会長声明・意見書

憲法記念日を迎えての会長声明

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更新日:2025年05月03日

2025年(令和7年)5月3日
第二東京弁護士会 会長 福島 正義
25(声)第1号

 本日、日本国憲法施行から78周年の憲法記念日を迎えました。
 第二次世界大戦の悲惨な経験と反省の下に、日本国民は日本国憲法前文で、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすること、恒久の平和を念願し、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、安全と生存を保持することを決意すると宣言しました。
 しかし今、世界と日本はどのような状況にあるでしょうか。
 世界に目を向けると、ロシアのウクライナへの軍事侵攻は国連憲章に違反しているにもかかわらず、いまだ停戦・終結に至っていません。また、パレスチナ武装勢力とイスラエルの紛争も、恒久的な停戦が実現しないままとなっています。
 日本では、2015年9月に成立した安全保障関連法により集団的自衛権の行使が容認され、2022年12月に閣議決定されたいわゆる安保三文書において敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有する方針が明記されました。これは、敵基地攻撃能力を保持することにより、相手国に脅威を与えて自国への攻撃を抑止するという考えを基礎とするものです。しかし、このような考え方は不確実なものであり、際限なき軍拡競争により軍事的な緊張を高める結果となるものです。これにより、日本が武力紛争の当事者となる危険性が、一層高まっています。
 日本国憲法の前文と第9条は、世界に類例のない徹底した平和主義と国際協調主義を基本原理としています。この憲法の下で、日本は、戦後80年間、当事者として戦争に加担することなく平和を維持してきました。日本国民はこの恒久平和主義を今後も堅持し、日本が武力紛争の当事者となる事態を防ぐための不断の努力を続ける必要があります。
 同時に、日本国憲法前文が宣言するように、日本国民は、自国のことのみに専念するのではなく、国際社会において平和を維持し実現するために全力を尽くす必要があります。
 私たち弁護士は、弁護士法第1条に基づき、基本的人権を擁護し、社会正義の実現を使命としています。全世界の国民が等しく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利(平和的生存権)は、全ての基本的人権保障の基礎となる人権です。弁護士及び弁護士会は、日本国憲法の恒久平和主義を堅持するとともに、世界平和実現のため、今後とも、さまざまな発信と活動を行っていく所存です。

憲法記念日を迎えての会長声明(PDF)