会長声明・意見書

「結婚の自由をすべての人に」訴訟東京地裁判決を受けての会長談話

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更新日:2022年12月09日

2022年(令和4年)12月9日
第二東京弁護士会 会長 菅沼 友子

 2022年(令和4年)11月30日、東京地方裁判所において、法律上の性別が同性である相手との婚姻を望む原告らが、同性間の婚姻を認めていない民法及び戸籍法の規定は憲法24条が保障する「婚姻の自由」を侵害し、憲法14条1項が保障する「法の下の平等」に反する不合理な差別であって違憲であるなどとして、国に対し、損害賠償を求める訴訟(「結婚の自由をすべての人に」訴訟)について、判決が言い渡されました。

 裁判所は本判決において、パートナーと共同生活を送り子どもを養育するなどして、社会の一員として生活している同性カップルの実態は、男女の夫婦と変わることはなく、パートナーと法的に家族となることは、その人格的生存にとって極めて重要な意義を有するものであるから、同性カップルにとっても、婚姻により得ることができる利益は「個人の尊厳に関わる重大な人格的利益」であると指摘しました。そして、同性カップルが家族になるための法制度が存在しないことは、その「人格的生存に対する重大な脅威、障害」であり、個人の尊厳に照らして合理的な理由があるとはいえず、憲法24条2項に違反する状態にある、と判断しました(ただし、そのような法制度の構築の方法については立法裁量があり、民法等の規定が違憲とまではいえないとして、請求は棄却)。
 これは、同種の訴訟について同性カップルに婚姻による法的効果の一部でさえも認めないとしていることは合理的根拠を欠く差別的取扱いであって憲法14条1項に違反すると判断した札幌地方裁判所判決(2021年3月17日)に続いて、裁判所として国会に対して立法を求める強いメッセージを発したものといえ、同性カップルの婚姻の法制化を前進させるものとして高く評価されるべきです。

 当会は、国会に対し、同性カップルが家族になる法制度がない現状が違憲状態であると明確にした本判決を真摯に受け止め、その状態を改めるための立法に速やかに着手することを求めます。併せて、性的指向や性自認を理由とする差別やハラスメントの防止・禁止を明記した立法を進めることを改めて求めます(当会2021年6月16日付「性的指向及び性自認に関する差別を防止・禁止する立法を求める会長声明」参照)。
 すべての性の多様性が尊重される社会の実現のため、当会としても、性的少数者に関する法律問題等をテーマにした研修等を実施して意識の啓発に努めるなど、引き続き取組みを進めていきます。

「結婚の自由をすべての人に」訴訟東京地裁判決を受けての会長談話(PDF)

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