イベントレポート

高校生向けジュニアロースクール・イベントレポート(2023年度)

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更新日:2024年01月05日

法教育委員会では、2023年8月7日、高校生(及びそれに相当する年齢の方)を対象にジュニアロースクールを開催しました。ジュニアロースクールは、当委員会が毎年開催しているイベントで、法的なものの見方・考え方を学び、それらを使って、社会的課題についてみんなで議論し、より良い解決法を考えることを目的にしています。2020年度のコロナ禍以降、オンラインで実施していましたが、今年度は以前のように弁護士会館に来てもらい、対面で行うこととしました。

今年度の高校生向けジュニアロースクールのテーマは、「賃貸借契約の契約交渉」です。この企画の最大の魅力は、参加した生徒さんに「大学に進学した際の一人暮らし物件を探している借主」の役になりきってもらい、候補物件の大家役の弁護士との間で実際に机を挟んで交渉体験、ロールプレイングをしてもらうことです。癖のある弁護士が癖のある大家さんを演じることで非常に盛り上がる内容です。
とはいえいきなり交渉しろ、と言われてもなかなか難しいので、ロールプレイングをする前に、簡単な講義を行いました。そこでは、成人年齢の引き下げに伴い、一人で契約する/できる、ということはどういうことか、契約交渉といっても具体的にはどんなところがポイントになるのか、どうやって説得的に交渉するのか等を話しました。

私も弁護士として色々な紛争に関わっていますが、ただ自分の意見を通すのではなく、相手も尊重してみんなが幸せになるために合意をする、という説明を受けて争うだけではいい解決につながらないということを改めて実感しました。

その後参加した生徒さんには5人程度のグループに分かれてもらい、3つの候補物件の契約条件(賃料や間取り、楽器不可、ペット不可等)について、どこが攻めどころか、どこなら譲歩できるか等、グループ内で交渉の方針戦略や説得的な交渉するための材料や伝え方を議論してもらいました。
そして、1回目の交渉を行い、大家側としても譲れるところ譲れないところを確認し、再度作戦タイムを設け、2回目の交渉を行いました。
最終的にグループごとに、どの物件を契約することになったのか、又はどの物件も契約しないことになったのか、交渉によって条件を変えられたところはあったのかどうか、どんな交渉方法をしたのか等を発表してもらいました。また反対の視点である大家役の弁護士側からもこういった交渉で説得されたがいい条件で貸すこともできた、というコメントもあり、目的でもあったみんなが幸せになるための合意が実現できたのだと思います。

お昼休憩では弁護士と一緒にお弁当を食べる機会もあり、弁護士に聞きたい質問もたくさん飛び交いました。高校生対象ということで、具体的な進路として法曹を検討している生徒も多くおり、実際に弁護士と話すことが出来ていい機会になったとの感想も聞かれました。
来年も法教育委員会ではジュニアロースクールを開催予定です。ぜひまたお会いできることを楽しみにしています。

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