会長声明・意見書

沖縄の日本復帰50周年にあたっての会長声明

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更新日:2022年05月17日

2022年(令和4年)5月17日
第二東京弁護士会 会長 菅沼 友子
22(声)第3号

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰して、50年が経ちました。第二次世界大戦において国内で唯一住民を巻き込んだ地上戦が行われ、県民の約4人に1人が亡くなるという甚大な被害を受けた末に米軍に占領され、敗戦後も27年にわたって米国統治下におかれた沖縄。まさに「国民的十字架を一身にになって、国の敗戦の悲劇を象徴」(琉球政府「復帰措置に関する建議書」(1971年11月)の「はじめに」の一節)する存在であったと言えます。復帰から半世紀という節目にあたり、私たち国民一人ひとりが、沖縄の現状と未来について私たち自身の問題として考える必要があると思います。

 本年5月15日に開かれた沖縄復帰50周年記念式典において、玉城デニー沖縄県知事は、復帰時に県と政府が共有した「沖縄を平和の島とする」という目標が50年経っても達成されていない、と指摘しました。実際、国土面積の1%にも満たない沖縄県に全国の米軍専用施設の約7割が集中しており、米兵・軍属による事件・事故、騒音や環境汚染など、県民の日常生活上の安全を脅かし、多大な負担を与えています。また、現在の日米地位協定(正式名称は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」)のもとで、米兵・軍属に対しては刑事手続き上の特権が認められており、また、米軍の活動や米兵等への損害賠償請求が制限されるなど、日本の法によるコントロールが制約されている、という問題もあります。名護市辺野古の新基地建設問題に関しては、沖縄県及び沖縄県民の多数の意思が尊重されず国との対立が続いており、未だ解決のめどが立っていません。
 日本国憲法の定める恒久平和主義、基本的人権の尊重及び国民主権という基本理念の実現は復帰後の沖縄に等しく及ぶこととなったはずですが、現状は道半ばと言わざるをえません。国民全体の課題として、その解決に向けて議論を行い取り組んでいくことが必要です。
 当会としても、沖縄の人々に心を寄せつつ、恒久平和主義と基本的人権の尊重という日本国憲法の基本理念の実現をめざして今後とも力を尽くしていきます。

沖縄の日本復帰50周年にあたっての会長声明(PDF)

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