オンライン接見の法制度化を求める会長声明
2023年(令和5年)7月19日
第二東京弁護士会 会長 小川恵司
23(声)第4号
接見とは、身柄を拘束されている被疑者・被告人が弁護士などと面会することであり、接見を行うことは、被疑者・被告人にとって重要な権利です。
特に、逮捕直後の初回の接見は、身体を拘束された被疑者にとって、今後捜査機関の取調べを受けるに当たって助言を得るための最初の機会であって、これを速やかに行うことが被疑者の権利を守り、えん罪を防ぐために重要となります。
現在、政府において刑事手続のIT化の議論が進んでおり、捜査機関においてオンライン化が推進されることが確実視されている中、オンラインでの接見を刑事訴訟法が保障する接見として位置付けることが検討されています。
オンライン接見は、初回に迅速に接見できますし、被告人が遠隔地に勾留されている場合にも、弁護士の助力を得ることが容易になります。
現に、東京においても、多摩地域の遠い警察署までは2時間以上かかることもあり、都心にある東京地方検察庁や法テラス東京にオンライン接見の拠点ができることで、より充実した弁護活動を行うことができることになります。
一方で、捜査機関側から、オンライン接見について、実施設備に伴う人的・経済的コストの負担や、なりすまし等の危険がある等の問題が指摘されています。しかし、刑事手続のIT化により、捜査の一部をオンラインで行うことが進められており、そこではアクセスポイントの設定が前提となっています。それを弁護人も使用するならば、コストが大幅に増大することはありません。また、アクセスポイント方式を採用した現行の電話連絡制度や電話による外部交通制度において、弁護人が第三者になりすましたり、罪証隠滅を図ったりしたという事例は報告されていません。
刑事手続のIT化の議論は、何よりも被疑者・被告人の人権保障を拡充するという観点で進められるべきであり、当会は、政府において更に具体的な議論が尽くされ、オンライン接見が実現されることを強く要望します。
オンライン接見の法制度化を求める会長声明(PDF)