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考えよう! 委員会のミライ ~NIBEN若手フォーラムからの委員会参加のススメ~

会員の皆さん、委員会には参加していますか? 若手会員の大半は、いわゆる「勤務弁護士」ですが、毎日の仕事に追われていると、どうしても委員会活動はおろそかになりがちです。 今回、私たち「NIBEN若手フォーラム」では、若手会員の現状や委員会参加の状況等について、若手会員向けのアンケート調査を行い、若手会員が積極的に委員会に参加するにはどうしたらよいかということを本音で議論しました。 本特集では、アンケート調査結果を分析しながら、若手会員の視点から、委員会参加を促すための方法について複数の提案をします。 若手会員だけでなく、中堅・ベテランの会員の皆様にも是非ご一読いただき、今後の委員会活動の参考にしていただければと思います。

「NIBEN若手フォーラム」は、弁護士登録10年以内の弁護士会員の相互研鑽と親睦を図るとともに、会務や公益活動への参加を促すことによって、本会に対する帰属意識を高め、もって弁護士自治の維持発展に寄与することを目的として、2018年7月に設置された委員会です(NIBEN若手フォーラム設置規則第2条)。
当委員会では、若手会員間の相互研鑽と親睦を図りながら、若手会員の業務拡大、研修・勉強会企画、悩み相談、委員会活動や公益活動に参加しやすくなるような取り組みを行っています。

※平成31年1月16日と同年3月8日に、当弁護士会の60期から71期までの会員2935名に対し、FAX及びアンケートを掲載した当弁護士会の会員サービスサイトのURLを電子メールで配信する方法によりアンケートを実施しました。
その結果、FAX43名、WEB205名の合計248名から回答がありました。

どうすれば若手会員は委員会に参加できるのか

1若手会員の委員会活動の現状について

まずは、本アンケート結果をもとに、若手会員の委員会活動の現状について見てみましょう。
本アンケートには、9割の会員が回答しておらず、その方々の委員会活動に関する意識を確認することはできませんでしたが、少なくとも回答した1割の会員のうち、87%が、「委員会活動をしたい」としており、若手会員の委員会活動に対する意識自体は決して低いものではないことが確認できました。

今後、委員会活動をしたいですか?

しかし、87%が「委員会活動をしたい」と回答しているにもかかわらず、委員会活動をしていない会員は53%と半数を超えています。

NIBEN 若手フォーラム メンバーの声

弁護士会の委員会でどのくらい活動をしていますか。

「委員会活動をしていない理由」についての回答は以下のグラフのとおりです。

委員会活動をしていない場合、その理由を教えてください(複数回答可)。

また、「委員会活動で改善すべき点」についての回答は以下のグラフのとおりです。

委員会活動で改善すべき点を教えてください(複数回答可)。

上記のグラフのうち「その他」(9%)として、以下の意見が寄せられました。
・委員会に入る段階で具体的に何をしているのか、どういうメリットがあるのかよく分からない。委員会に入っても、どのような活動をしているのか分からない。
・なじめない、既存の人間関係に入り込むのが難しく感じられる場面がある。年配者が意見を変えないことが多い。若手が少ない。
・報酬を一定範囲で支払う等、目に見える形で活動に対する見返りがあってもよい。
・会内の一組織としての委員会を動かすことに時間を取られすぎており、実質的な議論がなされていない。
・組織内弁護士も参加しやすくして欲しい。他方で、「委員会活動をしている理由」についての回答は以下のグラフのとおりです。

委員会活動をしている場合、その理由を教えてください(複数回答可)。

積極的な理由で活動している会員が多いといえますが、活動そのものを目的とするよりも、他の弁護士と知り合いになれることや、仕事につながること等の副次的なものを動機としている会員が多いことが読みとれました。

NIBEN 若手フォーラム メンバーの声

2委員会参加を促すための方法

本アンケート結果を前提に、委員会参加を促すための方法として、以下のことを提案します。

(1)委員会の「見える化」をし、入りやすい仕組みを作る

前述のとおり委員会活動をしていない理由について、14%の会員が「委員会に参加するメリットが感じられない」と回答しており、委員会活動で改善すべき点について、委員会がどのような活動をしているのか、どのようなメリットがあるのか分からないという意見がありました。委員会活動をしていない理由として、13%の会員が、「委員会についての情報が不足しており、どの委員会に入ったらよいのか判断できない」と回答しています。
各委員会の役割や目的、具体的な活動、参加することのメリット等が、会員に対して十分に伝わっていないことから、所属する委員会を選びにくく、所属希望は出したものの、当初考えていた活動とかい離していたため足が遠のいてしまうということがあるようです。このような状況を改善するため、各委員会 が、その役割等を再確認し、どのような目的をもって、具体的にどのような活動をしているのか、会員に対して「見える化」していく必要があります。「見える化」することにより、異なる委員会でありながら同じような活動をしている分野について整理・統合を図る等、委員会全体のスリム化につながることも期待でき、縦割りではなく、委員会同士が横の連携を図って効率的に活動するというメリットも生じるものと思われます。 また、委員会活動で改善すべき点として、18%が、「委員会に入りにくい」と回答し、委員会活動をしていない理由として、16%が、「入会方法が分からない(入会希望のとき誰に連絡したらよいのか等)」と回答していることからすると、委員会に入りやすい仕組みをつくることも重要です。
委員会を「見える化」し、入りやすい仕組みを作るための方法として、以下のことを提案します。
①委員会のパンフレット、プロファイリングシート(説明書)の作成・配布・掲載
委員会の目的や役割、具体的な活動、参加することのメリット、若手会員に求めること等を分かりやすくまとめたパンフレットを作成しましょう。
当委員会では、各委員のプロファイリングシートを作り、略歴、主な取扱い分野、チャレンジしたい分野、趣味等を共有することにより、各委員の人となりを知ることができるようにしています。これは、当委員会内でのみ閲覧可能なものですが、プロファイリングの共有という工夫をすることにより、委員会において、各委員のことを知ることができます。
同じような発想で、当弁護士会において、各委員会を知るために、委員会のプロファイリングシート(説明書)を作成することも一案であると考えます。そこでは、委員会以外にも広く公開することを前提に、所属する委員等の紹介もすることによって、当弁護士会において、各委員会の活動や委員を具体的に「見える化」することが必要であると考えます。
また、プロファイリングシートは、配布するだけでなく、当弁護士会の会員サービスサイトのトップページや、当弁護士会のアプリであるmiNiBenに掲載して、できるだけ多くの会員の目に触れるよう工夫することも必要であると考えます。
②委員会に関する基本マニュアルの作成と交付・掲載
あまり知られていませんが、いつでも委員会の委員や幹事に就任したいという希望を伝えられる仕組みがあります。委員会によっては希望が通らないこともあるようですが、当弁護士会の会員サービスサイトの「委員会希望アンケート」を通して、委員や幹事に就任したいという希望を伝えることができるのです。
そもそも、委員会の入り方、いつどの委員会に入ることができるのか、委員を募集しているのか、委員と幹事の違い、委員の任期、公益活動としての取り扱われ方など、基本的な仕組みを知らない若手会員も多いものと思われます。
このような状況に照らし、①の委員会のプロファイリングシートと同様、委員会に関する基本マニュアルを作成し、配布・掲載することが必要であると考えます。

プロファイリングシート

NIBEN 若手フォーラム メンバーの声

③就任希望書の作成・交付当委員会は、委員や幹事 の人数をできる限り増やしたいことから、オリジナルの「就任希望書」を作成しており、若手会員に会う機会に、直接就任希望書を渡しながら、当委員会の説明をし、就任意欲を持ってもらうという活動をしています。

就任希望書があることにより、若手会員が当委員会に入りやすくなっていることを実感しており、このような積極的な委員会への勧誘方法も検討すべきと考えます。

④タイムリーな委員会情報のメール配信
現状委員会に参加していないが、タイミングがあれば参加したいと思っている会員向けに、各委員会の募集情報や活動内容などを、タイムリーに集約して、毎月1回のメール配信で分かりやすく会員に提供していくことも有益であると考えます。更に「○○委員会に入りませんか!」など、積極的に各委員会を宣伝した方がよいと考えます。
また、そのようなタイムリーな情報を、当弁護士会の会員サービスサイトやmiNiBenにも掲載し、頻繁に更新することにより、委員会への参加の呼びかけを続けていくべきです。
⑤新規会員登録後のクラス別研修等での工夫
新規登録時に各委員会のことを知ることは重要です。
そのため、新規登録時のクラス別研修等において、委員会見学を研修内容にする、委員会をいつでも傍聴できることを積極的にアナウンスするといった方法により、各新規会員が最低でも一つの委員会で活動できるような仕組みにしていくことが必要であると考えます。

(2)会議出席だけではなく、活動・作業時間でも評価する

一日の就労時間は、平均するとどのくらいですか?

労働基準法上の法定労働時間(8時間)以上の就労をしている会員が83%、1日あたり10時間以上の就労をしている会員が58%であり、若手会員は、1日当たりかなり長時間働いていることが読みとれます(休日については、27%の会員が週に1回、60%の会員が週に2回とれているとの回答がありました)。

NIBEN 若手フォーラム メンバーの声

委員会活動をしていない理由として「業務が忙しく参加できない」(61%)が最も多い中、日中の2時間余り、会議に出席するということは、それ自体とても大変なことです。
多様な働き方をしており、会議に出席すること自体が、時間的・物理的に困難な状況にある会員が多いことからすると、必ずしも会議出席にこだわらない柔軟な委員会参加の方法を検討すべきと考えます。
例えば、電子メールで所属している各委員に対して、やるべきことを割り振り、事務所や自宅で作業してもらうという方法をとることにより、会議に出席しなくても何らかの役割を担うことは可能です。
委員会で改善すべき点として最も多かった回答が、「時間が長すぎる」(19%)というものです。
長すぎると感じる委員会に出席して、何も発言しない時間を過ごすより、事務所や自宅において、好きな時間に与えられた役割を果たす方が、意欲も高まります。
事務所や自宅において活動することが評価されるようになれば、忙しくて会議には出席できなくても、何らかの活動をしたいという委員も増えるのではないでしょうか。
このように活動や作業時間で評価していくためには、タイムシート等を利用した申告制度や作業したことのチェック制度等を設ける必要がありますが、会議に出席したことだけでなく、事務所や自宅での活動・作業時間も積極的に評価する仕組みを作っていくことが必要であると考えます。

(3) 会議の時間帯や参加方法を工夫する

委員会活動をしていない理由として「時間帯が合わない」という回答が32%あります。
13%を占める組織内弁護士が、一般的な会社の勤務時間である日中、委員会に参加することは相当大変なことです。また、約7割の勤務弁護士も、ボスから与えられた仕事に追われ、日中の委員会に参加することが難しいという現状があります。
そのため、委員会の会議の時間帯については、組織内弁護士や勤務弁護士(本アンケートによる)を中心に、18時以降にして欲しいという意見が多数あります。
18時以降に開催する場合の最大の問題点は、委員会に事務局の職員が出席できないということです。しかし、事務局の職員をフレックス制度にする、事務局の職員が出席しなくても進められる議題については18時以降の会議で検討するといった柔軟な対応をとることも可能であると考えます。
他方で、子育て、家庭の状況、ワーク・ライフ・バランス等の観点から、18時以降の参加は無理であるという会員もいます。
多様な働き方をしている全ての会員にとって完全な時間帯というものはなく、時間帯の調整は難しい問題です。一つの委員会において、常に固定した時間帯で会議を開催するとなると、委員によっては時間帯が合わず一度も会議に出席できないという事態が生じます。そのため、月やテーマによって、一つの委員会においても全体会の会議の時間帯を変えるといった工夫が必要であると考えます。また、現在でも実施している委員会があるように、部会やプロジェクトチーム(PT)単位で、時間や参加方法を柔軟に決めることも検討すべきです。
また、会館に行かずに、短時間でも会議に出席できるよう、LINEやSkype、WEB会議システム等を利用した参加を積極的に促すべきです。委員会によっては、リモート参加やオンラインでの参加を原則としてはどうかという意見もありました。
コミュニケーションツールの中には、セキュリティの観点から、委員会活動で利用するのにふさわしくないものもあると思われますが、その場にいなくても会議に出席できる仕組みを使って、会議への出席をより促進してくことも重要であると考えます。

NIBEN 若手フォーラム メンバーの声

依頼者や事務所内の連絡手段として、電話やメール以外に利用しているコミュニケーションツールはありますか?(複数回答可)

(4)ポイント制度、マイレージ制度等により楽しみの要素を取り入れる

「委員会活動をしよう!」という意欲を持つためには、参加することにより「楽しみ」をもたらす制度を取り入れることが必要と考えます。
ポイントやマイレージは、委員会に出席したり、事務所や自宅で委員会活動に関する作業をしたりするごとに付与されます。若手会員が委員会活動をした場合にはポイント2倍、委員会に新会員を紹介したら双方が紹介ポイントをもらうことができるというように、ポイント付与基準も、楽しい仕組みになるよう工夫しながら設けます。ポイントやマイレージは、miNiBenを通じて付与・管理します。
ポイントやマイレージが一定数たまった場合には、NIBENキャラクターを集められる、ロールプレイングゲームに参加し前進できる、貴重な情報が得られる、会費の減額、弁護士会照会手数料の減額、当弁護士会発行の印鑑証明書の手数料が無料になる、委員会参加の際に日当が受けられるようになる、適正な評価制度のもとポイントが膨大になった場合は報酬が支払われるといったサービスの提供を受けることができます。
ポイント上位ランキング会員は、miNiBen に掲載され、表彰されることもあります。「今年はこれまで○○ポイントたまったよ!」と、自分のポイント数を他の会員に伝え、会員同士でポイント数を競うこともでき、「今月のポイントは?」と、会員同士の会話のきっかけにもなります。
若手会員にとっては、このような楽しみの要素があると、気軽に委員会活動に参加しやすくなります。複数の委員会で活動している、いわゆる多重会務者にとっても、ポイントにより委員会活動をしたことが「見える化」され、評価されることは、何もないよりは、それだけでうれしくなります。
委員会や会務は無償で行うべきであるとの意見もあると思います。しかし、委員会活動に対する見返りが欲しいという若手会員の意見も多くあり、委員会や会務の一部有償化へとかじを切っている弁護士会もあります*1。当弁護士会でも、活動時間や活動内容によっては、一定の要件のもと、委員会や会務の一部を有償化することも検討すべきと考えます。

(5)委員同士の交流を深める環境づくりと、委員の「見える化」をする

本アンケート結果によると、若手弁護士は、自分が所属している事務所外の弁護士との交流を大事にしていることが読みとれます。このことから、委員会が、事務所外の弁護士との交流を図る場になることを意識して、委員同士が交流しやすい取組みや環境づくりをしていく必要があると考えます。
当委員会では、「明るく、楽しく、自由にものが言える、和気あいあいとした雰囲気」になるよう意識しており、久しぶりに出席した委員でも、1回は発言できるような雰囲気をつくっています。また、委員会終了後には、任意参加の懇親会を開催することにより、委員同士が交流できる場を提供するよう心がけています。

*1佐賀県弁護士会では、綱紀委員会、懲戒委員会、紛議調停委員会、人権擁護委員会、非弁護士業務対策委員会において、議決書・報告書等の起案を担当した委員に対して、1件当たり3万円の手当(総額5万円まで増額することができる。)を支給することとしているほか、裁判官選考検討委員会において裁判官評価アンケートの取りまとめを担当した委員に1回当たり3万円の手当を、日弁連会長選挙時に1日2時間超立ち会った選挙管理者・立会人に対し日当2万円を支給することとされている(「佐賀県弁護士会 会務の一部を有償化」自由と正義70巻7号75頁)。

NIBEN 若手フォーラム メンバーの声

事務所外の弁護士との交流について次のことを教えてください。

委員会に所属していても、意外と各委員の人となりを知らないものです。
そのため、当委員会では、前述のとおり、任意で所属委員のプロファイリングシートを作り、略歴、主な取扱い分野、チャレンジしたい分野、趣味等を共有することにより、各委員の人となりを知るとともに、案件の相談をする等、委員同士のつながりを築けるようにもしています。このような工夫により、会議の出欠にかかわらず、所属委員のことを知り、交流の幅が広がれば、活動にも参加しやすくなります。
入会間もない会員が、入った委員会の雰囲気や環境になじめるよう、指導担当をつけるといったメンター制度を設けることもよいと考えます。
委員会に参加する理由として、「仕事につながる」という回答も多くありました(44%)。また、仕事や案件の内容で困ったとき、 35%が「事務所外の先輩弁護士に相談する」 と回答しています。

仕事や案件の内容で困ったときの相談方法を教えてください(複数回答可)。

全ての委員会の活動を仕事につなげることは難しいものですが、委員会を通じて、委員同士の交流が深まれば、自身の案件について相談できる仲間が増え、先輩弁護士から声をかけてもらえたり、ときには仕事を一緒にできたりするようなこともあります。業務妨害等を受けて困っているときに助けてくれる身近な仲間を得ることもできます。このように、人とのつながりが、ひいては自身の仕事にもつながることを若手会員に伝えていくことも有益であると考えます。

(6) 一人当たりの負担の軽減を図り、役割を分担させる

委員会活動で改善すべき点として、18%が、「出席者が少なく一人当たりの負担が大きい」との回答をしています。
一人当たりの負担を軽減するためには、委員会が行っている活動をスリム化する、参加者を増やす、委員にバランスよく役割を分担させるといった対応が必要となります。
一人で多くの負担を抱えている委員がいる一方で、28%の会員が、「委員会に所属しているが活動していない」と回答しています。
所属している委員には、会議の出欠にかかわらず、何らかの方法で積極的に役割を担うことを促し、所属委員会への帰属意識を高めるとともに、バランスよく役割を分担させていくことが必要であると考えます。

(7) 所属事務所(ボス弁・パートナー)の協力の促進

委員会活動をしていない理由として、「事務所が委員会活動に消極的又は否定的である」との回答は7%でしたが、「業務が忙しくて参加できない」との回答が61%と最も多いことからすると、事実上、事務所においてボス弁パートナーから振られた日々の仕事に追われて委員会に参加することができないという若手会員が相当多いと考えられます。

NIBEN 若手フォーラム メンバーの声

給与や勤務形態について次のことを教えてください。

アンケート回答者の7割が、経営者から給与・報酬等をもらっている状況において、多くの時間を委員会活動に費やすことは難しいものです。

あなたが感じている不安や悩みはどのようなものですか(複数回答可)。

最も多い不安や悩みは、「就労時間と生活とのバランス(ワーク・ライフ・バランス)」であることが分かりました。

休日は、平均するとどのくらいとれていますか。

上司やボスとの関係は、どのような状況ですか?

上司やボスとの関係についての回答は上記のグラフのとおりであり、事務所内の人間関係は比較的良好であるようです。
若手会員が、自身の生活とのバランスも保てないほどオーバーワークになっていることからすると、良好な関係にある所属事務所(ボス弁・パートナー)が、若手会員の就労時間を極力減らすよう努めること(弁護士の働き方改革を進めること)が重要と考えます。それにより、若手会員も委員会活動に参加しやすくなるはずです。

NIBEN 若手フォーラム メンバーの声

2NIBEN若手フォーラムがなすべきこと

本アンケートの回答や分析を踏まえ、当委員会は、今後、以下のことに取り組んでいきます。

1委員会への積極参加を促進

今後も本アンケートのように、若手会員の委員会への参加状況や参加意識等を分析することにより、若手会員が委員会に参加できる方法を検討するとともに、若手会員に対して、委員会への参加を促していきます。
また、委員会の「見える化」を具体的に実現するため、各委員会にヒアリング等を実施し、委員会のプロファイリングシート作りに参画する等の方法を検討・実施するとともに、若手会員が委員会活動に興味を持てるよう、各委員会と連携したコラボ企画等も進めていきます。
委員会や公益活動と弁護士自治との関係等についても理解を深めることが重要であり、年明けには、当委員会内で「弁護士自治」について率直に議論する勉強会を開催する予定です。

委員会の様子

2各種勉強会や研修等の機会の提供

本アンケートで、当委員会として取り組んで欲しいこととして最も多かった回答(47%) が、「各種勉強会や研修の充実」です。
当委員会では、これまで、改正民法勉強会(全10回)、複数の税理士との勉強会、独立開業・事務所経営に関する勉強会、リーガルテック・AI等に関する研修等を企画開催していますが、本アンケートにおいて勉強会として取り上げて欲しいと回答がなされたテーマを中心に、改正民法を含めた各種勉強会や研修を実施していきます。

3交流・互助の機会の提供

当委員会として取り組んで欲しいこととして、42%の会員が、「若手弁護士間の交流の場の提供」を求めています。
現在、当委員会では、数多くの懇親会を開催し、花見(兼合同部会)、バーベキュー(BBQ大会)、ゴルフコンペ(初心者歓迎)等をはじめとした交流・互助の機会を提供していますが、今後は、委員のプロファイリングシートに記載された趣味等をもとに、テニス会、ワイン会をはじめとしたサークルのような仕組みも作ることにより、より多くの交流の機会を提供していきます。当委員会では、11月に福岡で開催された全国若手サミットにも参加しました。今後も各単位会の若手と意見交換することにより、他会の課題や取組みを学び、当委員会の活動にいかすとともに、交流の場を広げていきます。

BBQ大会の様子

花見兼合同部会の様子

全体会後の懇親会

NIBEN 若手フォーラム メンバーの声

4業務拡大の方法の検討

案件全体の件数のうち、個人事件の割合について教えてください(割合は感覚的なもので構いません)。

当委員会として取り組んで欲しいこととして、41%の会員が、「業務拡大の推進」を求めています。
案件全体の件数のうち、個人事件の割合が10%未満であると回答した会員が46%でほぼ半数を占め、40%未満の会員が累計で67%となりました。
また、「自ら案件を得るための取り組み(営業活動や広告を含む)をしていますか?」との問いには、65%が「していない」と回答しています。
個人事件の割合が90%以上と回答した会員は独立している会員と思われますが、全体の7 割を占める勤務弁護士においては、個人事件や、案件を得るための取り組みをすることができない実情があるようです。
しかし、勤務弁護士は、いずれパートナーになるか独立するのが一般的であり、年次を上げるごとに徐々に個人事件の割合を増やしていかなければなりません。多忙な勤務の中で、どのように個人事件を増やしていくべきか検討する必要があります。
弁護士数の増加に伴い、事件の受任の仕方は大きく様変わりしました。インターネット集客も一般化しましたが、ホームページを作ったりポータルサイトに載せたりすれば集客できるというわけでもなく、顧客の獲得については、若手も含めた全ての弁護士が試行錯誤しているものと思われます。
そのような中、当委員会では、若手会員の業務拡大の一環として、例えば、会員同士で個人事件の受任方法を紹介し合う機会を設けること、個人事件を一緒に行うことができる場を設けること、他士業・他団体との勉強会等を行うことにより知見を深めるとともに、潜在顧客との交流の場を提供すること、他業種等との交流会の情報を共有すること、その他営業活動に関する情報提供をしていくこと等を検討しています。

NIBEN 若手フォーラム メンバーの声

3業務内容と収入

最後に、以下のアンケート結果もご紹介します。
まず、回答した会員が取り組んでいる案件の内容については、企業法務全般、契約書作成等の企業相手の業務が多く挙げられ、離婚、労働問題、相続等の個人相手の業務を上回りました。 次に、収入の満足度についての回答は、以下のグラフのとおりです。

現在の収入について満足していますか?

収入に満足していない若手会員が多いのではないかとの予想に反し、満足度は二分され、満足しているという回答の方がやや多い結果となりました。
「収入に満足していない理由」についての回答は以下のグラフのとおりです。

収入に満足していない理由

4さいごに

本アンケートを通じて、若手会員の現状も見えてきました。ご協力いただきました若手会員の皆様、ありがとうございました。
当委員会では、本アンケートの回答・分析結果をもとに、若手会員の皆様のお声に耳を傾けながら各種の活動をしていきます。
多くの若手会員の皆様との交流を深めるとともに、委員会活動についても若手の視点から検討していきたいと思います。
私たちと一緒に活動していただける多くの若手会員の皆様のご参加も随時お待ちしています。

なお、本誌の提案は、本アンケートをもとに、当委員会内で議論し、委員・幹事の意見を集約したものです(分析集約主担当:田中雅大、松村英樹、金ヶ崎絵美、中澤礼、島村海利、中島一精、谷口雄一)。

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