コラム

自筆証書遺言の保管制度の創設について

 相続法の改正に伴い,「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が2018年7月6日に成立し,自筆証書遺言を法務局に預けることができるようになりました。
 この法律は,自筆証書遺言の紛失等を防止し,遺言書をめぐる紛争をできる限り抑止することを目的としています。これまで自筆証書遺言は家庭裁判所の検認(=遺言書が確かにあると確認してもらうこと)が必要でしたが,この保管制度を利用することにより検認をせず相続手続ができるようになります。
 申請手続は,遺言者の住所地,本籍所在地,所有する不動産の所在地管轄内の法務大臣が指定する法務局に遺言書と申請書を提出して行います。法務局は申請のあった遺言書を電子ファイルにより管理しますので,全国の法務局からアクセスすることができます。
 遺言者は,保管した遺言書を閲覧することができ,いつでも保管した遺言書を撤回することができます。
 遺言者が亡くなった後,相続人等はこの電子ファイルに記録されている事項を証明した書面の交付等を法務局に請求することができますが、遺言者が生存中はできません。なお,相続人等がこのような請求を行った場合,法務局から他の相続人等に遺言書を保管している旨の通知がいきます。
 「法務局における遺言書の保管等に関する法律」は,2020年7月10日に施行され,この日以後の遺言書の保管に適用されることになります。