コラム

あるホームロイヤー案件の顛末報告~やってみよう!ホームロイヤー

2022年5月、一人の高齢者が亡くなりました。73歳で、突如発症したガンにより、入院から約1月でのことでした。都立病院で当会が実施している定期相談で、4月19日に面談したところ、病院から、退院は見込めない、付き添い無しでは歩行も難しいといわれました。収入は年金のみで、金銭管理と借家内の私物の病院への搬送と処分(特に父母の遺骨)や借家契約の解除、死亡後の処理などに不安をお持ちで、病院職員からホームロイヤー利用を提案されたため詳細をご説明したところ、4月26日に契約に至りました。きょうだいがいるということでしたが、父母の介護時から関係が悪化し、独居となり、連絡を取らないよう言われました。将来のことを考えれば連絡を取っておくべきですが、本人との信頼関係もまだ不十分なので、後日説得できればと軽く考えていました。

さて、契約後、自宅の鍵、通帳とキャッシュカードをお預かりし記帳すると、金融会社からの借り入れもあり、経済的安定のため将来は自己破産も必要かと考えました。早速ご要望に応じ洋服や日用品などを、ご自宅まで片道1時間半かけて回収して搬送しました。ただ、自宅内や周辺でも「管理会社」の手がかりはなく、連絡先も不明で、本人に聞いても「どこだっけなあ」というのみでした。後に、地域の福祉関係者を通じて会社が判明しましたが、最近社名も住所も変えていたので仕方ないことでした。同時に別の高齢者(保佐人に就任中)がコロナで陽性反応が出て急遽入院することになり、そちらの対応もあっててんやわんやになりました。

運悪くゴールデンウイークに突入し、病院の福祉関係者と連絡が取りにくくなり、「休み明け」まで動けなくなりました。休み明けの10日、病院への支払いや管理会社判明後賃料の支払いに必要かと思い、キャッシュカードを使って預貯金の大半を引き出しました。

ところが翌11日に病院から亡くなられたとの連絡が入りました。葬儀をするには金銭が不足しており、支払不能と自治体に葬儀等をお願いしたところ、何とか引き受けていただきました。そのころ、介護設備を設置した会社から、設備の引き取りと費用請求の連絡も入りました。管理会社にも連絡が付き、早期退去を約束して退去時の残置物の撤去費用も滞納家賃も免除してもらうことを納得していただきました。

ここでさらに、「父母の遺骨」処理問題が浮上してきました。廃棄するなど刑事罰の対象になりかねず一同困っていたところ、管理会社が賃借人の緊急連絡先として件の「きょうだい」を記録していました。平成17年当時なので、未だ連絡がつくか不明でしたが、連絡を取ったところ遺骨の引き取りを承諾してもらえました。

かようにホームロイヤーとは何とも様々な仕事に「対応」でき、使い勝手のよい?制度だと改めて感じました。今回はいろいろな方の善意に支えられて案件を無事処理できましたが、「使い途」をオーダーメイドできる制度ではないかと「お勧め」していくポイントが考えられそうです。皆さんも一度ご利用を試みてはいかがでしょうか。

<ゆとり~なホームロイヤー>

https://niben.jp/pdf/niben/pamphlet/pamphlet_19.pdf