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花水木

私は、2011年12月に弁護 士登録し、それ以降弁護士が20名強所属する事務所で執務しています。早いもので弁護士登録をして8年目に入りました。弁護士になる前には、8年目にもなれば一人で何でもできる頼もしい弁護士になっているのではないかという淡い期待を抱いておりましたが、現状の自分はと考えてみると・・・日々パートナー弁護士から指摘を受けたり、同僚弁護士と雑談しながら意見を聞いたり、ときには依頼者に教えを請うたりと、まだまだ未熟者です。

そのような私ですが、他の弁護士から、「楽しそうに仕事をしているね」と言われることがあります。私としては、辛いことも多く(そのような声を掛けてくれた弁護士と一緒に担当している案件が辛いと思うことも。)、大変で嫌になることもありますが、そうはいっても、楽しそうに見えるということは、弁護士という職業が自分に向いているのかもしれません。何をもって向いていると言えるのかは分かりませんが、この機会に弁護士になって良かったと私が感じることを挙げてみようと思います。

1つ目は、何より目の前で困っている依頼者の法的問題を解決することができる、直接的に人の役に立つ仕事であるということです。
もちろん、依頼者が抱える問題のうち弁護士が関与し力になれるのは、法的問題やそれに付随する問題にすぎず、それにより依頼者の全ての問題が解決するわけではありません。しかし、やはり目の前の依頼者の問題を解決できることは、何より嬉しく、やりがいのあるものです。

2つ目は、弁護士は、色々な人と出会うことができる職業であるということです。
弁護士のように、経営者や著名人、各種専門家から、ときには破産者や犯罪者といった人に出会う職業はあまりないのではないでしょうか。私にとって、依頼者を含め、自分と異なる経験をされた職業も立場も年齢も違う人と話をすることは大変刺激になり、貴重な経験となっています。もちろん、出会った人の中には、全く共感できない考えの持ち主、身勝手な人、無理難題を言ってくる人、また、タイプ的に合わず苦手だなと感じる人もいます。しかし、そのような人から逃げることなく、案件のみならず、その人と真摯に向き合うことにより、様々な気付きを得ることができると信じてやっています。

3つ目は、弁護士は管理されておらず、何より自由であるということです。
自由である以上責任が伴い、また勤務時間が決まっていないことにより長時間勤務になりやすいという弊害はあります。しかし、管理されているわけではないことから、融通が利き、仕事面でもそれ以外でも、フットワーク軽く動くことができるというのが魅力です。ただ、かくいう私は、結婚し子供が生まれてからは(現在2歳)、休日で融通を利かすのは難しくはなってきていますが。

これからも弁護士人生は続きます。素晴らしい諸先輩方を見習いながら日々研鑽を積み、また人間力も高め、私に相談をして良かった、楽になったと感じて貰える弁護士を目指したいと思います。


奥富 健(64期)
●Takeshi Okutomi

NIBEN Frontier●2019年8・9月合併号 37