両性の平等に関する委員会

海外の動き


第1章   概 要 1990年3月に、司法協議会はカリフォルニア州裁判所システムにおけるジェンダー・バイアスに関する同協議会の先駆的な包括的草案報告書である『裁判所における女性と男性のための平等な裁判の実現』を発行した。この草案報告書は、前カリフォルニア州首席裁判官であるマルコムM.ルーカスによってカリフォルニア州の全裁判所におけるジェンダー・バイアスの事例を調査し、証拠書類で立証するよう命じられていた「裁判所におけるジェンダー・バイアスに関する司法協議会諮問委員会」(以下、単に「諮問委員会」と称する)(注1)による3年におよぶ困難な作業の成果である。諮問委員会は実際に、カリフォルニア州裁判所システムにおける重大且つ広範なジェンダー・バイアスを発見し、改革を求めて67の個別の勧告を提案した(注2)。 6年後の現在、この報告書は最終的な形で発行され、対になっている実施報告書が公表されているが、諮問委員会が取り組んだ数々の問題はその重要性と複雑さを保っている。O.J.シンプソンが被告となった殺人事件をめぐる刑事・民事両裁判、いわゆる「世紀の裁判」に米国中が虜になった事実は、ジェンダー・バイアスが如何にアメリカ人にまとわり続けているかを示す正に1つの例である。空前の報道合戦の結果、この裁判は、取引材料として子供の保護を利用すること、ドメスティック・バイオレンスに対する裁判所のアプローチ、ならびに女性弁護士が直面するステレオタイプ(注3)を含め、この報告書が取り組もうとしていた諸問題の幾つかをほとんどのアメリカ人家庭に持ち込んだのであった。 裁判所におけるジェンダー・バイアスのこうした問題およびその他の問題は、この報告書の草案発行時と最終版発行時の間に消滅していなかった。あるとすれば、過去5年におよぶ経済動向および人口動態動向が、諮問委員会の作業をカリフォルニア州住民の日常生活にとって一層密接なものにし且つその実施を一層重要なものとした。それでも、この報告書の2バージョンの間に多くのことが実現されてきた。この分厚い文書と共に実施報告書が発行されているので、諮問委員会の幾つかの勧告について大きな進歩が生じてきた。州と連邦の特別専門委員会が他の裁判所システムにおけるジェンダー・バイアスを証拠書類で立証する作業を継続してきているので、全国レベルでも進歩が生じている(注4)。 この概要は、諮問委員会が検討した5つの主要分野、即ち家族法、ドメスティック・バイオレンス、刑法および少年法、裁判所の管理運営、ならびに民事訴訟および法廷での行状、における諮問委員会の主な結論の概略を述べている。この概要はまた、諮問委員会による実施作業要請、ならびにジェンダー・バイアスに関する裁判官教育の十分な展開要請を説明することになる。これらの結論を検討する前に、この概要はジェンダー・バイアスという問題に対する諮問委員会のアプローチ、諮問委員会の作業のユニークさ、ならびにこの報告書を更新するためになされた作業を説明することになる。 注1:諮問委員会の委員はこの報告書の前付けの中で列挙されており、またこの要約の中でも説明されており、更にこの報告書の付属書類Aの中でも列挙されている。
注2:後に追加勧告が1つ加わり、合計68の勧告となった。採択前に司法協議会によって若干手直しされたものの、勧告は実質上、諮問委員会が提案した形で採択された。勧告はこの報告書中に出ており、また最終的な形で個々の章に出ている。
注3:例えば、首席検事のマルシア・クラークは彼女の服のスタイルを繰り返し批判され、また彼女の仕事のスケジュールが子供を監督していくのを不適切なものにしていると主張する彼女の前の夫によって後見書類を送達されている。
注4:バブコックが著した「スタンフォード・ロー・レビュー」第45巻所収の『序論:裁判所におけるジェンダー・バイアス、ならびに公民教育および法律教育(1993年)』。同レビュー第45巻の頁2143の注2(「この論文の執筆時点で、少なくとも28の州とコロンビア特別区が裁判所におけるジェンダー・バイアスという問題を研究している」)参照。同じく、頁2146の注19(ジェンダー・バイアスに関する特別専門委員会の関連記事引用の収集)参照。
I. 諮問委員会の報告書の起源 最初から、諮問委員会はずば抜けた才能とリーダーシップに恵まれていた。共同議長である司法倫理に関する全国的な専門家である上訴裁判所判事デビッドM.ロスマンとロサンゼルス第26上院地区選出のカリフォルニア州議会上院議員のダイアンE.ワトソンが、豊富な経験と確固とした指針を与えた。諮問委員会はまた、同委員会の副議長であるロサンゼルス上訴裁判所判事のジュディスC.チャーリン、ならびに諮問委員会の小委員会の座長であるカリフォルニア州弁護士協会の事務局長であるハーバート・ローゼンザール、ロサンゼルス上訴裁判所判事のメリディス・C・テイラー、当時南カリフォルニア州女性法律センターの管理検事であり、現在はロサンゼルス第41下院地区選出のカリフォルニア州議会下院議員であるシーラ・ジェームズ・コール、ロサンゼルス上訴裁判所判事のキャサリン・ドイ・トッド、ならびに米国連邦破産裁判官のリサ・ヒル・フェニングの並はずれた尽力から恩恵を受けた。スペースの関係で、諮問委員会のこれらの優秀なメンバーおよびその他の優秀なメンバーの素晴らしい経歴および経験を完全に説明をすることはできない(注5)。 諮問委員会の全委員が、勧告のとりまとめ、および草案報告書の発行に向けて数え切れないほどの時間を捧げた。彼らの作業は、特別顧問兼コンサルタントとして貢献した、全国的に認められたジェンダー・バイアスの専門家であるノーマ・ウイックラー博士の貢献によって限りなく改善され且つ容易なものとなった。ウイックラー博士はサンタクルーズにあるカリフォルニア大学サンタクルーズ校の前社会学教授であり、「裁判所における男女のための平等を促進する全国裁判官教育プロジェクト」の創作責任者であった。ウイックラー博士は、性の公平という主題について国際的に認められた学者であり専門家である。 諮問委員会は、1987年4月に第1回会合を開き作業を開始している。諮問委員会の最初の仕事は、ジェンダー・バイアスの仮定義をまとめることであった。諮問委員会は、ジェンダー・バイアスを以下のものに基づくか、あるいは以下のものを明らかにする裁判制度における行為もしくは意志決定と定義した。即ち、(1)女性と男性の性質および役割についてのステレオタイプの態度、(2)彼らの相対的価値に対する文化上の観念、あるいは(3)両性が遭遇する社会的・経済的現実に関する神話および誤った概念。 諮問委員会は研究計画を策定し、裁判所におけるジェンダー・バイアスという問題の複合的な像を得るために様々な情報源から情報を収集することを意図する方法論上の戦略を追求した。諮問委員会は何度も繰り返し、様々な多くの情報源から集めた情報は相互に確証的なものであるということを発見した。諮問委員会の方法論上のアプローチは、ジェンダー・バイアスに関する国中のその他の特別専門委員会によって用いられたアプローチと合致するものであった(注6)。 研究議題を追求する際に、諮問委員会はカリフォルニア州内の様々な場所で5つの公聴会を開催し、州の判事の73%が回答した18頁の調査表を発送し、6ヶ所で開催された地域の秘密会議の場で200名の検事から証言を聞き、また女性の収容者のための矯正施設2カ所を訪れた。諮問委員会はカリフォルニア州中から200通を越えるコメントレターを受けとり、女性弁護士グループからの報告書の提供を要請し、また裁判所の雇用慣行に関する調査を実施した。 情報収集段階を完了した後、諮問委員会は一連の集中的会議を開催し、改革を求めて適切な勧告をとりまとめた。諮問委員会は完全且つ精力的に問題を討議し、最終的には個々の勧告についてコンセンサスに到達した。草案報告書の執筆は、各々の実体分野における勧告の必要性を説明することに重点を置いた。 ―――
注5:諮問委員会の委員の完全な一覧表と、ならびに草案報告書の発行の時点(1990年3月)時点での委員の所属については、付属書類A参照。
注6:主導的学者が満足げに書いているように、「特別専門委員会の報告書の定番となってきている量的データおよび経験に基づく証言の混合は法律家の意識高揚形態であり、個々の話を詳しく話すことは典型的なフェミニストの手法である」。バブコック著、上掲書、頁2148。
Ⅱ. 草案報告書の完成 草案報告書は、裁判所システム内外から広範な賞賛を受けた。カリフォルニア州の報告書は他の州、性の公正に関する全国会議の場、ならびに第9巡回区連邦控訴裁判所によって検討された。草案報告書の公表はカリフォルニア州中の新聞によって報道され、著名な論説執筆者から賞賛された。特に、ロサンゼルス・タイムズは「法制度における女性に対する過酷且つ巧妙な差別を是正する方策」を提供するための報告書の勧告を賞賛し、勧告が一旦実行されれば「カリフォルニア州を米国全州のリーダーとする」ことになるであろうと予測した(注7)。更に、裁判所事務局(AOC)は、公衆からのコメント受付期間中に多くの支持レターを受けとっている。 カリフォルニア州の草案報告書は革新的且つ重要なものと見なされたが、その理由は初めての報告書の部類に属するからというだけではなかった。女性法律家および裁判所職員に影響を及ぼす問題に専ら焦点を置くよりもむしろ、(これらの問題は民事訴訟および法廷での行状、ならびに裁判所の管理運営に関する章の中でカバーされているけれども)草案報告書は、特に中低所等層の女性に影響を及ぼす幾つかの実体法分野、即ち家族法、ドメスティック・バイオレンス、刑法、および少年法における状況を余すことなく文書化している。これらの分野において、草案報告書は十分な代理、情報、法廷での保育サービスの欠如による女性の裁判所アクセス拒絶の如き、ジェンダー・バイアスの組織的発露において、ジェンダー・バイアスが最も有害であると認定した。草案報告書はまた、別の形態の組織的偏見が及ぼす深刻な影響、即ち法制度に対する女性の信頼性の欠如を強調した。裁判所を利用する「実際の人々」に重点を置くことと符合して、草案報告書は性差別の個々の例について正確且つ的確な詳細を提供した。従って、草案報告書は今日までに発行されているジェンダー・バイアスに関するその他の多くの報告書よりもはるかに個別化された文書であった。 最後に、草案報告書は将来の裁判所における公平を保証するための予定案を設定した点において他の州の報告書と比較してかなり意欲的なものであった。その目標に向けて、草案報告書に裁判所システムにおけるマイノリティに対する差別が及ぼす影響を調査する重要性に関する章、ならびに特に継続的且つ広範な裁判官教育を通じて草案報告書中の諸勧告を実施する極めて重要な必要性に関する章を含めた。草案報告書は改革の肯定的側面に重点を置いて、ジェンダー・バイアスを終結させることを目的とするだけでなく、司法の運営(administration of justice)全般を改善することも目的とする詳細且つよく練られた勧告を提供した。要するに、草案報告書はカリフォルニア州裁判所におけるジェンダー・バイアスを改善するための勧告主導の青写真であった。 ―――
注7: 論説、「ジェンダー・バイアスは如何にして法廷に忍び込むのか:司法協議会提案は見事に当を得たものである」(1990年11月27日付)ロサンゼルス・タイムズ、頁B6。
Ⅲ. 草案報告書の更新作業 公的記録に含めるという目的で草案報告書を最終文書に転換するため、AOCは具体的引用チェックおよび包括的編集を実施するコンサルタントを雇った。改訂プロセスは、引用の正確さを確認し且つテキストを引き締めることに重点を置き、新たな進展または時の経過を反映させるために資料を更新することには重点を置かなかった。しかしながら、一部の例においては、新しい源を追加し、また制定法の引用については法改正を反映させるため修正を施している。本質的には、最終報告書は草案報告書の結論および討議を一層読みやすく且つ一層正確な形で再現したにすぎない。これらの結論の要約は、以下の通りである。
Ⅳ. 報告書の具体的な結論および勧告の要約 A. 家族法 報告書の中で最も包括的なものであり且つ実体法を扱う最初の章は、多くのカリフォルニア州住民の生活に関係し、ほとんど全ての人々に強力な感情的反応を引き起こす分野である家族法に専念している。家族法はまた変動の激しい法律分野であり、不断の法改正努力に服する。 特別専門委員会運動のリーダーが述べているように、家族法は「おそらく裁判官が最も広い裁量権を有し且つ偏見が最も強い領域であるという理由のため、ジェンダー・バイアスが裁判所において蔓延している分野」(注8)である。諮問委員会は実際に、カリフォルニア州での家族法執行におけるジェンダー・バイアスを確認しており、子供と配偶者の扶養、子供の保護・監督、資産の分割、裁判官の選任、家族法法律家の訓練、および調停における改革を勧告した。諮問委員会はまた、家族法が今よりも高い優先順位を与えられ、公衆にとって一層アクセスしやすいものになり、且つ更なる研究および調査の対象となるまでは家族法における平等が実現されることはないと認定した。全体では、諮問委員会は家族法における偏見を除去するために18の個別の勧告-この決定的に重要な法律分野の執行および実務を改善することにもなる勧告-を提案した。諮問委員会の主要な改革提案は、子供の扶養、子供の保護・監督、調停、ならびに家族法裁判所の管理運営という分野におけるものであった。 子供の扶養という分野において、諮問委員会は裁定額が低すぎること、子供の扶養に関する最小裁定額が下限としてよりもむしろ上限として使われていること、ならびに子供の扶養のための支払義務の期間が短すぎるということを認定した。諮問委員会は更に、子供の扶養が子供の保護・監督をめぐる争いの中で取引材料として不適当な形で利用されていると判定した。更に、子供の扶養命令を実施する方法については改善しなければならない。一般的には、子供の扶養が不十分なことは、依然として通常では女性が勤める子供の本来の世話役に対し過度な影響を及ぼす。 諮問委員会は、子供の扶養に関する状況を改善するために幾つかの勧告を行った。これらの勧告には、子供の扶養に関する指針の十全性の研究、および新法の導入が含まれていた。諮問委員会が求める法律は、(1)裁判官に対し子供の扶養の裁定額を最低限のレベルに設定する際に裁判官が依拠する要素を述べるよう要求することになり、(2)両親の離婚後も子供が所得の高い方の親の向上した生活水準に引き続き与ることを保証することになり、(3)子供の扶養の期限を21歳まで延長することになり、また(4)両親による共同の保護・監督が子供の扶養義務を縮小させることを避けることになるであろう。 子供の保護・監督については、諮問委員会は裁判官が保護・監督について決定を下す際には、裁判官は相対的に未踏査の裁量権ゾーン内で決定を下しており、また女性と男性の適切な役割に関する偏った見方がそうした決定に本質的に影響を及ぼしていると判定した。保護・監督を決定するための適切な基準を決めずに、諮問委員会は保護・監督に関する意志決定における偏見は判事、検事、および調停官の教育によって最善の形で是正されると結論づけた。本当に我々の子供たちにとって最善の利益となる保護・監督の取り決めの内容に関する研究が急務である。諮問委員会は子供の保護・監督をめぐる争いは出来るだけ速やかに解決すべきであり、また子供の保護・監督を裁く裁判は制定法によってかかる裁判に認められる優先権を与えられるべきであると認定した。 子供の保護・監督をめぐる争いの過程で子供に対する虐待の申し立てが行われる場合、諮問委員会は子供の保護・監督をめぐる争いで有利な立場を得る目的で、あるいは離婚したために父親を罰する目的で、母親が父親を相手にして行う頻繁な虚偽申し立ての証拠はほとんど見つけることができなかった。その代わり、諮問委員会は子供に対する性的虐待の申し立てについて、当事者たちが別れる前になされなかった場合には、離婚というコンテキストにおいて表面化するというはっきりとした傾向についての他の説明を見いだした。 諮問委員会は、ステレオタイプおよび偏見が子供の保護・監督をめぐる争いの領域における意志決定に影響を及ぼしていると認定した。一例は、医学的証拠によって申し立て事実が裏付けられている場合ですら子供に対する虐待の申し立てを行った女性の陳述の信憑性を疑い、また申し立てをした女性をヒステリー症だの恨み深いだのと決めつける傾向である。諮問委員会は、こうした争いを専門家によって迅速に解決するという差し迫った必要性が存在すると認定した。 子供の保護・監督をめぐる争いに対する決定におけるジェンダー・バイアスを除去するための諮問委員会勧告の中には、共同保護・監督に関する研究に対する資金提供の増額要請、ならびに子供に対する性的虐待の申し立てを伴う子供の保護・監督をめぐる争いを解決することを要求される裁判官のためのモデル・プロトコルの採用が含まれていた。それに関連して、諮問委員会は子供に対する性的虐待の申し立てに関する既存の調査報告書に対するアクセスを家族法裁判官に対し与えるべきであり、また別個の調査の実施を命じる権限を家族法裁判官に与えるべきであると考えた。最後に、諮問委員会は子供の保護・監督をめぐる争いを、そのような問題に制定法上要求されるスケジュール作成上の優先権を与える必要性について裁判官に教育することを含む裁判官教育プログラムの中へ、強制的に組み込むよう要請した。 調停は、諮問委員会が取り組んだ異論のあるもう一つの分野であった。諮問委員会は子供の保護・監督および訪問をめぐる争いの強制的調停について、案件を抱えた裁判所がこの形態の訴訟を迅速に解決するための必須のツールであると認識しているが、諮問委員会はそれにも係わらず男性と比較して伝統的に弱い立場にあり且つ対等な交渉力を持たない女性について、プロセスの公平について重大な懸念を抱いた。諮問委員会はまた、カリフォルニア州全体の調停官の資格および研修のレベルがまちまちであり、改善を要する点を不安視した。 調停に係わる諮問委員会の勧告は、調停官に対し性のステレオタイプおよび当事者間の相対的な力の均衡について教育を受けること、ならびに調停プロセスのあらゆる面においてジェンダー・バイアスを示すことを控えるという倫理上の義務を遵守するよう要求することを含んでいた。更に、諮問委員会は調停官の勧告を書面で行うよう強く主張し、また裁判所官吏が命令を下す際に調停官の報告書に依存する理由を述べるよう強く主張した。諮問委員会はまた、司法協議会の家族法諮問委員会およびStatewide Office of Family Court Service(家庭裁判所のサービス)に対し、保護・監督評価プロセスを合同研究し且つ評価者の資格および専門職業人としての基準を改善する方法を勧告するよう要請した。最後に、調停利用者について、諮問委員会は調停の当事者たちが調停、および調停官が獲得した情報が利用される態様について知らされること、ならびに調停に関する不服についての簡明な不服申し立て手順を与えられるよう求めることになるであろう。 家族法の運用を検討した際、諮問委員会は不満足な条件が意志決定におけるジェンダー・バイアスの可能性を造り出している幾つかの分野を見いだしている。特に、諮問委員会は裁判官が家族法判事割当てをダントツで最下位の好感度と評価していること、ならびに家族法関連事件担当判事の労働条件が水準以下のものであることを知った。時間的制約、不十分なスタッフ、ならびに審理を急がせる圧力が当事者たちにとって感情的に極めて重要な事柄を審理することに内在するストレスを増加させ、家族法事件担当判事、特に一時的扶養、訪問、および保護・監督の要請を審理する判事の裁判官燃え尽き症候群に帰結する。諮問委員会は更に、労働条件の不十分さおよび家族法判事割当ての不人気が「女性の問題および子供の問題」に与えられた低い優先順位によるものである可能性があると認定した。諮問委員会は、家族法における実証済の専門知識を備えた一層多くの法律家が家族法裁判官に選任されるべきであると結論づけた。更に、多くの郡においては、郡内で女性の上訴裁判所判事が任命されていないという理由か、あるいは女性の上訴裁判所判事が家族法担当部署に配属されたことがないという理由の何れかの理由で、家族法問題を審理する裁判官の間に性の多様性が全く存在しない。 諮問委員会はまた、カリフォルニア州においては家族法関連問題を審理するために選任される判事の数が余りにも少なく、また家族法関連問題を審理する法廷の数が余りにも少ないことを知った。家族法問題を審理する裁判所は裁判所の他の部署および機能の間で低いステータスに格下げされてきており、また家族法に割り振られる裁判所の資源の比率は事件量に見合ったものではなく、また当事者たちおよび社会にとっての家族法関連問題の重要性に見合ったものでもない。利用可能な資源の欠如は時として家族法関連問題の和解を強制したり、法律顧問が(私的裁定を求めて)私的裁判官への付託を求めることを余儀なくさせたり、さもなければ家族法関連問題の解決のための法廷での十分な審理時間を不適切に拒絶するという具体的な影響を及ぼしてきている。諮問委員会は更に、家族法事件における審理の遅れは固有のものであり、また家族法事件において訴訟事件管理命令が出ることはほとんどなく、これらの要素が資力の乏しい配偶者(ほとんどが女性)に悪影響を及ぼしていると認定した。最後に、家族に影響を及ぼす抵触する複数の命令、ならびに様々な郡に所在する裁判所を含めて、裁判所の様々な部署の間の調整およびコミュニケーションの欠如が、最も困難な状況にある家族にとってこれらの悪条件を更に悪化させている。 諮問委員会は、家族法の運用を改善するため、またジェンダー・バイアスの可能性を減らすために幾つかの勧告を行った。例えば、諮問委員会は「司法協議会裁判所概評諮問委員会」に対し十分な数の家族法事件担当判事を確保するために家族法関連事件の重み評価方法を練り直すよう勧告し、また「家族法に関する諮問委員会(注9)」に対しては家族法事件担当判事の労働条件と教育ニーズを調べて家族法担当判事割当てを増やすことが可能となりうる方法について司法協議会に対し勧告を提出するよう勧告した。諮問委員会は同様に、家族法関連事件における審理遅延を減らすためのパイロット・プログラムの策定、ならびに家族法担当部門、少年法担当部門、刑法担当部門の管轄区域が重なり合っていることによって引き起こされる問題を解決するためのプロトコルのとりまとめを勧告した。 家族法を精査した際に、諮問委員会は裁判所に対するアクセスを困難にする幾つかの障壁、即ち貧者ならびにこのコンテキストにおいてほとんどが女性である子供の主要な世話人に最も深刻な影響を及ぼす障壁を見つけている。例えば、諮問委員会は家族法に関する公的な情報がはなはだ不十分なものであることを知った。諮問委員会はまた、弁護士費用の裁定における不公平が家族法関連事件において代理人を確保する上で重大な障害になっていると認定した。こうした不公平には、判例法に基づいて裁定されるべきであるケースでの費用裁定の拒絶、ならびに女性弁護士と男性弁護士とでは認定される裁定額が異なることが含まれる。諮問委員会は、事件審理妨害者および書記官事務所による頼りにならない慣行、妥当な訴訟費用請求権放棄申請の拒絶、ならびに扶養されている子供のために福祉補助金を受けとっている女性に対し仕事を探す要件を課すことを含め、家族法システムを通じて事態を好転させることに対する追加障壁が時折存在すると認定した。 裁判所に対するアクセスを容易なものに改善するため、諮問委員会は一般情報パンフレットあるいはその他の家族法関連事件当事者たちのための教育用具の開発、家族法関連事件における代理人確保に係わる困難の解決策に重点を置く州弁護士協会特別専門委員会の設置、および家族法関連事件の各当事者がその当事者の諸権利を守るべく法律上の代表者に対するアクセス確保を保証することになるであろう法律の制定を強く主張した。 最後に、諮問委員会は家族法関連の移ろいやすい話題に関する一層の研究を行うことの切迫した必要性を理解した。諮問委員会は、家族法分野における改革が適当な研究基盤なしに、また改革の将来評価を考慮することなく着手されるケースが多いと認定した。諮問委員会は、適当な研究を実施しないこと、また十分なデータを収集しないことによってカリフォルニア州の政策および実務が有意義な精査や批判を受けないでいると認定した。 従って、諮問委員会は司法協議会に対し、家族法における統一された統計報告システムを備え、そのようなシステムの創造を保証するため、またこの報告書に照らしてStatewide Office of Family Court Services(家庭裁判所のサービス)の調査優先順位を評価し直すためにスタッフ、予算、およびその他の資源を追加投入するよう提案した。 -----
注8: シャフラン著の論文「裁判所におけるジェンダー・バイアス:時は救済策にならない」--『クレイトン・ロー・レビュー』第22巻、頁421以降に所収(1989年刊)。 注9:現在は、「司法協議会家族法少年法諮問委員会」となっている。


B. ドメスティック・バイオレンス 諮問委員会の2番目の調査対象となった具体的分野は、ドメスティック・バイオレンスであった。この章の支配的メッセージは、ドメスティック・バイオレンスの悪夢が癒されるようにするため、また裁判制度に救済を求めることでその悪夢が一層ひどいものにならないようにするため、裁判制度の中でドメスティック・バイオレンスを扱う人々を教育する必要があり、また裁判制度を改革する必要があるというものである。 ドメスティック・バイオレンス被害者の95%までが女性であるので、かかる犠牲者とドメスティック・バイオレンスという犯罪に対する裁判制度による不平等且つ不適切な扱いはジェンダー・バイアスという深刻な問題を引き起こした。諮問委員会が収集した証拠によって、ドメスティック・バイオレンス被害者が裁判所に対し保護を求める場合、これら被害者の多くがそのプロセスによって、また裁判制度の枠内での実体験によって更に被害を被っていることが実証された。諮問委員会は、ドメスティック・バイオレンス犠牲者を保護する法的努力は十分に実を結んでこなかったと判断した。 15の勧告および11の個別調査結果において、諮問委員会は法律が保証する保護を受けることを求めたドメスティック・バイオレンス被害者が直面する困難に取り組み且つ新たな手続きと法律を作るか、あるいは既存の手続きと法律を手直しして2次的な虐待によって罵倒されるドメスティック・バイオレンス被害者を裁判制度が十分、効果的、且つ公平に保護することを保証する手助けになることを提案しようとした。これらの勧告および調査結果は、ドメスティック・バイオレンス被害者が裁判制度と関わり合う主要分野、即ち将来の虐待に対する保護命令を求めること、加害者との間の子供の保護・監督および訪問権をめぐる争いを解決すること、ならびに加害者の刑事訴追に関与すること、に関するものであった。諮問委員会はまた、ドメスティック・バイオレンス被害者が裁判所に対するアクセスを確保する際に遭遇する困難についても検討を行った。 調査した最初の主要分野は保護命令であり、保護命令はドメスティック・バイオレンス被害者が法制度と関わり合いを持つ初めての機会となることが多い。法律上、差止命令はどんな日でもどんな時間帯でも求めることができることになっているが、しかし諮問委員会は現実にはドメスティック・バイオレンス被害者は彼らが受ける資格を有する救済を受けることを様々な障害によって阻まれてしまう事態がしばしば生じていることを発見している。手続き上の幾つかの障害については新たな裁判所規則によって容易に除去することが可能であり、またドメスティック・バイオレンス被害者が手続き上の要件についての情報を持たないこと、ならびにドメスティック・バイオレンスの実態についての理解が裁判官および法律の執行者(警官や保安官など)に欠けていることの如きその他の一部の障害については、教育によって是正を図ることが可能である。必要とされる最重要改革は、裁判所が出した差止命令がそれ以降の虐待行為を実際に阻止することになるような差止命令発令後の一層効果的な命令執行である。諮問委員会は、これらの措置の全てに着手するよう勧告を行った。 もう1つの重大な問題分野は、過去にドメスティック・バイオレンスが生じていたケースでの子供の保護・監督および訪問に係わる争いに絡むものであった。諮問委員会は、強制的な調停の結果、いわゆる加害者と被害者が対面する状態になり、精神的にも肉体的にも被害者が危険な状態に陥り、また自由な交渉による紛争解決策になることを意図する事柄においていわゆる加害者が不当な影響力を行使することが可能になることが余りにも多いと結論づけた。諮問委員会はまた、監督・保護命令および訪問命令が将来の虐待を阻止する適切な規定を含んでいないことが多く、結果的に加害者が何ら制約を受けることなく子供に対し自由に接触することが可能になり、従って虐待を加えた配偶者にも自由に接触することが可能になると認定した。最後に、諮問委員会の見解では、たとえ子供自身は身体的虐待を受けていないとしても、ドメスティック・バイオレンスを目撃した子供がドメスティック・バイオレンスから受ける有害な影響を裁判制度が認識することが必要である。諮問委員会は、ドメスティック・バイオレンスの被害者と加害者が顔を合わせずに済む形態の調停、ならびに向上した法廷での安全措置の必要性についての裁判官と調停官に対する教育の強化を含め、ドメスティック・バイオレンスが絡む保護・監督および訪問をめぐる争いの処理方法を改善することを目ざした幾つかの勧告を行った。 諮問委員会は、ドメスティック・バイオレンス犯罪が見ず知らずの者に対する類似の暴力事件に比べ軽く扱われることが余りにも多いように、刑事裁判制度も同様にドメスティック・バイオレンス被害者を軽んじていると結論づけた。1つの重要な調査結果は、配偶者に対する虐待で告訴された者についての有罪前答弁ダイヴァージョンの利用可能性に係わるものであった。諮問委員会は、このダイヴァージョン(処罰一辺倒を排した多角的処分)制度の元では加害者が罰則を免れることが多く、また将来も虐待を続けることを効果的に妨げられないと認定した。ダイヴァージョン制度の元でドメスティック・バイオレンスの被害者と加害者双方に与えられるメッセージは、裁判制度がドメスティック・バイオレンスを重大な犯罪と見なしていないというものなのである。刑事裁判に関する幾つかの勧告の中で、諮問委員会はドメスティック・バイオレンスダイヴァージョン・プログラムの効果を追跡調査するため、州全体の基準の策定を強く主張した。 おそらく、この章によって立証された最大の必要性は教育拡充の必要性であった。諮問委員会は、ドメスティック・バイオレンス被害者が虐待の事実を口外することを恐れることが多く、切迫した暴力の脅威が一旦過ぎ去ってしまえば裁判所の介在を求めることを躊躇する可能性があるということを法制度に係わる判事、検事、(警官、保安官等の)法の執行者、ならびにその他の者が理解するようにするため、これら裁判官等がドメスティック・バイオレンスに関する教育を受けるよう勧告した。ドメスティック・バイオレンスは被害者個人に対する侵害であると同時に社会に対する犯罪でもあるので、諮問委員会はドメスティック・バイオレンスのサイクルを最終的に断ち切ることができるようにするため、裁判制度がドメスティック・バイオレンス問題の深刻さを認めること、ならびに効果的な対処についての裁判制度の責任を認めることが必要であると結論づけた。
C. 少年法および刑法 諮問委員会は同様に、ジェンダー・バイアスの証拠を求めて、カリフォルニア州内の少年法および刑法のシステムを精査した。かかる精査は3つの一般的関心事、即ち刑法事件および少年法事件において被告を代理するために弁護士が選任される態様、女性の被告が裁判所およびその他の機関から受ける処遇、ならびに少年事件を審理する裁判所の管理運用に焦点を当てた。諮問委員会による調査の進行中、諮問委員会はジェンダー・バイアスが刑法事件を審理する裁判所と少年事件を審理する裁判所が機能する態様に直接的にも間接的にも影響を及ぼしていると認定した。改革を求めて11の勧告をまとめた際に、諮問委員会は男性と女性の基本的相違点および刑事裁判制度および少年事件裁判制度に組み込まれた女性の特殊なニーズを認識しつつ、刑事裁判制度と少年事件裁判制度を手直しして性別に基づく不公平な扱いを避けることができる方法に諮問委員会の注意を集中した。 諮問委員会の最初の重要調査分野である法律顧問選任を検討した際、諮問委員会は裁判所が選任する弁護士についての州規模の正式書面による裁判所の方針が全般的に欠如しており、ジェンダー・バイアスおよび民族偏見が肥大し且つ軽減することなく残りそうな雰囲気を創り出していることを知った。諮問委員会は同様に、相対的基準に基づくと、女性およびマイノリティ出身の弁護士は報酬面で有利な最高刑が死刑である事件や重罪事件で裁判所から選任されることが少なく、一方で報酬が少額の少年法抵触事件や少年非行事件では相対的に高い比率で裁判所から選任を受けていると認定した。性別から生じる法律顧問選任における不平等を是正するため、諮問委員会は裁判所が行う報酬を生み出す選任についての州全体の統計報告と同様、書面による正式な政策の確立および当該政策遵守を勧告した。 諮問委員会の第2の主要調査分野である、刑法犯および少年法抵触者を収容する施設における女性の犯罪者が直面する状況において、諮問委員会は子供の本来の世話役である女性の役割、投獄された女性の特殊な身体的ニーズおよび精神的ニーズ、ならびに女性の犯罪者、特に少年法抵触犯に提供される資源が不十分なことを含む多くの問題に取り組んだ。 これらの問題の内で最初の問題について、諮問委員会は我々の社会においては依然として圧倒的な比率で女性が子供の世話人になっていることを認めた。刑務所では、成人女性の服役囚の過半数はシングル・マザーであり、その子供については裁判所が扶養することが多い。諮問委員会は刑法被扶養関係システムと未成年者被扶養関係システムの間のサービスおよびプログラムを調整することが一般的には行われていないことに気づき、そのことが施設に収容されている母親とその子供にとって多大な困難をもたらしていると認定した。これらの家族はまた、裁判所システムが十分な再統合サービスを提供していないことと同様に、多くの女性被収容者が地理的に遠く離れていることに苦しんでいる。 諮問委員会は、女性の少年法抵触犯が類似問題に直面していることを知った。これらの女性の多くに小さい子供があり、子供たちも同様に青少年法担当裁判所の管轄対象である。彼らの特別な医療ニーズおよび精神的健康ニーズを満たすプログラムがないことが、特に重大であった。諮問委員会は、判決を受けた粗暴犯以外の女性とその子供を一緒にする、コミュニティに基盤を置く代替判決プログラムを奨励すべきであると結論づけた。施設に収容された母親が子供と一緒にいることができない場合には、定期的接触を容易にする訪問プログラムを拡充すべきである。 施設に収容されている女性の特殊なニーズについて、諮問委員会は2回の刑務所訪問、ならびに刑務所のスタッフおよび被収容者とのフォローアップ面接が特に役立つことを知った。この分野における諮問委員会の調査結果の中には、施設に収容されている女性は特に妊娠時に不適切な衣服、拘束具、および抑制に耐えることを余儀なくされているということ、ならびに施設に収容されている女性は月経周期の必要性に対し不十分な世話しか受けていないということが含まれていた。施設に収容されている女性はまた、出産前のサービスおよび妊娠に係わるその他のサービス、医学的に管理された薬物依存状態離脱プログラム、自発的エイズ検査を含めて、十分な医療ケアを受けることの難しさを感じている。施設に収容されている女性がまた、成人施設および少年施設に収容されている間に強制猥褻および性的嫌がらせの被害者になる事態がしばしば生じている。施設に収容されている女性の特殊なニーズに取り組むため、諮問委員会は州および地方の機関に対し、適切な衣服および抑制、医療ケア、個人の衛生状態、および性的いやがらせに関するプロトコルをとりまとめるよう要請した。 最後に、諮問委員会は施設に収容されている女性は施設に収容されている男性が確保しているのと同等な相対的に制限が小さい刑務所およびキャンプに対するアクセスを確保していないことがよくあり、また施設に収容されている男性が確保している上記の如き刑務所およびキャンプ内の教育プログラムおよびその他のプログラムに対するアクセスと同等のアクセスを施設に収容されている女性が確保していないことがよくあると認定した。この不釣り合いを是正するため、諮問委員会は州および地方の機関に対し、男性および女性に対し同等の教育プログラムおよび訓練プログラムを提供するように勧告し、また上記の如きプログラムに薬物中毒およびアルコール中毒からの離脱支援と同様、基本的な職業教育、健康教育、および子育てを含めるよう勧告した。 3番目の主要調査分野において、諮問委員会は未成年者被扶養関係手続きが施設に収容されている女性に対し及ぼす影響について検討した。諮問委員会は、その内で相当な数の女性が未成年者事件審理裁判所の管轄下にある子供を持つこれらの女性が未成年者被扶養関係手続きに関する十分な情報を持たず、また彼らの子供の保護措置や子供の将来について賢明な決定を下すことができないと認定した。実際、諮問委員会は、施設に収容されている親は手続きについて適切な通知を受けていないことが多く、また裁判所への移動手段や被扶養関係裁判手続きに関与する十分な機会を与えられていないと認定した。その結果、これらの親は被扶養関係手続きに参加する自分たちの制定法上の諸権利を主張する機会を失い、それにより彼らの子供の保護・監督権を懈怠のために喪失するというリスクを負っている。 未成年者被扶養関係システムが女性に対し及ぼす悪影響を是正するため、諮問委員会は被扶養関係の法律および手続きに関する情報提供資料を施設に収容されている親のために作成し、頒布するよう勧告した。諮問委員会はまた、被収容者および拘留者に責任を持つ州と地方の機関が被扶養関係関連手続きについて施設に収容されている親に通知し、当該手続きにおけるこれらの親の関与を保証するよう要求する法律の制定を要請した。 最後のものであり且つ関連した関心事は、民事裁判所および一般の刑事裁判所と比較した少年事件裁判所の一般的に低いステータスであった。家族法事件を審理する裁判所と同じように、この低いステータスと関係のある1つの要素は少年事件裁判所が「女性の問題」に取り組む裁判所であるいう認識かもしれない。更に、少年事件を審理する裁判所に現れる家族の過半数は貧困層であり、有色人種であり、独身の片親(通常は女性)が世帯主であるために、少年事件裁判所は多くの人によってさほど重要な裁判所ではないと認識されている。従って、諮問委員会は裁判官の割当ておよび取り扱い件数における改革を通じて少年事件裁判所のステータスを引き上げることを意図し、また少年法および刑法に関する裁判官教育を改善することを意図した勧告を提案した。
D. 裁判所の管理運営 諮問委員会が取り組んだもう1つの重要な分野は、裁判所の管理運営であった。カリフォルニア州では、少数の州規模の規則および基準によって縫い繕われた、229の個別の裁判所管理運営システムが存在する。裁判所の労働人口に占める女性の比率の高さ、ならびに州全体の基準がないことを所与のものとして、諮問委員会は裁判所の管理運営におけるジェンダー・バイアスの可能性が存在すると認定した。裁判所の管理運営のつぎはぎ的性質にも係わらず、諮問委員会はジェンダー・バイアスが裁判所の管理運営に影響を及ぼす機会を劇的に減らすことは比較的簡単なことであろうと結論づけた。この目的に向け、諮問委員会は改革のため幾つかの勧告を提案した。 第1に、諮問委員会は多くの裁判所人員計画がその範囲において包括的なものではなく、また多くの人員計画が近代的な人員慣行に従っていないと判定した。カリフォルニア州の裁判所は書記官や秘書というような低賃金に分類される職種には圧倒的に高い比率で女性を採用しているので、個々の人事政策が女性に対し本質的に異なる影響を及ぼす可能性がある。研修、昇進、被扶養者監護、雇用促進、妊娠休暇、および性的いやがらせに関する政策は、裁判所で働く女性の生活において決定的に重要なものである。諮問委員会は、管理職および一般職員に対し同様に公平且つ明快な政策がなければ、女性を昇進させたり現職に据え置いたりすることになる意志決定についてジェンダー・バイアスが汚す可能性があると結論づけた。これに対し、包括的人事計画はジェンダー・バイアスが仕事場での決定に影響を及ぼす機会を最小限に抑えることが可能であり、またその場しのぎの政策の元で職員が被る混乱と不平等を解消することができる。 従って、諮問委員会は全ての裁判所に対し包括的な人事計画を策定するよう勧告し、またそのような計画の中で以下のような主題、即ち給与設定、職種等級および職階、昇進についての規準および基準、実績評価、雇用促進、研修、セクハラ政策、不服申し立て手続き、専門職業人としての行動、ならびに職員の勤務スケジュール、休暇、および諸手当に言及するよう勧告した。諮問委員会は更に、人事計画を遵守することを裁判官に対し要求するよう勧告し、またAOCが裁判所人事政策モデルのための原動力および広報機関として貢献し、全ての裁判所が好ましい人事政策に対する共有された知識から利益をうけることが可能になるよう勧告した。 諮問委員会が検討したもう1つの分野は、裁判所の直接的な権限の元にはない職員の役割であった。諮問委員会は公聴会の進行中、ならびに書面による多くの提出物の中で、女性検事、裁判所女性職員、裁判所女性利用者が裁判官や裁判所幹部職員の雇用管轄権の元にはない裁判所の周辺職員から彼らが受けたジェンダー・バイアスに基づく扱いについて苦情を述べることが多いことを知った。廷吏、郡の事務職員、および保護観察官が、上記の裁判所周辺職員の例であった。従って、諮問委員会は裁判官や裁判所幹部職員によって雇われていない裁判所職員が性の公平および性的いやがらせに関する裁判所後援研修に参加するよう要請する必要性について知見に基づく決定を下すことができるように、かかる職員に与えられる研修の評価を行うことを統括役の判事に要求するよう勧告した。 諮問委員会は、裁判官に対するジェンダー・バイアスについても同じように検討した。出産年齢にある女性判事の数が増加しているので、裁判官休暇政策の必要性が一層緊急のものになっている。カリフォルニア州裁判官組合は、不当に制限された休暇政策あるいは休暇政策の欠如が出産年齢の女性やその配偶者が司法の場で働くことを躊躇させる可能性があると述べてきた。諮問委員会が勧告するような包括的裁判官休暇政策は、一部裁判官に対する休暇の恣意的拒絶あるいは裁判所の他の裁判官に対する不公平の出現に対し防御することになる。 諮問委員会はまた、裁判所で働く親たち、ならびに証人、陪審員、訴訟当事者として裁判所に出頭する親たちが、手頃な料金であり且つアクセス可能な保育サービスを必要としていると結論づけた。このような必要性を無視していることが、欠勤する職員および不出頭証人、職務放棄陪審員、取り乱した訴訟当事者、ならびに裁判所手続きの混乱につながっている。アメリカ人の家族形態および移動性が変化しているので、多くの子供たちにとって親類の所へ行くという安全且つ無料の選択肢がもはや使えなくなってきているというのが常識である。諮問委員会は、裁判所が郡の行政機関と共同して作業を行い、裁判所職員および法廷出席者の子供たちのために、合理的な料金で定期的にも1次的にも利用することができる保育サービスを提供するよう勧告した。 最後に、諮問委員会はジェンダー・バイアスが、カリフォルニア州の多くのロースクールにおける雇用慣行とカリキュラム・教育方法の双方を傷つける可能性があると認定した。女性の教授は、ジェンダー・バイアスを示す状況の元で終身在職権を拒絶されてきている。性的いやがらせおよびジェンダー・バイアスに基づく職員採用が、キャンパスで報告されてきた。ロースクールで使うケースブックは相変わらず類型化した女性像を描き続けており、ロースクールの講師陣は女性の経験を無視し続けてきており、またジェンダー・バイアス自体が実体法あるいは正式事実審における慣行に対し及ぼす影響についてロースクールで学ぶ対象ではないと無視されてきた。諮問委員会はロースクールに対し、教育慣行および雇用慣行におけるジェンダー・バイアスを除去することを助けるため書面による政策を構築し、またジェンダー・バイアスが訴訟およびその他の法的作業に及ぼす影響を研究するよう強く主張した。
E. 民事訴訟および法廷での行状 民事訴訟および法廷での行状に関する章は、法廷環境におけるジェンダー・バイアスに係わるものであった。それに関連して、諮問委員会は裁判官が法廷での折衝を管理するか、管理すべきであるので、裁判官の行為に主に焦点を当てた。この焦点には、検事あるいは裁判所職員のようなその他の参加者が、ジェンダー・バイアスに基づく振る舞いを示す場合に介入する判事の義務についての調査が含まれた。諮問委員会は同時に、検事の行為および判事の選任における多様性の必要性を検討した。 諮問委員会は、ジェンダー・バイアスを減らすために、裁判所の幹部職員はジェンダー・バイアスを示す一切の行為を控えなければならず、また他者による偏見表現を耐えられないものと見なさなければならないと判定した。判事は法廷における公平という基調を定めることによって法廷におけるジェンダー・バイアスの除去という目標をはっきり示し且つ実現することにおいて、法廷におけるジェンダー・バイアスの表現に適切に対処することにおいて、スタッフを統制することにおいて、外部活動における不偏不党を示すことにおいて、裁判所における選任における中立性を保証することにおいて、中性語を使用することにおいて、ならびに裁判官の選出における多様性を擁護することにおいて、指導権を発揮しなければならない。弁護士は裁判官の指揮に従わなければならない。 諮問委員会の最初の主要調査分野である裁判官の行為において、諮問委員会は、時折、裁判官によるジェンダー・バイアスが裁判官の執行に関する委員会による裁判官懲戒処分に結びついていると認定した。しかしながら、諮問委員会は裁判官懲戒処分には至らなかったジェンダー・バイアスを示す行為やジェンダー・バイアス発露の事例が一層多く生じていると結論づけた。諮問委員会によって立証された類の行為の実例としては、折に触れての公然たる敵対行為、性的ほのめかしやダーティー・ジョーク、女性の法廷参加者を指しての愛情を表す言葉の使用、握手や適当な形態の挨拶言葉のような普通の礼儀を女性参加者に対しては示さないこと、女性の法廷参加者の容姿に対し過度に注目すること、個々の女性に対する個別判断に依拠するよりも女性に関するステレオタイプに依存すること、女性の法廷参加者に対しへつらい且つ恩着せがましい、もしくは厳格で且つ叱責調子の父親ぶった態度を取ること、女性参加者に対し専門職業人ぶった丁寧さを過度に示すこと、不平等な弁護基準を課すこと、性差別や性的いやがらせのような通常女性が絡む訴訟原因に対する敵意および非寛容、訴訟に耐える能力を欠くその他の状況では類似ペナルティーが課せられなかったであろうケースで、妊娠中の女性参加者に対し正式事実審やデポジションの継続拒絶の如きペナルティーを課すこと、ならびにジェンダー・バイアスを構成する行為が女性参加者の相手側法律顧問、裁判所廷吏、あるいは裁判所書記官のような裁判官の制御下にあるその他の裁判所参加者によって示された場合に適切に介入しないこと、などがある。 受託裁判官や仲裁人の如きその他の裁判所職員によるジェンダー・バイアス(法定外で証拠調べ等を行う)を証明する行為を示す出来事も発生してきた。諮問委員会は、ジェンダー・バイアスを構成する裁判官およびその他の裁判所職員の行為は、たとえかかる行為がその直接的影響という点では比較的軽微なものに見えるであろう場合でさえ、女性参加者が持つ裁判所に対する信頼性を損ない且つ司法制度と全裁判制度の双方の一体性に全面的に疑問を投げかける結果に帰結すると認定した。こうした結果は、裁判官の直接的監督下で働く裁判所職員が類似行為を行う場合に悪化する。最後に、諮問委員会の見解では、不公平な差別を行うクラブに裁判官が加入していれば、不適切な雰囲気が造り出され、平等な司法を実現しようとする裁判所の努力を損なうことになる。 諮問委員会は、ジェンダー・バイアスを表す裁判官の行為を減らすことを狙いとした幾つかの勧告を行った。例えば、諮問委員会は、裁判官に対し裁判官のあらゆる職務を偏見なく遂行し、偏見を露骨に示すことを慎み、更には裁判官の統制下にある他者が類似行為に従事することを阻止する義務を課す裁判官行為規範の新しいセクションを採択するよう勧告した。この義務の一律の遂行を保証するため、「私的裁判官に関する諮問委員会(注10)」は当該義務を私的裁判官に拡張することを検討すべきであり、また州弁護士協会は同様に裁判所の幹部職員として働く弁護士に対する当該義務の適用を検討すべきである。諮問委員会は同様に、弁護士、陪審員、裁判所スタッフ、鑑定人、訴訟当事者、およびその他の者に対する公平な処遇、ならびに彼らに対する適切な振る舞いの如き問題をカバーし、且つ全ての裁判所手続きの冒頭に読むべき提案されている頭書きを含む公平マニュアルを裁判官のために作成することを強く主張した。諮問委員会はまた、裁判所幹部職員、検事、および裁判所職員によるジェンダー・バイアスに基づく行為の軽微な出来事を処理するための非公式なメカニズムを確立するために、3郡においてパイロット・プロジェクトを立ち上げるよう要請した。最後に、諮問委員会は適用すべき裁判官規範を明確化して裁判官は不快な差別を実践しているクラブに加入しないものとすると定めるべきであるという感触を持った。 諮問委員会が検事の行為を調査した際、諮問委員会はジェンダー・バイアスを示す検事の行為の事例は豊富であり、またこうした事例は判事の行為に絡む事例よりも一層頻度が高く且つ一層悪質なものであるということを知った。諮問委員会が発見したジェンダー・バイアスを示す検事の行為の中には、法廷での手続きに参加する女性の性的属性や容姿に注目すること、裁判戦術として性を利用すること、女性は法律家になるべきでないとか、弁護士として女性は男性よりも劣るという考えを言葉や行為で示すこと、ならびに法廷活動において女性を差別すること、が含まれていた。諮問委員会は更に、ジェンダー・バイアスを露わにする検事の行為の一部は判事による奨励や判事の行為加担の元に行われているということ、ならびにかかる行為は専門職業における礼儀正しさを減じる雰囲気の中で発生していると認定した。 諮問委員会はまた、最も報酬がよく且つ格の高い民事訴訟における法律顧問としての選任から女性の弁護士が排除されることがしばしば生じていると認定した。更に、諮問委員会は男性弁護士に比べて昇進の機会が少ないと女性弁護士が一般的に認識しているということ、即ち家庭と家族のバランスを保つことの難しさに専門職業人側が適切に対処してないことに直接的に係わる状況を知った。最後に、諮問委員会の見解では、不快な差別を実践している民間クラブに弁護士が加入していること、そのようなクラブを仕事で利用することは、影響を受ける女性とマイノリティ双方の専門職業人にとって不利益になる。 諮問委員会は、ジェンダー・バイアスに基づく検事による行為を減らし且つ女性弁護士の苦境を改善することをめざした幾つかの勧告を行った。例えば、諮問委員会は州弁護士協会に対し、提案している裁判官についての規範に類似した、全ての弁護士に偏見を露わにしないようにという義務を課すことになるであろう専門職業人としての責任に関する規則を採択するよう勧告した。更に、諮問委員会は州の弁護士協会が弁護士試験を通じてのものを含め、弁護士に対しジェンダー・バイアスの問題について教育を施すという大きな持続的努力をすべきであり、弁護士が雇用決定において差別したり、性的いやがらせに関与したりすることを禁じる職業専門家としての責任に関する規則を採択すべきであり、また営業目的のために不快な差別を実践しているクラブを弁護士が利用することを思い止まらせるためにアメリカ合衆国憲法によって許される利用可能なあらゆる手段を行使すべきであると結論づけた。諮問委員会はまた、地方の裁判所のあらゆるルール、書式、文書、および陪審に対する説示の中で中性語の利用を求めること、ならびに性、人種、民族に関係なく全ての弁護士にとって平等なアクセスを保証するために民事事件における法律顧問の選任に関する地方の模範ルールを採択することを含めて、裁判所における改革を要請した。 諮問委員会は判事の選任における多様性に関しては勧告を提案しなかったものの、諮問委員会はこの問題が極めて重要な問題であると結論づけた。訴訟および法廷での折衝の分野において諮問委員会が精査を実施した証拠はトータルで考えると、1つの結論、即ち法律専門職における女性の数および社会全体における女性の数と釣り合った数で女性が司法機関に任命されることになれば、ジェンダー・バイアスに基づく法廷における行為という問題の実質的改善が達成されることになるであろうという結論を示していた。 ---
注10: この「私的裁判官に関する諮問委員会」の作業は完了している。私的裁判官の倫理的義務に関する問題は、「裁判官倫理に関する最高裁諮問委員会」に委ねられることになるであろう。
F. 実施
5つの具体的分野におけるジェンダー・バイアスを検討した後、諮問委員会は将来を展望し、報告書の中に含まれている諸勧告を実施し且つ制度化する手段に目を向けた。諮問委員会の見解では、実施委員会の立ち上げがなければ諮問委員会がまとめた勧告が成就することになるであろう可能性はかなり低くなるであろう。実施委員会は個々の勧告を実行する責任を負った他のグループとのつなぎとして活動し、他の機関や委員会には委ねられない提案の草案を作成し、かかる提案に関するコメントを要請し、また諮問委員会の諸勧告の実施を保証するという活動に従事する全てのグループに対し技術援助および技術評価を提供するよう要請されることになるであろう。 1991年、前カリフォルニア州首席裁判官のルーカスは、実施委員会を設けるという諮問委員会の勧告を実施し、陪席裁判官ロナルドM.ジョージ(現首席裁判官)を「性公平提案実施諮問委員会」の長に任命した。実施委員会の委員に任命された者の中には司法協議会の8名の委員、最初の諮問委員会の議長であったロサンゼルス上訴裁判所判事のデビッドM.ロスマン、ならびに実施委員会の5小委員会の座長が含まれていた。実施委員会の任務は最終的には、サウスベイ市裁判所判事のベンジャミン・アランダ3世が議長を勤める「司法協議会のアクセス・公平常任諮問委員会」に移転された。実施委員会は、性の公平に関する勧告の実施を完了させることに専念する個別の小委員会を持つ。この小委員会の座長は、ジェンダー・バイアスに関するオリジナル委員会の委員であり、このオリジナル委員会の家族法小委員会の座長であるロサンゼルス上訴裁判所判事のメリディス・C・テイラーが勤める。実施に関する進展を説明する報告書は諮問委員会のこの最終報告書と同時に刊行されつつあり、また司法協議会の1996年年次報告書の中に1つの章の形で含まれている。
G. 裁判官教育 全ての勧告の中心テーマは、裁判官教育であった。諮問委員会は、ジェンダー・バイアスを是正する根本であると広く認識されている裁判官教育が促進され、広められ、奨励されなければならないという感触を得た。諮問委員会は、教育プログラムがジェンダー・バイアスのみに重点を置くことがないように、ジェンダー・バイアスを既に教育されている法律の実体分野の中に統合すること、これらの問題に対する裁判官の抵抗に反撃するために革新的且つ創造的な教育技術を開発すること、ならびに裁判官が最新の研究から恩恵を受け且つ男性と女性が我々の社会において有する様々な経験の理解を得ることができるようにするため、適当な場合には社会科学からの情報を含めること、を含む。諮問委員会はまた、個々の一定分野、最も目立つところでは家族法において、自発的教育モデルは最終的にはこれらの決定的に重要な分野における問題を審理する全ての裁判官のために要求される課程に地位を譲らなければならないと結論づけた。

H. 人種偏見および民族偏見 諮問委員会の最後の章は、人種偏見・民族偏見とジェンダー・バイアスとの間の相互関係に捧げられた。有色人種である女性が直面する問題は、諮問委員会にとってその作業全般を通じて特別な焦点であり、適当な場合には報告書の中のどこにでも記載された。しかしながら、この問題の複雑さと大きさの双方が、裁判所における人種偏見および民族偏見を研究する独立した特別専門委員会の設置を決めた。従って、諮問委員会は、諮問委員会が提案する研究分野を添えて、かかる特別専門委員会に対する勧告を含めた。前カリフォルニア州首席裁判官のルーカスによって1991に任命された、「裁判所における人種・民族偏見に関する司法協議会諮問委員会」は現在、公聴会を実施したところであり、公聴会での証言の要約を出しており、また1996年の秋には報告書と勧告を出す予定である。
V. 結び 余すところのない調査の後、諮問委員会は我々の文化的および政治的な歴史の中に刻み込まれたジェンダー・バイアスは、同様にカリフォルニア州の裁判制度の意志決定環境および法廷環境においても同様に明白なものとなったと認定した。諮問委員会の委員は、ジェンダー・バイアスを一掃し、その影響を最小限にするために迅速な措置を講じることは、他者の行為を判定する責任を負う裁判制度と裁判所システムの特別な責任であると結論づけた。諮問委員会の勧告は、裁判制度に対する公衆の信頼および自信を育み、またカリフォルニア州の裁判所が全ての市民にとっての公平のモデルとして21世紀へと進んでいくことを助けるという精神で提案されたものである。
もどる