会長声明・意見書

「国際女性デー」にあたっての会長談話

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更新日:2023年03月08日

2023年(令和5年)3月8日
第二東京弁護士会 会長 菅沼友子

 本日3月8日は「国際女性デー」です。国際女性年の1975年に国際連合によって制定された記念日で、ジェンダー平等を考えるイベントが世界中で行われます。
   日本におけるジェンダー平等を主なデータでみると、

一般労働者の給与水準(2021年。男性を100とした場合)75.2
女性被雇用者に占める非正規雇用の割合(2021年。パーセンテージ)
※男性は21.4%
53.2
上場企業の女性役員比率(2022年。全体に占めるパーセンテージ)9.1

という状況で、ジェンダーギャップ(性による格差)が大きな状態が続いています。世界銀行が行っている、法整備の進み具合から各国・地域の男女格差の現状を評価する調査でも、日本は毎年順位を落とし、今月2日に公表された最新の結果では日本は190ケ国・地域のうち104位、OECD加盟国では最下位となっています。

 このような中、長引くコロナ禍による影響やエネルギーコストの上昇・円安等を原因とする物価高による生活への大きな打撃を受けて、困難な問題を抱える女性はさらに増えています。当会では、昨年度に築かれた「女性による女性のための相談会」実行委員会との連携に基づき、今年度、同実行委員会が行った相談会(昨年7月と本年1月の2回)を後援し、会員の弁護士を相談員として派遣しました。相談会には複合的な問題を抱える多くの女性が訪れ、それぞれ100件近い相談が寄せられました。同実行委員会では、相談結果をふまえ、2024年4月に施行予定の「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」に基づく施策に反映させるよう政策提言を行っています。当会としても、困難な状況下におかれている女性の権利擁護のために、同実行委員会などの市民団体等と協力しつつ、法的支援が必要な方たちにアクセスできるよう引き続き努力していきます。

 また、女性が安心して弁護士による法的支援を受けるためには、弁護士による相談者・依頼者の方等へのセクシュアル・ハラスメントがあってはならないことは言うまでもありません。当会の「性別等による差別的取扱い等の禁止に関する規則」に明記されているとおり、セクシュアル・ハラスメントは「基本的人権を侵害する行為」であって、「弁護士会員等の品位及び信用を維持確保」するためにもその防止が不可欠です。
 先日、当会の会員が、自分が代理人をつとめる事件の依頼者である女性に対し、性的関係を迫る行動を続けるなどセクシュアル・ハラスメントを行ったことを公表する記事を自身のブログに掲載しました。係争中の案件にコメントすることは差し控えますが、国際女性デーにあたり、当会としては、セクシュアル・ハラスメントが女性の尊厳をふみにじり、その社会参加を困難にしてきた事実に思いをいたし、「基本的人権の擁護と社会正義の実現」という弁護士の使命を改めてしっかりと心に刻み、会員等によるセクシュアル・ハラスメントが決して起こらないように、指針の周知・徹底や研修の充実等の取組をしっかり行っていく所存です。

「国際女性デー」にあたっての会長談話(PDF)

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