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今さら聞けない弁護士のビジネスマナー vol.6「通夜・葬儀マナー」編

 親しい間柄のみならず、弁護士としてクライアントや仕事の関係でも参列することも多い通夜・葬儀。故人と最後のお別れをする大切な時間であり、ご遺族にとっては、悲しみながらもお別れに来てくださった参列者への感謝を表す場でもあります。参列にあたってはまずは故人を偲び、悲しみに耐えながら儀式を執り行うご遺族を思い遣る気持ちが第一ですが、思わぬ軽率な行動や出過ぎた行動で礼を欠くことのないよう、十分な注意と確認が必要です。

1 通夜・葬儀・告別式について

<通夜>
 本来、遺族や親族、親しい友人が故人の死を悼むものですが、現在では告別式に参列できない人が出席するケースが増えています。なるべく読経の始まる前に到着するようにします。
 焼香の後の通夜ぶるまいは、故人と共にする最後の食事で、供養・お清め・弔問のお礼など様々な意味が込められています。勧められたら一口でも箸をつけ、翌日に葬儀を控えたご遺族の立場を考えて早めに退去しましょう。
<葬儀・告別式>
 個人の成仏を祈るための儀式が葬儀、最後のお別れをする儀式が告別式です。一般の場合は告別式の方に参列すればよいとされていますが今は同時に行われることも多くなりました。いずれの場合も定刻より早く着くようにします。
<身だしなみ>
 通夜はブラックスーツやダークスーツなど、喪服でなくても構いません。地味な服装・髪型を心掛けます。葬儀・告別式は男女共にできるだけ喪服に光沢のない黒靴で参列するようにします。いずれの場合も、男性はタイピン・カフスボタン等をできるだけ外します。女性は結婚指輪以外のアクセサリーはつけないことが基本です。ただし控えめなパールであれば許される場合もあります。化粧は色味を抑えたナチュラルメイクにし、目立つネイルは落として参列しましょう。
<参列できない場合・後日訃報を知った場合>
 事情があって通夜や葬儀・告別式いずれにも参列できない場合は、弔電を早急に発信してお悔やみの気持ちを伝えます。その場合、宛名は喪主にし、葬儀前日までに個人の自宅か葬儀会場に着くように手配します。
 全ての儀式が終了した後に訃報を知ったという場合も同様ですが、お世話になったなど、故人や親族との関係性が高ければ、後日弔問に伺うことが望ましいです。しかしながら遠方であったり、都合がつかないなどという場合には、現金を入れた香典袋を現金書留で喪主宛てに郵送したり、花や果物、お菓子などの供物、お線香などを送ることも失礼ではありません。ただし、既に香典返しの手配が済んでいる場合もありますので、金額は控えめにし、お返しの心配のないよう内袋に一言書き添えるとよいでしょう。いずれにしてもお悔やみと欠席を詫びる手紙を添えることを忘れずに。

2 香典について

 本来香典には「霊前に香を供える」という意味があります。現代では香の代わりに現金を、金額と宗教に見合った不祝儀袋で包むようになりました。さらにそれを袱紗に包んで持参します。
 金額は一般的に血のつながりが濃いほど高額になりますが、顧問先や仕事関係、友人であれば、5千円~ 1万円程度が目安です。相手との関係性によってはもっと多く包む場合もあります。新札は使わず、4、9や偶数は避けた方がよいとされています。また、不祝儀袋は蓮の花が印刷してあるものは仏式のみ、百合の花が印刷してあるものはキリスト教式のみなので注意しましょう。

<宗教による水引と表書き>

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各宗教に共通して使える表書き 仏教には「御香料」「御香典」でもよい キリスト教は「御花料」とする 心付けは小さめの白封筒


<香典辞退>
 訃報連絡の際に香典辞退の旨が書いてある場合や、葬儀の方法によっては供花・供物を断られる場合もあります。そのような場合は、何よりも葬儀を取り仕切る遺族や喪主の意向を尊重し従うことがマナーです。心のみを込めて故人を送り出すことに徹しましょう。

3 仏式・神式・キリスト教式

 いずれの宗教も葬儀の意味にはかなり違いがあり、故人に対する弔意の表し方が異なります。仏式は焼香、神式は玉串奉奠、キリスト教式は献花を行います。しかし、亡くなってから火葬までの大きな流れに関しては、ほとんど変わりがないため、一般の会葬者は特別に身構えたりする必要はありません。特に神式やキリスト教式では喪家側が何らかの配慮をしているはずなので、会場に着いたら係の方の指示に従ってください。身だしなみも各宗教同じと考えて差し支えありません。

4 ありがちなタブー

通夜前に喪服を着ない
 亡くなった直後の弔問であっても、早々に喪服を着ることや、香典を持参することはかえって失礼です。
言葉遣いに注意
 「重ね重ね」「返す返す」「苦しむ」「迷う」「浮かばれない」といった重ね言葉や、不幸を連想させる言葉は避けます。また、「冥福」「成仏」「供養」といった言葉は仏教用語です。神式では「急逝」「他界」「永別」などが使われます。
読経中は席を立たない
 やむを得ず途中で退席する場合も、僧侶が読経を終えて退席するまで待ちます。

5 心配りを大切に

 弔事は地域やしきたりなどによっても異なる場合がありますが、いつでも即座に対応できるようにのし袋や袱紗・数珠などは職場に用意しておきましょう。事務所や上司の代理・代表で参列する際や、手伝いの際にも最善の心配りを意識して、故人やご遺族に失礼のないようにしましょう。

情報提供元:キャプラン株式会社Jプレゼンスアカデミー
航空会社で培ったおもてなしノウハウをもとに、個人・法人を対象とした教育研修を提供、7,000社以上の研修実績をもつ。マナー講師の98.5%が航空会社客室乗務員の出身。
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