イベントレポート

人権擁護大会プレシンポジウム「地方自治とデジタル関連法」

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更新日:2021年10月27日

2021年9月24日(金)に、大田直史龍谷大学教授、当会の幸田雅治弁護士を講師に、人権擁護大会プレシンポジウム「地方自治とデジタル関連法」を開催しました。
当シンポジウムでは、講師らにより、自治体戦略2040構想は、平成の大合併の失敗を受けて出された、中核都市を中心とした連合・連携である「圏域マネジメント」を推進する考え方で、政府主導により中核都市に厚く予算配分するなど、市町村の自治を衰退させ中央集権化するものであることが明らかにされました。また、同構想には、各市町村の自治を発展させようという提言は全くないとの指摘がありました。
このような状況下で、デジタル化を進めようとデジタル関連6法が成立しましたが、地方自治に精通したIT技術者も不足しているなか、莫大な労力と費用をかけて「地方公共団体情報システムの標準化」が、福祉関連を含む17分野で進められようとしており、民間のデータ利活用ばかりが優先されるとの指摘もなされました。しかも、これらのデータは標準化システムの中で自治体の独自施策の実施(カスタマイズ)が制限される懸念があります。
何よりも、憲法92条に規定された地方自治の本旨に則った自治を発展させるためには、各自治体の自治を尊重するシステムでなければならないし、自治体がIT関連企業の草刈り場であってはならないのであり、今後ともこの問題を十分注視していく必要のあることが確認されました。

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