イベントレポート

出張授業 世田谷区立小学校PTA連合協議会主催 『子どもを加害者にしないために』

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更新日:2023年03月14日

1 民事介入暴力対策委員会では、世田谷区立下北沢小学校のちーかん委員会(地域環境連絡協議会)のご依頼により、2022年11月24日、世田谷区立小学校PTA連合協議会主催の令和4年度秋の協議会において、警視庁北沢警察署生活安全課少年係の方やスクールサポーターの方とともに、暴力団排除=犯罪予防のため、『子どもを加害者にしないために』なるお題でお話をさせていただきました。

2 第二東京弁護士会や民暴委員会の概要を説明してから、「盗撮」、「万引き」、そして「薬物犯罪」の実態や予防について、お話をさせていただきました。この3つの犯罪を取り上げたのは、保護者の方々の事前のアンケートでのご希望があり、また、最近、若年層で増えている犯罪として指摘されているからです。
「盗撮」というと、若年層は、女子を中心に被害者として捉えられがちですが、最近は、スマートフォンの普及によって、若年層が悪意なく、「盗撮」を行ったり、そうした画像をSNSに投稿したりしたことにより、容易に加害者になってしまう事例が多く報告されています。
「万引き」については、軽く考えてしまう少年が多いのかもしれませんが、虐待や両親の不仲も原因とされる「クレプトマニア(窃盗症)」の例も挙げながら、「窃盗罪」というれっきとした犯罪であることを理解してもらうことの重要性を指摘しました。
「薬物犯罪」については、若年層において、特に大麻事犯が急増しているという事実を紹介した上、加害者も被害者もいない「薬物犯罪」が「犯罪」とされる理由について、①覚せい剤事犯を中心に暴力団の資金源となっていること、②薬物の乱用が身心、とりわけ、脳に大きな悪影響を与え、薬物への「依存性」や「耐性」が強まってしまうこと、③薬物の乱用者が(i)幻覚による傷害、殺人、放火、交通事故や(ii)窃盗、恐喝、強盗といった薬物を入手するための資金目当ての犯罪に走って罪を重ねてしまうこと、④家族や友人との関係が崩壊してしまうことを説明しました。

3 そして、少年に限ったことではありませんが、加害者になってしまうことにより、身柄の拘束やその後の刑務所や少年院への収容により、一般社会との関係が断絶してしまうことによる失業や退学のおそれ、「万引き」での示談の難しさや依存性や耐性が強い「薬物犯罪」の再犯率の高さについても、指摘し、加害者になってしまうことによる多くのリスクについて指摘しました。

4 30分弱という限られた時間の中で説明できることは限られていますが、Googleフォームでのアンケートでは、概ね好意的な評価をいただきました。
弁護士会が暴力団排除=犯罪予防の授業を行っていることについて、80%の方がご存じなかったのですが、逆に、「とても評価する」、「評価する」と回答してくれた方は、93.3%にのぼり、地道な活動の重要性を改めて認識することができました。
学生・生徒向けの暴力団排除=犯罪予防の授業のテーマとしては、性犯罪、インターネット犯罪、特殊詐欺の受け子、闇バイト、マルチビジネスを挙げていらっしゃる保護者の方が多く、また、小6や中学生に直に話してもらいたいという要望のほか、スマートフォンにダウンロードできるアプリを制限できないかといった悩みも書かれていました。保護者向けの授業の題材については、SNS関連、薬物犯罪、闇バイトが挙げられていました。今後、検討していきたいと考えています。
お子さんの携帯電話の利用状況についても質問しましたが、小6からスマートフォンの使用率が上がり始め、高校生になると、LINE、Twitter、Facebook、InstagramといったさまざまなSNSを利用している生徒が増えていることがわかりました。一方で、お子さんの携帯電話の内容について、まったく確認したことがないという保護者の方や高校生になってから確認していないという保護者の方もいらっしゃいました。
弁護士会のこうした取組みの広がりが、犯罪の予防の一助になれば、と考えていますので、ご関心やご興味がございましたら、民暴委員会までご連絡ください。

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