イベントレポート

2024年度「女性会員と理事者との意見交換会」レポート

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更新日:2025年04月08日

2024年10月11日(金)午前11:00から日比谷「松本楼」において、「女性会員と理事者との意見交換会」を開催いたしました。
当日は、当会理事者7名及び男女共同参画推進二弁本部3名が出席し、当会女性会員13名(うち当会理事者経験者2名)の意見を聴取いたしました。
本交換会では以下のテーマについて、女性会員と理事者の間、女性会員どうしの間において、以下のような意見交換がなされました。

1. 女性弁護士の業務環境について

(1) 出産を控えた女性会員や、出産直後の女性会員らから、①自営業者の場合、出産による休業への補償が基本的にはないこと、②育児をしながら業務をする場合、現在の世情のもとでは、主に母親の稼働時間が制限されることなどから、こうした出産育児と業務の両立をどのようにすればよいか悩ましい、という問題意識が示されました。

(2) これに対し、子育て中の女性会員や、子育てを終えた女性会員らから、①育児と業務の両立に関するTips(例:子供が小さいうちは熱を出しやすいので、対応できるよう、午前の期日はなるべく避ける)が共有され、②「産前と同じ働き方に戻そうとしない」「外部サービスを積極的に活用する」「細く長く働き続けることの重要性を理解する」といったマインドセットについて助言がありました。

(3) また、理事者からは、①自らが子育てと業務を両立させるために行った取組み(例:ベビーシッターの活用)についての経験共有、②業界全体において、弁護士法人と弁護士が雇用契約を締結する運用が広まったほうがよいのではないか(産休を取得すると雇用保険の対象になる)という示唆がありました。

2. 女性弁護士の老後への備えについて

(1) 女性会員から、弁護士は自営業の形で働くことが多く老後の保障が手薄であるところ、女性は長生きしがちであることから、老後資金の確保やいわゆる終活をどのように進めればよいか経験を共有しあいたいという問題意識が示されました。

(2) これに対し、理事者らや女性会員らからは下記のようなアイデアが示されました。 (a) 弁護士国民年金基金の活用 ※なおこれに関連して、弁護士国民年金基金は留学等で一時的に国外に住む場合には脱退しなければならず、再加入時の年齢によって保障が著しく減るため、国民年金同様、継続を可能にしてほしいとの要望が女性会員からありました。当会理事者の1名が基金の理事を兼ねていたことから、基金の理事長に対し要望を伝えることとなりました。 (b) 倒産防止共済・小規模企業共済の活用(特に、収入に波のある自営業の場合、収入が多い年にこれらの掛金を支払い損金算入することで節税効果を享受) (c) 年金保険等の保険商品の活用 (d) 外貨建て金融商品の活用 (e) 投資信託の購入や不動産投資の活用(出産等で収入がゼロになる年があるような場合、保険だと掛金を収入に合わせて変更できないが、投資額は柔軟に変更がしやすい)

(3) また、老後資金確保に関連しうる制度として、当本部から、当会には75歳以上の会員に対する会費免除制度があることを女性会員らにご案内しました。

3. 女性弁護士の会務参加について

(1) 女性会員ら及び理事者らから、会務参加のメリットとして、所外の弁護士(主に先輩弁護士)と交流を持ち、知見を得る機会に恵まれやすいということが指摘されました。

(2) 女性会員らから、会務参加を妨げうる要素として以下が指摘されました。 (a) 企業内弁護士の場合会務のために時間をあけることが容易ではない (b) 会議の回数が多い (c) 会議の時間が長い(2時間が基本になっている)

(3) 上記の指摘については、女性会員らや理事者らから、ある委員会に所属しているからといって無理にすべての会議に出席する必要まではないのではないか、無理なく参加できる日程で活動している委員会に所属するのでも構わないのではないかといった示唆がありました。

(4) また、女性会員らからは、夜間は家庭の都合で外出しにくいため、当意見交換会のような昼間のイベントを増やしてはどうかとの提案がありました。

また、当意見交換会に参加いただいた女性会員を対象に事後アンケートを実施し、下記のご意見をいただきました。

4. 当意見交換会自体の改善点について

(1) 参加者間であらかじめ当本部が設定した議題に縛られずフリートークができる時間を設けてはどうか

(2) 参加者間で個別に挨拶ができる時間を設けてはどうか

(3) 発言者にマイクを回すのを待つ時間を節約できるようマイクの本数を増やしてはどうか

(4) 女性会員の働き方にもう少しフォーカスをあてた議題設定をしてはどうか

(5) 女性会員ならではの課題といってもライフステージや業務内容等により幅があるため、トピックをより絞ったイベントとしてはどうか

5. 2023年度の当意見交換会における指摘事項への継続フォローについて

(1) 細切れ時間でも参加できる会務があったほうがよいとの要望があったが、二弁フロンティアの読者モニターはそのような会務の候補となるのではないか。

(2) 産後の働き方の情報提供がほしいとの要望に対し、当本部からは二弁メンター制度の活用を提案されたが、二弁メンター制度について周知が不十分ではないか。

6. その他

(1) 二弁フロンティアの出産・育児報告の情報を、当会ウェブサイトの二弁フロンティアのバックナンバーページだけでなく、同ウェブサイトの出産・子育て支援ページにも掲載してはどうか。

本意見交換会(及びその後のアンケート)にていただいたご意見等を参考に、女性会員が必要としているものは何なのか、そして、当会として、どのような方法で女性会員をサポート・支援を提供していくことができるのか等について考えていきたいと思います。
当会では、男女共同参画を積極的に推進すべく、様々なイベントを実施する予定です。今後もホームページを通して発信していきます。

※なお、本イベントレポート作成日(2025年3月12日)までの時点において、2024年度本交換会でいただいたご要望に関連して、以下の対応を取らせていただきました。

ご要望当会の対応
3(2)(a)企業内弁護士が参加しやすい会務委員会により活動内容が異なるため、男女本部にて個別のご案内は難しい点、ご理解いただけると幸いです。
二弁フロンティアやeニュースなどに委員会の情報がございますので、その中で興味のある委員会に連絡を取っていただき、細切れ時間で対応可能なものがあるかを問い合わせていただけると幸いです。
なお下記5(1)も併せてご覧ください。
3(2)(a)(b)会議の短縮会議の短縮については毎年度初めに会長より各委員会に要請されております。
委員会により会議で議論すべき議題の多少が異なるため、一律の対応は難しいものの、例えば当本部ではなるべく会議が60分程度に収まるよう、事前の書類回覧や正副本部長への委任等を活用しております。
3(4)営業時間内のイベント委員会により活動内容が異なるため、一概ではありませんが、当本部では「朝会」「キャリアプラン相談会」(主に家事・育児・介護と業務の両立に悩む若手会員がメンター担当者と話せる昼食会)など、会員同士の交流の場を営業時間内にももつようにしております。
4(1)-(5)ランチ会の開催態様貴重なご指摘を頂戴しました。来年度ランチ会を開催する場合にはご指摘を踏まえて運営を改善いたします。
なお、トピックを絞ったイベントの例としては、若手会員向けに、3(4)記載のキャリアプラン相談会を開催していることが挙げられます。
5(1)細切れ時間でも参加できる会務二弁フロンティアのモニターについて広報室より3月下旬より追加公募開始予定であると伺っております。詳細は会員サービスサイトのお知らせ欄及びeニュースにてお知らせ予定とのことですので、ご確認ください。
また、当本部が管轄している「メンター制度」のメンター担当者については、相談者からの相談時間について、申告の上公益活動認定の対象となります。不定期での対応となるため、細切れ時間でも参加しやすいと思われます。メンター担当者の活動内容にご興味がおありの方は、当本部(連絡先:Tel 03-3581-2257 Fax 03-3581-3338(第二東京弁護士会人権課))までご連絡ください。
5(2)二弁メンター制度の告知3(4)記載のキャリアプラン相談会の告知を全会員向けにさせていただき、その中でメンター制度についてもご紹介しています。
6(1)出産・育児報告掲載ページへのリンク対応しました。
https://niben.jp/member/support/shien/