コラム

「認知」とは

 高齢者や障がい者の法律相談がなされる際の課題として「認知機能」や「認知能力」が挙げられることがあります。これは、第三者からみると法的側面を含むさまざまな問題があると思われる状況において、本人がそれらの問題に対する考えや意思を示すことができない場面や、本人が抱える問題に助言をしようとする弁護士等の支援者の話を本人がうまく理解できない(ようにみえる)場面が念頭に置かれていることが多いように思います。

 しかし、弁護士等の支援者が自分の伝えたいことを理解してもらえないということは、上記のような場面に限りません。弁護士でいえば訴訟の場面では裁判官に主張が受け入れてもらえないということがあったり、依頼者や相談者に対するアドバイスがうまく伝わらない、あるいは誤解されてしまったりするなどしばしば起きることです。

 そもそも「認知」とは何かということをインターネット上で調べてみると、一例として、「人間が自身の五感を通じて外部からの情報を受け取り、それを理解し、意味を付与する過程を指す言葉である。」という検索結果が出てきました。

 この「情報を受け取り、それを理解し、意味を付与」する認知過程では、人がそれぞれ培ってきた知識・経験、興味・関心のあること、さらには育成環境などにより生成された思考の枠組みが働いているとされ、この思考の枠組みを認知心理学の世界ではスキーマ(schema)というそうです。このスキーマは、人それぞれ異なりますから、自分の伝えたいことを他人に正確に伝えることはそもそも難しい営みだといえるでしょう。

 第二東京弁護士会では、高齢者・障がい者総合支援センターを設け、高齢者や障がい者向けの電話相談(相談無料。東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会共通)を受け付けています。高齢者や障がい者の抱える問題に積極的に取り組んでいる弁護士が担当していますので、お気軽にご相談ください。

 

相談日 月曜日~金曜日(祝日を除く)午前10時~正午、午後1時~4時

電 話 03-3581-9110

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