コラム

第二期成年後見制度利用促進基本計画について

令和4年3月25日に閣議決定されました「第二期成年後見制度利用促進基本計画」の概要を説明いたします。

第二期基本計画においては、第一期基本計画(※)に引き続き、意思決定支援(※)や身上保護を重視した運用のさらなる拡充、地域連携のしくみのさらなる整備、高齢者の増加による成年後見制度を含めた権利擁護支援のニーズの多様化・増大化への対応策が定められました。第一期計画の課題と第二期基本計画における対応は以下のとおりです。

※ 第一期基本計画については2018.03.20の本コラム(「『成年後見制度利用促進基本計画』とは?」)、意思決定支援については2022.03.01の本コラム(「『意思決定支援』について」)をご参照ください。

○ 成年後見制度の見直しに向けた検討と権利擁護支援策の総合的な充実

  後見人等が一旦選任されると、判断能力が回復しない限り、預貯金の解約等の課題解決後も成年後見制度の利用が継続し、本人のニーズ変化に対応できない(制度があまり利用されない)ことが指摘されておりました。

これを受け、成年後見制度(民法)の見直しとともに、成年後見制度以外の権利擁護支援策も検討されることされております。

○ 成年後見制度の運用の改善

  家庭裁判所と地域の関係者の連携により、本人にとって適切な後見人の選任や状況に応じた後見人の交代を実現するとともに、意思決定支援をさらに浸透させるため、都道府県による研修等が実施されます。

○ 後見人への適切な報酬の付与

第一期基本計画における課題として、後見人等の専門性や事務の内容に見合った報酬額の決定が必ずしもされないことや、市町村により報酬助成事業の実施状況が異なることが挙げられておりました。

そのため、最高裁・家庭裁判所で適切な後見人報酬の算定に向けた検討を実施するとともに、成年後見制度の見直しを検討する際に報酬のあり方も検討することとされております。報酬助成事業についても、関係省庁で制度のあり方が検討されます。

○ 地域連携ネットワークづくりの推進

小規模市町村を中心に、本人の権利擁護支援を適切に行う地域連携ネットワーク(行政・福祉・法律専門職・家庭裁判所の連携のしくみ)の整備が進んでいないことや、高齢者の増加に伴う制度の利用ニーズ増に対応するための担い手確保が課題となっており、以下の対応策が挙げられております。

・都道府県の機能強化により地域連携ネットワークを全市町村で早期に整備

(整備率はR2.10月:15%、R3年度末見込み:44%)

・地域連携ネットワークの計画的整備のため、全市町村で基本計画を早期に策定

(策定率はR2.10月:16%、R3年度末59%)

・市民後見人や法人後見の担い手の育成(都道府県が育成方針策定)

※担い手の支援は地域連携ネットワークで実施

さらに詳しく知りたい方は,下記のサイトをご覧ください。

成年後見制度利用促進|厚生労働省 (mhlw.go.jp)