イベントレポート

出張授業「少年事件と報道規制」

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更新日:2022年11月18日

法教育委員会では、2022年9月21日、都立小金井北高等学校の1年生に対し、「少年事件と報道規制」をテーマに出張授業を行いました。
このテーマは、少年事件が起きた場合、氏名、年齢、写真等により本人であることを推知できる内容で報道してはならないという推知報道の禁止(少年法61条)について、表現の自由、知る権利とのバランスを考える中で、ルール作りの仕方などを実体験していただく内容です。
授業は、前半で、犯罪報道が知る権利に資すること、他方で少年の成長発達権を保護する必要があることをソクラテスメソッドを通じて講義しました。
それを踏まえて、後半では、6人前後のグループ毎に少年法61条の改正案を検討してもらい、各グループ案を発表したのちにクラス全体で投票を行い、クラスとしての改正案を決めて、架空事例に改正案を適用するとどうなるかまで検討します。
具体的には、①どのような内容の報道を規制するのか、②どのような媒体での報道を規制するのか、③違反して報道した場合のペナルティーの有無、内容、④例外的に報道してもいいケースがあるのか、をそれぞれ検討してもらいます。
例えば、②について、現行法では「出版物に掲載」することが規制されているだけですが、テレビ報道も規制すべき、ネット記事も規制すべきという考えも挙がりました。
いわゆるメディア発信の情報ではなく、一般人による発信については、情報の裏取りをしていない、つまり嘘の内容もあるから規制したほうがいいという意見もある一方で、一般人による発信には嘘があって信用できないのがデフォルトなのだから規制しなくても良い、という意見もありました。
同じ理由でも真逆の結論に到達することで、同じクラスの友人でもいろんな価値観を持っていることに生徒が気付くことができたのではないでしょうか。
また、④については、重大事件は公表していい、とか、反省していない少年は公表していい等の意見も出ましたが、「重大事件って具体的には?」「反省の有無は誰が決めるの?主観で決めていいの?」等掘り下げて聞くことで、ルール作りの難しさに気付き、より具体的に考えていただきました。

この問題を解決する方法は一つではありません。
だからこそ、解決するために考えて、意見を出し合って、みんなで1つの解決方法を決める、そしてまた新たな課題が出てきたら、同じように解決方法を考えるという過程を体感してもらうことに本授業の意義があります。
これからも我々法教育委員会では、様々な題材をテーマに出張授業を行っていきたいと思います。

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