イベントレポート

「インターネット・リテラシー」をテーマにした出張授業を行いました

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更新日:2022年04月25日

法教育委員会では、3月19日と4月9日の2日間にわたって、早稲田大学高等学院高等部の新1年生に「インターネット・リテラシー」をテーマにした出張授業を行いました。今回は、法曹というキャリアについてのお話をすることの要請もあったため、法曹養成・法科大学院委員会の協力を得て、同委員会の委員2名も参加し、法曹、特に弁護士の業務の実際や法曹となる方法等についてのお話しもいたしました。

1日目は、入学・進学のための手続きを終えたばかりの新1年生約480名に講堂に集まっていただき、まずSNSの有用性、インターネットの特性のプラスの側面について紹介し、表現の自由の重要性について講義をしました。その上で、高校生がしてしまいがちなSNS投稿を具体的に何例か紹介し、その是非について生徒の皆さんに意見を述べてもらいました。大きな講堂でしたが、皆さん積極的に手を挙げて意見を述べられ、その意見も、是であれ非であれ、オリジナリティ溢れる理由付けのあるしっかりとしたものでした。

その後、SNS投稿をめぐる法的責任についてクイズも交えて解説をした上で、インターネットの特性のマイナスの側面、例えば受け手がどのように受け止めているかを直ちには確認できず、意図しない範囲にまで拡散され、法的責任を生じるか否かとは異なる次元で、SNSでの投稿が生徒の皆さんの将来に影響を及ぼすこともあるということをお話ししました。
表現の自由の保障のもと、社会を変えることのできる力を正しく、責任をもって使っていこうというまとめをして1日目の講義を終えました。

2日目は入学後のオリエンテーションの中の1コマとして授業をいたしました。
1日目の講義の振り返りからスタートし、「「事実」を読み取るチカラ ~ 情報との接し方」と題して、とある事件について報道記事を作成するというグループワークをしていただきました。

事件の基本情報、関係者の証言等の情報は全員共通なのですが、記事を作成するにあたってのデスクからの指示が、「A:特ダネだ。インパクト優先だ!」というものと、「B:犯人かどうかはまだ決まっていない。読者に変な印象を持たせないように。」というものと、全く逆のスタンスのものを用意し、班ごとに別の指示がなされている状況でグループワークに取り組んでいただきました。
出来上がった記事は、デスクからの指示が異なる班同士ではもちろんのこと、デスクからの指示が同じ班でも微妙に読者の受けるニュアンスが異なるであろうと思われるものもありました。同じ事実でも評価が加わると受け手には異なるニュアンスで伝わってしまうということを体験していただきました。

新入学、進学により新しい友人もでき、LINEやInstagram、TwitterなどのSNSを利用したコミュニケーションも増えます。もちろん、便利で有用な「道具」ではありますが、使い方を間違えるといろいろな問題を生じるものでもあります。今回の授業をきっかけに、生徒の皆さんがSNS等を上手に利用できるようになることを期待しつつ、授業を担当した弁護士らは校舎を後にしました。

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