イベントレポート

2023年10月31日 障害のある子どもの就園就学ホットライン実施報告

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更新日:2024年02月02日

医療的ケアが必要な子どもは、保育園や幼稚園への受入れを断られたり、希望する学校に入れない、といった困難に直面することがあり、子どもの学びや成長に大きな影響が出ることがあります。
そこで、第二東京弁護士会では、2018年より、毎年「医療的ケア児就園就学などホットライン」を実施しており、昨年からは東京弁護士会も共同して行っています。

昨年からは、対象を障害のある子どもに広げています。本年は計20件の相談が寄せられました。これまでの6年間での総相談件数は、109件です。

今年の相談では、就園・就学に関する相談類型では、医療的ケアを理由に入園を拒否されるといった典型的な相談から、現在就学相談中であり、普通級への就学を希望しているが、支援級(支援学校)適という判定が出たと言われているといった就学拒否に繋がる可能性の高い相談等が寄せられ、これら就園・就学の拒否や拒否に類する相談が7件に上りました。
また、希望どおりの就園・就学はできているものの、医療的ケアを要することを理由にスクールバスに乗せてもらえないという相談や、障害を理由に行事への参加が認められなかったという相談も寄せられています。これら相談は、特定の障害があることにより、当該障害のない子どもと異なる取扱いをされるという差別事案であることから、今年からは、「その他差別」という類型で集計をおこなっています。今年は、「その他差別」類型に該当する相談が3件ありました。
合理的配慮拒否の類型では、合理的配慮が受けられずに保護者が付き添いを強いられるという相談が相次ぎました。また、本来学校が合理的配慮を提供しなければならないところ、そのために必要な機材を保護者負担で購入させられるなどといった費用負担に関する相談も寄せられました。今年の合理的配慮拒否の類型の相談は、6件でした。
その他の類型では、現時点では具体的な就園・就学、合理的配慮の拒否があったわけではないが、一般的に障害のある子どもの就園・就学の相談をしたいという相談等、合計4件の相談が今年寄せられました。

医療的ケアや障害を理由として入園や入学を拒否することは、障害児に対する差別に該当する可能性があります(障害者差別解消法7条1項(行政機関等の場合)、8条1項(民間事業者の場合))。また、必要な医療的ケアを行わずに保護者の付添いを求めるなどすることは、合理的配慮の拒否に該当することがあります(障害者差別解消法7条2項(行政機関等の場合)、8条2項(民間事業者の場合))。
就園・就学に関して不当な扱いを受けたと感じたときには、差別をしないことや、合理的配慮を提供することを、はっきりと求めましょう。入園入学については、正式な申込みをする前に「難しい」と言われてしまうことも多いですが、ともかくまずは希望をはっきり伝えて申込みをしましょう。
障害を持つ子どもの就園・就学に関するご相談は、下記でも受け付けていますので、お気軽にご利用ください。第二東京弁護士会では、今後も障害を持つ子どもの育ちと学びのために取り組んでいきますので、困ったときには早めにご相談ください。

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