会長声明・意見書

成年年齢引下げに伴う消費者被害防止のための措置を求める会長声明

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更新日:2021年06月18日

2021年(令和3年)6月18日
第二東京弁護士会 会長 神田 安積
21(声)第6号

 民法の成年年齢引下げの施行日(2022年4月1日)が目前に迫りつつあります。
 民法の成年年齢引下げについては、特に18歳・19歳の若年者が未成年者取消権(民法5条2項)を喪失することに伴い、消費者被害が拡大することへの懸念が指摘されてきました。
 そこで、成年年齢引下げを定めた改正民法(以下「本法律」といいます)の成立に際しては、参議院法務委員会において附帯決議がされました。具体的には、①知識・経験・判断力不足等の事情を利用して勧誘して契約締結させた場合の取消権(つけ込み型不当勧誘取消権)を創設すること、②若年者の消費者被害を防止・救済する制度を創設すること、③マルチ商法等の被害の実態に即した対策について必要な措置を講ずること、④消費者教育の充実を図ること、⑤若年者に理解されやすい形で周知徹底を図ること、⑥消費者被害拡大防止の社会的周知のための国民キャンペーンの実施を検討すること、⑦施行日までに上記の措置が実施されているか、その措置が効果を上げているか、その効果が国民に浸透しているかについて効果測定や調査を実施した上で検討し、その状況について随時公表すること等について各別の配慮をすべきである旨決議されています。
 しかし、本法律成立から3年以上が経過した現時点においても、附帯決議記載の措置は十分に実現されていません。例えば、つけ込み型取消権を始めとした消費者被害拡大防止のための制度は創設されていません。国民に対しても、成年年齢引下げの事実を伝えるにとどまり、若年者への消費者被害拡大のおそれについて十分に周知されているとはいえません。2018年4月から2020年3月まで実施された「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」も国民に十分浸透したとはいえず、2021年4月から実施されている「成年年齢引下げに伴う消費者教育全力キャンペーン」についても同様の結果となることが懸念されています。
 当会は、「民法の成年年齢引下げに関する会長声明」(2018年7月9日)において、国に対し、附帯決議記載の措置を施行日までに確実に実現し、国民の理解を求めることを要望しました。そこで、あらためて、国に対し、施行日までに附帯決議記載の措置を確実に実現し、成年年齢引下げ及びその影響について国民の理解を求めるとともに、仮にこれらが実現できない場合には、未成年者取消権の行使可能年齢引下げの施行の延期を検討することを求めます。

成年年齢引下げに伴う消費者被害防止のための措置を求める会長声明(PDF)

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