コラム

盲ろう者を知っていますか。

盲ろう者とは、「視覚(目)と聴覚(耳)の両方に障害を併せもつ人」をいいます。

もしあなたが自宅にいたとして、突然部屋が真っ暗になり、テレビの音や家族の声だけが聞こえる状態になったとします。これは、「盲」の人がいる世界に似ています。逆に、テレビの音や家族の声が聞こえなくなり、部屋の様子だけが見えている状態になったとすると、それは「ろう」の人が置かれている世界と言えます。「盲ろう」は、今の例で言えば、部屋は真っ暗で、音や声も聞こえない状態です。盲ろう者の前方には、この「永遠に続く静かな闇」だけが広がっているのです。

では盲ろう者は、永遠に続く静かな闇の中に、たった一人でいなければならないのでしょうか。そんなことはありません。盲ろう者と一口に言っても、障害の程度(見え方と聴こえ方の程度)は様々ですが、全く見えず聴こえない状態の全盲ろうであったとしても、周囲とのコミュニケーションによって、地域・家族と共に暮らすことができます。話し手が行う手話に盲ろう者が触れることで手話を伝える方法の「触手話」、盲ろう者の指を点字タイプライターのキーに見立て、話し手が直接盲ろう者の指をタイプする「指点字」、盲ろう者の手のひらに指先等で文字を書いて言葉を伝える「手書き文字」等のコミュニケーション方法がありますし、通訳等の情報支援や外出の付添いをする通訳・介助者の派遣制度もあるのです。

東京都盲ろう者支援センター(NPO法人東京盲ろう者友の会が運営)では、通訳・介助者の派遣・養成を行ったり、生活訓練の場を提供するなど、盲ろう者の生活をサポートしています。当委員会でも、センターと連携して盲ろう者向けの講演会・法律相談会を実施しています。あなたも、盲ろう者の方と出会ったら、恐れずに手書き文字等でコミュニケーションをとってみてください。それこそが、盲ろう者の方にとっての「光」や「音」となるのではないでしょうか。