イベントレポート

デリバリー法律学習会:東京都立町田高等学校

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更新日:2023年11月29日

弁護士が都立町田高等学校で法教育の授業『大人』ってなんだろう--『民法』の視点から考えるを実施しました!

担当者:西澤宗英

⑴ 当初のご依頼

学校からの最初のご依頼は、「生徒が大学進学の際の進路選択に役立つような授業を、大学の法学部(法律)の分野で実際に行われる授業のような形でお願いしたいと思っております」というものでした。これは、従来当委員会が行ってきた出張授業の内容や形式とは異なるものでしたが、たまたま前職が「法学部教授」であったことから私が手を挙げました。
学校側の担当者(進路指導主任教諭と政治経済科目担当教諭)と最初の打ち合わせをした際、今回のご依頼は、同校が毎年11月に2年生を対象として行っている「高大連携事業」の一環であることがわかりました。併せて、「法学部は法律家を養成するところ」とか、「法科大学院」や「司法試験」についての風評から「法学部なんかに行ってどうするつもりか?」という「法学部」という学部についての「ある種の誤解」もあるようなので、それを解くような話もしていただけないかというご希望もありました。

⑵ 実施した授業の内容

このようなご依頼に加えて、さらに具体的に、現段階での生徒たちは、「法学部希望が固まっているわけではない、身近な法律問題や政治問題がないなどから、SNSや18歳成年など身近な文言でテーマを設定してもらえるとありがたい」というご希望も伺いました。そこで、本年夏の高校部会ジュニアロースクールで行った「総論講義」の「『大人』ってなんだろう」というキャッチコピーを提案したところ、それならばわかりやすいということでしたので、これを「法学部的に(「民法総則」の講義のように)」構成し直すことにして、「『民法』の視点から考える」という副題をつけることにしました。
こうした方針に基づいて、夏の講義案を基に新たに作成したオリジナルの講義案と、これを要約した紙媒体の「講義レジュメ」に基づいて、口頭での講義をすることにしました。 なお、こうした本来のテーマに加えて、前振りとして、「法学とはどのような学問か--『神学』、『医学』と並ぶ『人の【病】を癒す学問』の一つ」、「大学で法学を学ぶ意味」、「現在の法学部の目的--法的なものの考え方を学ぶ」を説明し、卒業後の進路は、経済学部や経営学部などと同じ分野(銀行・証券・保険、商社、メーカーなど)はもちろん、法律家以外でも法律に関わる領域がある分、より広い領域に広がっていることも説明しました。

⑶ 生徒たちの反応

人文・社会・自然全体に及ぶ11のテーマの中で「法律」を選んでくれたのは、1学年300名中30名(10%)でした。
紙媒体のレジュメのみで、スライドを使わず、板書もしない講義だったこともあり、生徒たちは担当者の顔を見ながら、時折うなづいたり、レジュメにメモやノートをするなど、静かに集中して熱心に講義に臨んでくれました。
講義終了後に行ったアンケート(回答数:30名中30名)では、法学部の講義や法学部への進学について、90%の生徒たちが肯定的・積極的な反応を示してくれました。

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