会長声明・意見書

憲法記念日を迎えての会長声明

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更新日:2022年05月03日

2022年(令和4年)5月3日
第二東京弁護士会 会長 菅沼友子
22(声)第2号

 

 日本国憲法施行から75周年となる憲法記念日は、ロシアのウクライナ侵攻が続く中で迎えることとなりました。犠牲となった多くの方々に哀悼の意を表するとともに、現在も大変な恐怖と苦難に直面している人々に心を寄せたいと思います。

 ロシアのウクライナ侵攻は国際連合憲章(以下、「国連憲章」といいます。)に明白に違反する行為であり、決して許されるものではありません。我が国の憲法が基本原則の一つとしている恒久平和主義との関係でも、国連憲章に基づく世界秩序がこのように乱暴に踏みにじられることは重大な問題です。
 日本国憲法の恒久平和主義は、1945年に成立した国連憲章と理念を共通にしています。国連憲章は、「われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救」うという決意のもとに(前文)、加盟国に対し、国際紛争の平和的解決を義務づけ、武力による威嚇や武力の行使を禁じています(第2条第2項、第4項)。日本国憲法もまた、前文で、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して安全と生存を保持することを表明し、全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有することを掲げ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓っています。そして第9条では、国連憲章をさらに進め、国際紛争を解決する手段として戦争を放棄し、戦力の不保持、交戦権の否定を謳っています。このように、日本国憲法の定める恒久平和主義は、国連憲章と共通の考え方に立って世界平和を実現しようとしているのです。
 ロシアによる武力行使を一刻も早く停止させ、ウクライナ地域に平和と安定をもたらすとともに、国連憲章に基づく世界の平和秩序を回復することは、わが国が恒久平和主義を堅持していくためにも極めて大切なことです。

 戦争は最大の人権侵害です。基本的人権を擁護し、社会正義の実現を使命とする弁護士及び弁護士会は、日本国憲法の恒久平和主義を堅持し、ウクライナをはじめとして現在も各地で起きている戦争をなくし世界平和を実現するために、市民の皆様と共に考え、手を携えて取り組んでいきたいと思います。


憲法記念日を迎えての会長声明(PDF)

「憲法記念日を迎えての会長声明」の四コマ漫画です。(PDF)

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