イベントレポート

法教育ジュニアロースクール イベントレポート2024春

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更新日:2024年05月08日

法教育委員会では、2024年3月27日に、中学生以上を対象としてジュニアロースクールを開催しました。ジュニアロースクールは、法教育委員会が毎年実施しているイベントで、参加していただく皆さんに、論理的なものの見方、考え方を理解し、自らの考えを相手方や第三者に上手に伝えることを実践し、体験していただくことを目的としています。

今回のジュニアロースクールは、昨年夏に引き続き弁護士会館での対面で実施され、190名の応募の中から抽選に当選した65名の方にご参加いただきました。

1.使用教材について

使用した教材は、「『豪華客船の夜』〜道化師の推理夜会〜」という法教育委員会オリジナル脚本です。 豪華客船で開催された謎解きイベントで優勝した貴婦人は、その夜、何者かに殺され、優勝賞金である500万円もなくなっていました。現場には「ピエロ」というダイイングメッセージのようなものが残されており、ピエロの格好をした不審な人物の目撃情報も出てきます。そして、犯人として起訴されたイベント参加者の女性は「お金は取ったが殺していない」と主張します。

さて、被告人は貴婦人を殺したのか否か。参加者には、裁判官になって、有罪か無罪かについて判断をしてもらいました。

2.刑事裁判に関する基本的な説明

まず、刑事裁判における2つの重要なルールである、無罪推定の原則と証拠裁判主義についての説明し、次に、「ある事実があったのか、なかったのか」を判断する事実認定について、「プリンを食べたのは誰?」という新作の映像を使用して、検討すべき点や評価の仕方について説明しました。 ここまでに裁判官に必要な基本的なことを学んだ生徒たちは、いよいよ具体的な事件に入っていきます。

3.事件を知る

まず、検察官役の弁護士が、検察官の提出した書証(書面になっている証拠)について説明し、次に、証人2人に対する証人尋問と被告人に対する被告人質問。30分くらい続くやり取りを、生徒たちはメモを取りながらDVDを視聴しました。

4.お昼休憩

開始から約2時間、少し頭の疲労がたまってきました。生徒たちは3種類のお弁当のうち好きなものを選び、今日初めて会った違う学校の生徒、弁護士やロースクール生などと一緒に歓談しながら食べました。 約1時間の休憩後、生徒たちには裁判官としての判断をする時間がやってきました。

5.有罪無罪の検討と発表

ここからは班ごとの白熱した議論の時間です。まずは、証拠裁判主義の原則に則って、一つ一つの証拠が有罪、無罪どちらの根拠となるのかについて、検察官の主張するストーリー、被告人側の主張するストーリーを意識しながら、議論を戦わせました。 その後、班ごとの結論と理由の発表を行いました。ほとんどの班では有罪派、無罪派に意見が割れ、班としての1つの結論を出せない班もありました。全体としては有罪、無罪が半々くらいになりました。

6.弁護士からの講評

各班担当の弁護士が検討内容や判断に関するコメントを述べました。概要、着眼すべき点についてはどの班ももれなく検討してくれており、難易度の高い点の検討にたどり着いた班もあり、大変レベルが高かったというものでした。参加者のみなさん、本当にお疲れ様でした。

7.参加者の感想と今後の活動について

参加者からは、自分が思いつかない意見があって新鮮だった、議論が楽しかった、裁判官や弁護士は大変な仕事だと思ったなど、たくさんの意見をいただきました。今回の機会が少しでも、法律や法律家に興味を持つきっかけになってくれたら大変うれしく思います。

次回は来年春の開催を予定しており、こちらのサイトでご案内しますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。
https://niben.jp/service/event/law/

なお、法教育委員会では、小中高の各学校への出張授業も行っていますので、以下のサイトからのお申込みをお待ちしています。
https://niben.jp/service/jichitai-kyoiku/education/jyugyo/

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