イベントレポート

「高校生対象ジュニアロースクール・イベントレポート(2024年度)」

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更新日:2024年10月04日

法教育の普及・推進に関する委員会では、2024年8月7日に、高校生(及びそれに相当する年齢の方。以下併せて「高校生」といいます。)を対象としたジュニアロースクールを開催しました。このイベントは、当委員会が高校生に対する法教育の普及・推進のために、毎年開催しています。法教育とは、法的な見方や考え方を学び、①事実を認識し、問題を多面的に分析する、②自分の意見を形成・発信する、他人の主張を理解する、③様々な意見がある中で、それらの意見を調整して合意形成を図る能力等を身に着けることを目指したものです。今年度は、最近、ニュースでもよく目にする「クマ」の問題をテーマに、弁護士と一緒にルール作りを体験していただくという企画としました。

イベント当日は、講師から、まずは高校生の皆さんに、クマについて知ってもらうため、その種類、生態について簡単なレクチャーを行いました。また、クマによる人身・農作物への被害やクマを駆除しようする動き、それに対する反対意見、模索されているクマとの共存の方法について簡単にお話ししました。
次に、高校生の皆さんに 5、6名ずつ、6つのグループに分かれていただき、クマの駆除を重視するのか、それともクマとの共存を重視するのかの視点から、各班ごとにクマについてのルール作りをしていただきました。グループには数名ずつ弁護士と大学生や大学院生のインターン生が入り、議論のファシリテーションを担当しました。

各グループでルール作りをしていただいた後、グループごとに作ったルールの発表をしていただきました。いずれもよく考えられたルールで、弁護士では考え付かなかった面白いルールもありましたが、それらに対して、別の班の高校生から様々な質問が出されました。その質問に対する回答を考えていただくことで、作ったルールの問題点や考えていなかった視点なども浮き彫りになり、各班のルールの検討がより深められたのではないかと思います。最終的には、参加者皆さんに一つのルールを選択していただき、そのルールに、具体的なケースをあてはめた場合、妥当な結論が出るのかも考えていただきました。イベントの最後には、客観的な資料に基づいて検討すること、話し合いを重ねること、説得し、説得されること、また、社会課題についての答えは一度決めたら絶対的なものになるというわけではなく、社会の状況の変化などに応じて、常によりよいものにしていく必要があることなど、法教育に関わる弁護士が大切にしているメッセージを皆さんにお伝えしました。

お昼のお弁当タイムには、元裁判官の弁護士や法律事務所で他職(弁護士)経験中の検察官も含めて、法曹のお仕事紹介も行いました。イベント終了後も、会場に残った多くの参加者から、法曹の仕事や日頃感じている法律などに関するたくさんの質問がありました。イベント終了後のアンケートでも、「大変満足」、「とても楽しかったです。頑張って法学部に入ります!」、「主体性に重きを置いており、まとめてくれたおかげで議論の活発化につながった」、「非常に有意義で学び深い時間になりました。小さなころから法曹界に興味があったので、今回の経験を通して自分自身をより成長させ、夢への第一歩を踏み出すきっかけにしたいと思います」などとの回答を多くいただき、法教育のみならず、法曹という仕事自体にも興味を持った生徒が多数おり、参加した弁護士にとっても、とても楽しい充実したイベントとなりました。

集合写真
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