コラム

任意後見監督人選任申立を行うことができるのは誰?

【任意後見監督人選任申立を行うことができるのは誰?】

 「任意後見契約の委任者の判断能力が低下しているにもかかわらず、受任者が任意後見監督人選任申立をしてくれないときはどうしたらよいでしょうか」。先日、このようなご相談がありました。

任意後見監督人選任申立は、任意後見契約の受任者以外に、本人(委任者)・配偶者・4親等内の親族も行うことができます(任意後見契約に関する法律第4条1項)。したがって、上記ご相談のような状況であれば、本人自ら、あるいは、周りの親族が任意後見監督人選任申立を行うことが考えられます。

 もっとも、本人の判断能力が低下しているにもかかわらず任意後見監督人選任申立を行わないような受任者には、任意後見人として適切に職務を行うことが期待できないこともあるかと思います。そのような場合には、法定後見(補助・保佐・後見)開始審判の申立を行うことも検討すべきでしょう。法定後見開始審判の申立も、本人・配偶者・4親等内の親族が行うことができ、申立があると、家庭裁判所が親族あるいは弁護士等の専門職を後見人等に選任します。

ただし、法定後見開始後に任意後見監督人選任申立がなされると、原則として法定後見開始審判は取り消されてしまいます。そのため、法定後見開始審判の申立を行う際には、任意後見契約の解除を行うことも併せて検討する必要があります(なお、任意後見契約の解除は、公証人の認証を受けた書面によって行う必要があります。)。

 また、任意後見監督人選任申立、法定後見開始審判の申立、任意後見契約の解除を判断能力の低下した本人自らが行うときには、本人がそれらを行えるだけの意思能力を有しているかということも問題となりますので、この点もご注意ください。

 上記の各申立にあたって、お困りのこと等がありましたら第二東京弁護士会にご相談をお寄せ下さい。

【第二東京弁護士会】

電話:03-3581-2250