憲法記念日を迎えての会長声明
2019 年(令和元年)5月3日
第二東京弁護士会会長 関谷 文隆
19(声)第1号
日本国憲法が施行されてから、本日で72年目の憲法記念日を迎えました。
日本国憲法は、基本的人権の尊重、国民主権、恒久平和主義を基本原理とし、その根本にある個人の尊重(13条)の理念は、
立憲主義によって権力の濫用から守られています。基本的人権は、人種、性、身分、国籍などの区別に関係なく、
人間であることに基づいて当然に享有できる権利です。ひとりひとりの個人の違いを尊重し、人間として平等に取り扱い、
相互の違いを認め合うことが必要であり、それが自由や平和を基礎づける根本的な価値といえます。
現在、日本に中長期に滞在する外国人の数が増加していますが、外国人労働者の受入拡大のために出入国管理及び難民認定法が改正され、
今後さらに多くの外国人が日本社会の一員になることが予想されます。
また、同性カップルを公的に認める「パートナーシップ制度」を導入する地方自治体が現れるなど、
性的少数者への差別是正に向けた動きも報じられています。
このように、日本が国際性や多様性のある社会になりつつある中で、外国人や性的マイノリティーも含めて、
ひとりひとりが個人として尊重されることが重要であると考えます。
ところが、ヘイトスピーチのように特定の人や集団を排除する言動も見られ、自由や寛容さが失われつつあることが懸念されます。
憲法記念日に当たり、改めて個人が個人として尊重されるということの意義を確認することが大切です。
平和的生存権を確認した憲法前文や、武力不行使、戦力不保持、交戦権否認を定めた憲法9条は、個人が尊重される平和な社会の礎として、
私たちの日々の営みを守ってきました。永きにわたって平和が続く中にあっても、かつて戦時下において基本的人権が抑圧された歴史は、
忘れてはならないと思います。
当弁護士会は、自由が確保され、平和が実現・維持され、個人が尊重される社会を築くために、
基本的人権の擁護と社会正義の実現という使命を不断に果たしていく決意です。
憲法記念日を迎えての会長声明(PDF)