20万円(税抜)とされています(但し,事案の難易等に応じて変動する場合があります。)。

4 後見人への報酬

  成年後見の申立てが行われた場合には,裁判所が後見人を選ぶことになりますが,その際に,弁護士などの専門家が選ばれる場合があります。

  その場合には,裁判所の決定により,本人の財産から後見人に報酬が支払われることがあります(資産状況等によりますが,原則として月額2万円が目安とされています(http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/130131seinenkoukennintounohoshugakunomeyasu.pdf・「成年後見人等の報酬額のめやす」。)。

5 後見事務の費用

  後見人が選任された後に,後見人の職務に必要となる交通費や郵送料などの費用は,本人の財産から支払われることになります。

6 まとめ

  以上のとおり,成年後見には様々な費用が必要となりますが,本人の財産を守るための大切な制度ですし,法テラスなどの弁護士費用の立替を行う機関などもありますので,ご利用を検討されている場合は,弁護士会などにお気軽にご相談ください。