イベントレポート

「成年年齢の引き下げ」をテーマにした出張授業を行いました

LINEで送る
更新日:2024年02月16日

法教育委員会では、1月17日、攻玉社高等学校の2年生に「成年年齢の引き下げ」をテーマにした出張授業を行いました。

各クラスで、黙想をしてから授業を始めました。冒頭は、三権分立についての基礎的な内容や、実は日常生活を送る上で法律は身近に存在していること、現在の法律が絶対的なものではなく新しく制定されたり改正されたりしていることに触れました。
そして、成年年齢について考える前に、まずは、「みなさんの考える『大人』って何ですか」と問いかけました。この質問に対しては、経済的な自立ができていること、自動車の運転免許取得など一定の年齢になると認められる行為ができるようになること、自分が行ったことについて責任をとれることなどの様々な回答がありました。これらの回答を踏まえつつ、大人と未成年者とを対比し、未成年者のように社会が保護する必要のある人とそうでない人とを分ける一つの基準として年齢が採用されていること、しかし何歳が適切な基準なのかという点については理論的な根拠がないことを説明しました。
ここからは、各グループに分かれて、成年年齢の引き下げについて検討をしてもらいました。
1つ目の議題は、「契約を一人でできる年齢を18歳とすることに賛成ですか。反対ですか。」というものです。18歳は大学進学の時期と重なり一人で契約ができたら便利であることや、早期自立を促すきっかけとなることから、賛成の意見が多くありました。一方、経済的な自立が十分にできていない状況で責任を負うのは難しいことから年齢を引き上げるべきという意見や、法律上15歳で就職をする場合は経済的な自立ができることから年齢を引き下げるべきという意見もありました。年齢ごとの生活環境や状況を想定した具体的な意見を多く聞くことができました。

2つ目の議題は、選挙権の年齢が18歳に引き下げられたことを踏まえ、「選挙権の年齢は20歳に戻したほうがよいか。」というものです。議論の参考資料として配布した世界各国・地域の選挙権年齢・被選挙権年齢の分布に関する資料や、年代別の投票率に関する資料を検討し、それらの資料から読み取ることができる内容を踏まえて議論を行いました。グループの中でも意見が割れる難しい問題でしたが、社会経験が十分でなく周りの影響を受けやすいと思われることから20歳に戻したほうがよいという意見や、早いうちから政治参加を促し、また政治に幅広い意見を反映するという観点から18歳に引き下げたままにすべきとの意見がありました。また、配布資料を読み込み、具体的な数値を引用した上で、自らの意見を述べる場面があり、説得力のある様々な意見が飛び交いました。

あと少しで成年となる高校2年生の当事者意識の高い活発な議論が行われ、全体を通して、とても盛り上がりました。
皆さんの、柔軟な発想力、分析力、そして仲間と協調しながら真面目に課題に取り組む姿勢に、弁護士一同感服いたしました。今回の体験が皆さんの糧となれば幸いです。

もどる