イベントレポート

台北律師公会との交流会レポート

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更新日:2020年03月09日
両会で集合写真
交流会プログラムです

第二東京弁護士会と台北律師公会は、2010年に友好協定を締結して以降、隔年でお互いの地を訪問し合い、交流会、懇親会等を開催することで、相互理解と親睦を深めて参りました。本年度は、当会が台北律師公会を訪問する年に当たり、2019年11月14日~15日の二日間、当会の関谷文隆会長を始めとする役員及び当会国際委員会の台北チームを中心とする会員の総勢23名が、台北の地を訪問しました。なお、友好協定の有効期間が2020年2月に満了することから、訪問時には友好協定の更新も併せて行う運びとなりました。

今回の交流会は、「台北101」と呼ばれる地上101階建ての台湾国際金融センター近くの「ハンブルハウス台北」にて開催されました。

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会場お隣の「台北101」(右のビル)です。映えます。

まずは台北律師公会の薛欽峰常務理事の挨拶、そして当会の関谷会長からの挨拶がそれぞれなされたのち、両会の報告者より、成年後見制度の運用をめぐるテーマについての報告がなされました。同テーマは、今年10月に東京で開催されたソウル地方弁護士会との交流会においても取り上げられたテーマですが、台湾は今年からWHO基準での「高齢化社会」に突入したほか、今年5月には任意後見制度を導入する法改正が行われており、現地での関心が特に高いテーマでもあったようです。

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交流会会場です

交流会では、最初に台湾律師公会の謝玉璇律師より、「成年後見制度に関する法改正の概要」というテーマで、台湾における成年後見制度の概要、最近の法改正の動向、今後の課題等に関して詳細な報告がなされました。続いて、士林地方裁判所家事部の郭躍民裁判官からも、成年後見制度の裁判実務において垣間見る実務上の問題点について、興味深い報告がなされました。質疑応答の場面では、現行制度下では後見人の資格が被後見人の親族、主務官庁又は社会福利機構に限定されているという点や、後見人の監督制度が不十分といった点に関し、両会参加者より様々な意見が寄せられました。

次に、当会の八杖友一弁護士より、「日本の成年後見制度の現状と弁護士・弁護士会の役割」をテーマとして、日本における成年後見制度の概要、成年後見制度の利用促進に関する法律とその基本計画、運用の改善に向けた取組み等について報告がなされたほか、二弁のホームロイヤー制度や「ゆとり~な」設置による当会の成年後見制度への取組みが紹介されました。こちらの質疑応答でも、両会参加者から数多くの質問・意見が寄せられ、ともに高齢化社会を迎えた今、法曹として制度運用にどのように貢献できるかという点に関し、両会会員の意識の高さが窺われました。

交流会の後は、「ルメリディアン台北」内の台湾料理レストランに会場を移し、まずは更新後の友好協定の調印式が執り行われました。

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調印式。笑顔の台北律師公会の薛常務理事と当会関谷会長

調印式の後は、台湾律師公会より国際事務委員会の何愛文主任委員による挨拶、当会より国際委員会の池永朝昭委員長による挨拶がそれぞれなされたのち、両会参加者の紹介と記念品の交換が行われました。晩餐会では、各テーブルで、美味しい台湾料理に舌鼓を打ちつつ、両会会員間で和やかに談笑する姿が見られました。晩餐会の後に開催された二次会でも、ベテラン会員・若手会員問わず、楽しい時間をともに過ごすことができました。

翌15日午前中には、台北市内にある財団法人法律扶助基金会の本部を訪問しました。

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法律扶助基金会を訪問しました

同会は日本の法テラスに相当する組織ですが、2004年の設立以降、徐々に規模を拡大しており、現在は台湾全土に広がる22の支部で、年間20万件もの法律扶助案件を処理しているということです。また、2013年には台湾の先住民の法律扶助を専門とする「先住民法律扶助センター」を開設し、さらに台湾に在住する外国人にも広く法律扶助の門戸を開放するなど、マイノリティの立場に寄り添った積極的な活動を展開している様子がとても印象的でした。当会会員からも多くの質問・意見が提起されました。

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扶助基金会の資料
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参加者で集合写真です

法律扶助基金会の訪問の後は、台北市内にある上海料理のレストランに移動し、前の晩の懇親会ですっかり打ち解けた台北律師公会の会員らと、さらに有意義な交流をすることができました。また、交流会の後は、会員有志で台北市内の名所を巡る台北ツアー組と、新幹線で台南にまで足を伸ばす台南ツアー組に分かれ、それぞれ各地域における見聞を広める機会を得ました。

今回の交流会では、一つの交流テーマをめぐり両会会員間で意見交換を行い、懇談会においてともに楽しく語らうことにより、台北律師公会との間でさらに友好と親睦を深めることができたことが、何よりの収穫でした。今後も引き続き、国際委員会の台北チームを中心として、両会のより一層の関係深化を図って参りたいと思う所存です。

(文責:国際委員会2部会台北チーム 矢上浄子)

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