「がんばろう!能登復興応援ツアー」レポート
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互助会運営委員会 幹事 栗林武史
2025年11月15日から一泊二日で、石川県珠洲市を中心とした復興応援ツアーを実施しました。38名(70期台15名)の皆様にご参加いただき、大変、有意義なイベントとなりましたので、その様子を一部、レポートしたいと思います。当委員会は、2011年に発生した東日本大震災以降、被災地復興応援ツアーを実施しており、今年で9回目となります。今年は昨年に引き続き、昨年1月に発生した能登地震により被災された地域を訪問しました。昨年は交通網が復旧していなかったこともあり、金沢から穴水町までの旅程となりましたが、今年は、被害が最も大きかった輪島市や珠洲市まで足を運ぶことができました。午前8時55分に羽田空港を出発した我々の飛行機は、無事にのと里山空港に到着し、そのままバスで珠洲市に向かいました。道中、当会災害対策委員会副委員長の鈴木秀昌先生から能登地方の復興状況についてご説明いただきました。鈴木先生は、今年だけで20回以上、能登地方を訪問して支援活動しておられるため、報道等では知り得ない地域の実情を知ることができ、また、お話自体も面白いため、本職はガイドさんではないかと疑うほどでした。
珠洲市では「すずなり食堂」で昼食をとり、ここから地元のNPO団体の方々にもガイドに加わっていただきました。ガイドをしていただいた金田直之さんは、珠洲市の副市長であられ、当日は公務としてではなく、あくまでボランティアとして我々に同行してくださいました。バスに乗って、芸術祭に出展された作品(something Else is Possible/なにか他にできる)を見学に行きましたが、この作品は廃線となった線路を用いたもので、参加者全員で映画「スタンドバイミー」のごとく線路を歩くという貴重な体験をさせていただきました。その後、市役所に移動し、金田さんから現在の珠洲市の復興状況について詳しくご説明いただきました。ボランティアの皆さんは、ご自身も自宅が倒壊するなど大変な体験をされており、お話は本当に身につまされるものでした。津波被害に関しては、元々地元では、地震があった場合には、いわゆる「外能登」に津波が来ると予想されていたところ、実際は、「内能登」の被害が大きかったとのことでした。震災前後の写真を見せていただいたときには、変わり果てた街の様子に言葉を失いました。復興を進めて行く中で特に苦労したのは水の確保とのことで、仮設トイレや携帯トイレの重要性に関するお話は、本当に勉強になりました。その後はバスに乗り、見附島を見学に行きました。島自体が崩落してしまい、震災前とは全く違う景色になってしまったことに衝撃を受けました。そのまま仮設住宅や集会所を見学しました。この仮設住宅は、建築家の坂 茂さんが設計したもので、本年度のグッドデザイン賞を受賞したそうです。一日目の旅程はこれで終了となり、和倉温泉にあるホテル「のと楽」に向かいました。夕食会には、昨年もご参加いただいた「おくのと法律事務所」の中上勇輔先生(元当会所属で現在は金沢弁護士会に所属)にも合流していただき、体験談をお聞きしました。夕食後は、若手の先生方との懇親を深めました。夜も深くなり、一度散会となったのですが、なぜか人数が増えて再会されるという過酷な懇親会となりました。
翌日は観光です。例年、二日目は観光組とゴルフ組とに分かれて行動するのですが、今回は観光のみとし、直帰組を除く20名が参加しました。最高に話が面白いガイドさんの案内の下、最初に訪れたのは「能登ワイン工場」です。欧州のカベルネソーヴィニヨンと日本の山ぶどうを交配した品種を用いた絶品ワインを製造しているとのことでした。能登ワインの製造工程を見学し、試飲と称してたくさんワインをいただきました。もちろん、お土産も購入しました。
その後、昼食会場の「なぎさガーデン」で地元の海の幸を堪能しました。ご参加いただいた山田秀雄元会長のご厚意で、全員で焼牡蠣をいただきました。すぐ近くの海岸からは立山連峰を眺めることができ、改めて「能登は自然の豊かな本当に素晴らしいところ」だと思いました。その後は輪島市に移動し、「しおやす漆器工房」で輪島塗漆器の製造工程を見学しました。もちろん、お土産も購入しました。再びバスに乗り、ガイドさんの心地よい案内の下、睡魔に襲われながら白米千枚田を訪問し、地震の影響で隆起してしまった海岸線を見学しました。震災前は文字通り1000枚程度の水田が震災による地割や斜面の崩壊で現在500枚ほどに減少しているという話を聞き、災害は、人々の生活だけでなく、文化や自然までも破壊するものと知り、心が痛みました。併設された道の駅で、お土産屋のおかあさんが、たくさんサービスをしてくれました。バスが見えなくなるまで手を振って見送ってくださったこと、一生忘れません。
全日程を通じて晴天に恵まれ、地元の方によれば、「これだけ天気が良い日が続くのは本当に珍しい。」とのことでした。紙面の関係で割愛しましたが、道路や建物に生じた亀裂、解体途中の建物、仮設住宅など、観光の旅程でも数えきれないほどの震災の爪痕を確認することができました。近年、気候変動の影響か、大規模災害が頻発しています。私たちに何ができるかを考えたとき、金田さんの「震災のことを風化させてはならない。だから、こうしてたくさんの方が訪ねて来てくれること自体が本当に嬉しい。」という言葉が思い出されます。当委員会はこれからも復興応援ツアーを続けて参りますので、是非、ご注目ください。



