精神科入院と障害者権利条約~精神科病院から退院して地域で暮らすための相談先~
日本では、25万人を超える方が精神科病院に入院しており、その約半数が医療保護入院と呼ばれる強制入院となっています(令和2年。厚生労働省資料より)。強制入院となった場合、ご自身の希望だけでは退院ができず、その結果、地域で生活をしたくてもできない場合があります。
「障害者の権利に関する条約」をご存じでしょうか。この条約では、障害のある人も、障害のない人と平等に、地域社会で生活する権利があることが確認されています。そして、条約加盟国は、このような権利を確保するため、地域社会での支援サービスを充実させるなどの対応をする責任があるとされています。
日本政府は、このような条約上の責任を果たしているかについて、国連の障害者権利委員会による審査を受けていました。審査の結果、同委員会は、2022年、日本政府に対し、無期限の入院を中止するために、精神科病院に入院している精神障害者の全ての事例を見直し、事情を知らされた上での同意を確保し、自立した生活を促進することなどを要請しました。
当会でも障害のある方の権利擁護に取り組んでおり、当会を含む東京の3つの弁護士会が共同して「退院請求等当番弁護士制度」を運用しています。精神保健福祉について研修を受けた弁護士が退院・処遇改善請求の代理人となって活動します。退院請求・処遇改善請求について弁護士に相談・依頼されたい場合、以下までご連絡ください。
【東京三弁護士会の高齢者・障がい者電話相談】
電話番号:03-3581-9110
月~金(祝祭日・年末年始を除く)10:00~12 :00、13:00~16:00
相談料金:無料 (15分程度)
また、精神障害のある方がご自身で精神科病院から地域生活に移ることに不安がある場合、福祉サービスによる支援が受けられることがあります。たとえば、退院前に住居の確保などの支援が受けられる「地域移行支援」や、退院後に訪問などによる支援を受けられる「自立生活援助」などが利用できることがあります。詳細は、市区町村の基幹相談支援センターや障害福祉を担当する部署にお問い合わせいただくか、上記の「退院請求等当番弁護士制度」の担当弁護士にご相談ください。
【参考情報】
〇障害者の権利に関する条約(政府訳)
〇国連障害者権利委員会による第1回日本国政府報告に関する総括所見(政府仮訳)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100448721.pdf
〇東京都内の基幹相談支援センターの一覧(令和4年3月末時点)