イベントレポート

2022年11月1日 障害のある子どもの就園就学ホットライン実施報告

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更新日:2024年02月02日

医療的ケアが必要な子どもは、保育園や幼稚園への受入れを断られたり、希望する学校に入れない、といった困難に直面することがあり、子どもの学びや成長に大きな影響が出ることがあります。
そこで、第二東京弁護士会では、2018年より、毎年「医療的ケア児就園就学などホットライン」を実施しており、昨年からは東京弁護士会も共同して行っています。
本年からは、対象を障害のある子どもに広げ、計33件の相談が寄せられました。これまでの5年間での総相談件数は、89件です。

入園・入学に関する相談類型では、「障害児枠がいっぱい」、「現状学校に支援学級がなく、新しく作ることもできない」等との理由で入園・入学を拒否するケースが複数相談されました。また、申込み以前から、現在在籍中の保育園や学校から「特別支援学校に行くべき」などと意見を述べられ、申込み自体を躊躇してしまうケースも毎年相談されています。さらに、地域の小学校の普通学級から特別支援学級、特別支援学校への編入等を求められるというケースも報告されています。
合理的配慮拒否の類型では、支援学級がなく、普通級なら受け入れ可能であるが人員や予算が足りないため合理的配慮を断るというケースが散見されました。また、特別支援学級・特別支援学校のスクールバス内に車載カメラを設置してほしいと求めているのに設置してくれない、子ども間トラブルにおいて障害を理由に十分な聴き取り・対応をしてもらえないという類型も報告されています。
その他の類型では、具体的な就園・就学、合理的配慮の拒否があったわけではないが、一般的に障害のある子どもの就園・就学の相談をしたいという内容も複数ありました。

医療的ケアや障害を理由として入園や入学を拒否することは、障害児に対する差別に該当する可能性があります(障害者差別解消法7条1項(行政機関等の場合)、8条1項(民間事業者の場合))。また、必要な医療的ケアを行わずに保護者の付添いを求めるなどすることは、合理的配慮の拒否に該当することがあります(障害者差別解消法7条2項(行政機関等の場合)、8条2項(民間事業者の場合))。
就園・就学に関して不当な扱いを受けたと感じたときには、差別をしないことや、合理的配慮を提供することを、はっきりと求めましょう。入園入学については、正式な申込みをする前に「難しい」と言われてしまうことも多いですが、ともかくまずは希望をはっきり伝えて申込みをしましょう。
障害を持つ子どもの就園・就学に関するご相談は、下記でも受け付けていますので、お気軽にご利用ください。第二東京弁護士会では、今後も障害を持つ子どもの育ちと学びのために取り組んでいきますので、困ったときには早めにご相談ください。

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