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花水木

藤井 直芳 Naoyoshi Fujii(69期)

右手に幸福を、左手に苦行を 突然ですが、私はダイエットが好きです。正確には、好きというより、ダイエットをしていないと怖いという感覚です。食事は常にベジタブルファースト(野菜から食べることで血糖値の上昇を緩やかにすることです。)ですし、(漫然としていなければ)歩くときはドローイング(腹筋に力を入れることで消費カロリーを増やすことです。)をしています。
というのも、私はビールにポテトチップスという組合せに目がなく、ビールを飲みつつも大学卒業時の体型を維持するには、日頃からダイエットの心掛けが欠かせません。
しかし、ダイエットをしたがる私に対し、炭水化物をこよなく愛する妻が立ちはだかります。
そもそも炭水化物至上主義の妻と、そのおいしさを理解しつつも我慢して体型を維持したい私との間で食事に関する方針が異なります。

私は、夕食では炭水化物を控えたいのですが、妻はつけ麺などの手軽でおいしい夕飯を用意することがあります。炭水化物ではありませんが、スーパーで買物中、私がコカ・コーラ ゼロに手を伸ばすと、妻から差止めがあり、やむなく通常のコーラを買います。
もっとも、私は、できれば家族と同じものを食べたいと考えているため、妻と一緒に食べる朝食・夕食については気にしないこととし、1人で食べる昼食(すみません、本当は夕食も1人です。)で炭水化物の制限を行うこととしています。
具体的には、昼食をサラダだけにしています。栄養バランスの知識はあまりないのですが、やはりバランスは気になるため、キャベツ・ニンジン・キュウリを中心として、複数の野菜を千切りにし、サラダにしています。これに、鶏の胸肉やササミなどをゆでたものを加えて食べることが多いです。

これは本当の話ですが、この食事は、3日目には飽きます。ドレッシングを変えたり、味変のためにちくわや別の野菜を入れたり、オリーブオイルをトリュフ入りにしたり、色々 と試しましたが、とても飽きます。
しかし、慣れると、飽きの向こう側に行くことができます。
実は、この食事は、修習時代にも行っていました。弁護修習中に3キロも太ってしまったことで、修習開始時に新調したスーツがきつくなり、あろうことか膝の裏側に擦過傷ができたため、ひたすら野菜を食べる生活をしていました。全ては飲み会を断らずに痩せるためでした。
現在、なぜそこまでしてダイエットを試みているかといいますと、6月頃の出来事に遡ります。
6月頃、仕事が立て込んだことで不摂生が続き、体組成計が表示する私の体年齢が30歳となってしまいました。私は実年齢が32歳(7月現在)なのですが、今まで体年齢が30歳代に乗ったことはなく、26歳前後と表示されることで密かに満足していました。そのため、体年齢が30歳と表示されたことは、私にとって大きな衝撃であり、真っ先に妻に報告しました。
妻は「実年齢より体年齢が若いんだから、気にすることはない」と優しい言葉を掛けてくれました。私は、妻に感謝しつつ、ふと気になり、妻の体年齢を聞いてみました。
すると、妻は体年齢につき「24歳より上になったことがない」とのことであり、それを聞き、普段温厚な私の胸には青の炎が燃え盛り、実に修習生以来のサラダダイエットを開始したのです。

お読みいただいた皆様に、本稿がお手元に届く頃、私がサラダダイエットを断念していることを確約致します。