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花水木

谷貝 知紀 谷貝 知紀(65期)
●Tomoki Yagai

私は、平成24年に弁護士登録をし、いくつかの法律事務所で勤務をした後に、数年前に東京都台東区で独立開業 し、現在に至っております。 独立後は、日々、業務や経営に悩みを抱えながら、なんとかやっております。

独立する際の事務所所在地として、この場所を選択した理由は、私の先祖が江戸時代からこの地域で生活してきており、私自身も生まれてから大半の期間を過ごしている、地元というべき唯一無二の場所であるためです。そもそも弁護士になりたいと考え始めていた高校生の時期から、いつかは地元で開業しよう、というぼんやりとした目標がありましたので、独立する際に開業場所で悩むということは、特にありませんでした。このように地元で開業した私ですが、最近では、これまで地元で生活してきた私でさえ気づかなかった、この土地の魅力に気づかされています。そもそも、台東区という 場所は、千代田区、中央区などの東京の中心部と接しており、上野・浅草という東京観光の目玉を多く抱える、都会らしい活気ある地域のひとつであるという側面があります。一方、そのような場所にもかかわらず、都会らしからぬ、地域の人々とのつながりが深い独特な場所ともいえます。良い意味でも悪い意味でも変化を好まない地域性が、この独特の雰囲気を作り上げているのだと地元の方々はおっしゃいます。

そして、何よりも地元が好きな方が多いということです。元々お酒や食べることが好きな私は、独立後は、今まで店の前は通っていたけど入ったことのない地元の店、TVで取材を受けているのは見たことはあるけど、一見さんお断りなので入れなかった店、それらの店を地元の方々と訪れています。そこで地元の現在と将来について等、様々な話をすると、時間がいくらあっても足りないのです。安直ではありますが、そのような楽しみが増えたのも地元で開業して良かったと思う点です。

また、私の所属する地域団体の活動として、区立小学校の小学6年生への特別授業を年1回開催しております。私も、毎年母校の小学校の担当をさせていただいています。 弁護士なのだから法律の授業か何かをやるんでしょと思われがちですが、実は教えるテーマは、その地域団体の趣旨に合わせて「税金」についてです。私自身、それほど税金に詳しくはありませんでしたので、カリキュラムを確認して勉強し、初めて知ったこと も少なからずありました。ただ、ここで悩ましいのが、このような特別授業をやる際、周りの方からは、弁護士なのだからしゃべるのが得意で、きっと凄い授業をするんだ、と期待されがちなところです。もちろん、これを読んでいただいている弁護士の皆様の多くはその期待に応えられる方だと思うのですが、皆が皆、そうというわけではないので、毎回プレッシャーを感じております。

このように生活していますと、時間というのはあっという間に過ぎていくのだと痛感させられます。今後も常に精進を忘れずに、地元に根差した活動を継続していくつもりでおります。