会長声明・意見書

特定少年の実名報道に対して抗議する会長声明

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更新日:2023年04月26日

2023年(令和5年)4月26日
第二東京弁護士会会長 小川 恵司
23(声)第1号

 東京都狛江市で2023年1月に発生した特定少年による強盗致死事件(以下「本事件」といいます。)に関し、東京地方検察庁立川支部は同年4月21日、公判請求するとともに、当該特定少年の実名を公表し、一部の報道機関が、実名報道を行いました。
 2022年4月1日に「少年法等の一部を改正する法律」(以下「改正少年法」といいます。)が施行され、18歳及び19歳の「特定少年」のとき犯した罪により公判請求された場合、少年の氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等により当該事件の本人であることを推知できるような報道の禁止が解除されました。
 しかし、改正少年法の衆議院・参議院の各法務委員会の附帯決議においても、「インターネットでの掲載により当該情報が半永久的に閲覧可能となることをも踏まえ、いわゆる推知報道の禁止が一部解除されたことが、特定少年の健全育成及び更生の妨げとならないよう十分配慮されなければならない」とされています。
 したがって、特定少年の実名公表及び報道にあたっては、少なくとも上記附帯決議の趣旨を踏まえた慎重な検討が必要です。
 しかし一部報道によれば、東京地方検察庁立川支部は「強盗致死という重大事案であることを踏まえ、諸般の事情を考慮し」て公表したとしており、また、本事件について実名報道(推知報道を含む)をした一部報道機関は、その理由につき、「事件の重大性、社会性などを総合考慮」「被害者が死亡していることや、社会に与える事件の重大性を考慮」などと説明するものや、そもそも何ら理由の説明もなく漫然と実名を報じるものすらあります。このような理由からは、上記附帯決議の趣旨を踏まえた慎重な検討をしたことが読み取れません。
 このように、今回の東京地方検察庁立川支部による特定少年の氏名公表、及び一部報道機関による実名報道(推知報道を含む)は、「特定少年の健全育成及び更生の妨げとならないよう十分配慮」したものではないといわざるを得ません。
 当会としては、東京地方検察庁立川支部及び実名報道(推知報道を含む)をした一部の報道機関に対し、厳重に抗議するとともに、報道機関に対して、少年法を尊重し、特定少年の健全育成及び更生の妨げとならないよう十分に配慮した対応を取るよう重ねて強く要望します。

特定少年の実名報道に対して抗議する会長声明(PDF)

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