会長声明・意見書

外国人学校を「幼保無償化制度」の対象とすることを求める会長声明

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更新日:2020年03月17日

2020年(令和2年)3月17日
第二東京弁護士会会長 関谷文隆
19(声)第11号

 2019年5月10日に成立した子ども・子育て支援法の一部を改正する法律が同年10月1日より施行され、幼児教育・保育の無償化(以下「幼保無償化制度」という。)がスタートした。
 子ども・子育て支援法第2条2項は、「子ども・子育て支援給付その他の子ども・子育て支援の内容及び水準は、全ての子どもが健やかに成長するように支援するものであって、良質かつ適切なものであり、かつ、子どもの保護者の経済的負担の軽減について適切に配慮されたものでなければならない」ことを基本理念として掲げており、幼保無償化制度は同法のもとに創設された。
 しかし、ブラジル人学校やインターナショナルスクール、朝鮮学校など、各種学校の認可を受けた外国人学校の幼児教育・保育施設は、幼保無償化制度の対象外とされた。
 学校教育法第134条に規定する各種学校である外国人学校の幼児教育・保育施設が幼保無償化制度の対象とはならない理由について、「幼児教育・高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針」(2018年12月28日関係閣僚合意)は、「幼児教育を含む個別の教育に関する基準はなく、多種多様な教育を行っており、また、児童福祉法上、認可外保育施設にも該当しないため」と説明している。また、「幼児教育・保育の無償化に関する自治体向けFAQ【2020年1月17日版】」は、「法律により幼児教育の質が制度的に担保されているとは言えないこと」も挙げている。
 しかしながら、各種学校である外国人学校の幼児教育・保育施設は、学校教育法第134条に基づき各種学校としての認可を受け、各都道府県知事の監督に服しながら、幼稚園や保育所に相当する幼児教育ないしは保育を行っており、学校教育法により、教育の質を制度的に担保されている。また、多種多様な教育を行っていることは、幼児教育の質とは別次元の問題であり、外国人学校を幼保無償化制度の対象外とする合理的な理由とは言い難い。
 むしろ、多種多様な教育を行っており、国の指導監督基準を満たしていない認可外保育施設も幼保無償化制度の対象に含めていることに照らせば、外国人学校を同制度の対象外とすることに合理的理由は見出せない。
 「全ての子どもが健やかに成長するように支援する」という子ども・子育て支援法の基本理念に照らせば、各種学校の認可を受けた外国人学校の幼児教育・保育施設も同制度の対象とすべきであり、外国人学校が各種学校であることを理由に同制度の対象外とすることは、合理的理由のない差別であって、憲法第14条の平等原則に反し、差別的取扱いを禁止した社会権規約第2条2項、自由権規約第2条1項、子どもの権利条約第2条1項及び人種差別撤廃条約等の国際人権諸条約に反する。
 よって、当会は、各種学校の認可を受けた外国人学校の幼児教育・保育施設を幼保無償化制度の対象とする法改正を求めるとともに、法改正が実現するまでの間の当面の措置として、各種学校の認可を受けた外国人学校の幼児教育・保育施設が同制度の対象となる他の幼児教育・保育施設と同様の支援を受けられるよう、必要な措置を取ることを求める。

外国人学校を「幼保無償化制度」の対象とすることを求める会長声明(PDF)

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