出版物・パンフレット等

山椿

菅沼 友子(42期)
●Tomoko Suganuma

互助会旅行の魅力

サンクトペテルブルグは今頃、厚い雪雲に覆われているのだろうか。真っ青な空の下で輝いていた噴水、まばゆいばかりの宮殿は幻だったのか ...。
8月24日から30日まで、当弁護士会の互助会旅行でサンクトペテルブルグ、モスクワを訪れました。企画運営担当の互助会運営委員会の委員長として、会員とその家族77名の大集団をまとめ、ロシアという身近なようで未知の部分の多い国を旅するのはかなりの重責でしたが、天候にも恵まれ(冒頭に描いた風景は今も目に焼き付いています)、参加者の皆さんのご協力と旅行会社の細やかな心配りにより、素晴らしい旅行となりました。
いきなりロシア旅行の話から入ってしまいましたが、そもそも「互助会旅行」を知らない会員も少なくないかもしれません。当弁護士会には会員相互の親睦と扶助を目的として「互助会」が設置されており、互助会の事業の一つとして毎年会員旅行を行っています。海外旅行は1986( 昭和61) 年度に韓国に行ったのが最初とのことで、その後年に1回の海外旅行が定着して今日まで続いています。
「今どき団体旅行なんて...」と思われる会員もいるかと思いますが(私も最初に参加するまではそうでした)、互助会旅行ならでは、という魅力がいくつかあります。
一つは現地の弁護士会、裁判所等を訪問できることです。事前の準備等は当弁護士会の国際委員会の協力を得ています。今回もロシア連邦最高裁判所とモスクワ弁護士会を訪問し、ロシアの司法制度やIT 化等の裁判の状況についてお話を伺ったり、法廷を見学させていただいたり、弁護士会の直面する共通課題について意見交換を行ったりと、短時間ながらも有意義な会合を持つことができました。
二つめは、互助会運営委員会の委員があらかじめ下見を行うこと等による安心感です。今回のロシアもそうですが、安全情報などが必ずしも十分ではない国に関しては、個人旅行はもちろん市販のパッケージ旅行でもどこか不安です。下見メンバーは、ホテルやレストランの立地、料理やサービス内容等のチェックにとどまらず、ガイドブックでは分からない治安状況を含む現地の空気を肌で感じ取り、安全で快適な旅行が実施できるよう、旅行会社と協議して(ときには無理な注文も出して)準備を進めます。下見メンバーには冷徹な目と繊細な感性、丈夫な胃袋(?) が求められます。
三つめは、これまで接点のなかった会員と知り合ったり、また、知己の会員の知らない面を見られたりすることです。今回は息子さんと父子での参加が5組、娘さんとの参加が1組あり、普段の弁護士の顔とは違うパパとしての姿に思わずほっこりしました。また、ここ数年恒例になっているフェアウェルパーティでの委員長の仮装はこの旅行でしか見られません(苦笑)。
会員の親睦を深めることは弁護士会の求心力を高める上でも大切です。会員数が増大する中、互助会旅行のあり方にも様々な意見があるところですが、コアの部分はこれからも大事にしてほしいと思います。

エルミタージュ美術館にて

エルミタージュ美術館にて