花水木
堀田 陽平(69期)
●Youhei Hotta
1.元々の夢は「警察官」
私は、小さな頃から剣道を習っていたこともあり、警察官になって剣道を続けることが夢でした。大学でも体育会剣道部に入り、剣道中心の生活を送っていました。
しかし、大学3年生の秋頃、改めて将来の進路を考えたとき、「こんな動機で自分が警察官になっても世の中の役に立たないのでは」と思い、警察官への夢は諦め、当時、刑法は勉強していたので、法律家になる道を目指しました。
もっとも、当時21歳の私には、自分がどういう仕事に向いているのか見えておらず、ロースクールに行ってからも、「もし自分にもっと合った道があるのならば必ずしも法律家になることが正解でもない」と考え、選択肢は狭めないようにしていました。剣道中心の生活を送っていた自分にとって、ロースクールでの授業はとても刺激的でした。
2.経済産業省産業人材政策室での仕事と目標
私は、現在、経済産業省経済産業政策局産業人材政策室に任期付き職員として勤務し、働き方改革や、兼業・副業の促進等、労働市場や人材に関する政策の立案を行っています。
私が、産業人材政策室を志望したのは、当時、「働き方改革」の議論が盛り上がっていく中で、長時間労働の是正だけでなく、生産性向上、経営競争力向上という側面に関心があったことがまず一つです。
また、もう一つの理由は、もともと、長い人生を弁護士業務だけで終えるのではなく、民間企業や官庁等で弁護士以外の仕事を経験し、外からも弁護士という仕事を見ておきたいと考えていたためです。
私は、弁護士になってから2 年と経たないうちに産業人材政策室に着任しました。そのような時期に、ほかに相談できる弁護士がいない職場で仕事をすることには、躊躇もありましたが、私が弁護士になったとき、事務所の先生から「弁護士であれば1年目でも10 年目のような顔をせよ。」と教えられたことが心に残っており、「一人の専門家」として責任感を持って執務しています。 私は、もともと器用なタイプではなく、色々な夢を諦めては(実は、お笑い芸人になることも夢でした)、挑戦し、今の職務に就いています。こうした私自身の経験から、産 業人材政策室での任期を通し て、「それぞれの人が、自らが持っている能力を最大限に 発揮して活躍できる社会」に 少しでも近づけることができればと思い、日々業務を行っています。
3.目指す法曹像
産業人材政策室で政策を立案するにあたっては、法律だけでなく、経済や経営の問題、人の行動等、様々な観点を総合的に分析して判断しなければならず、国の立場に身を置いて、改めて「社会は法律だけでなく複雑な要素が絡み合って構成されている」ということを感じました。
また、様々な分野の専門家と接する機会も多く、その姿勢には学ぶところが多くあります。
こうした経験をいかして、「法律」という枠組みに閉じ込もるのではなく、法律の専門家として、社会の中で新たな価値を提供し続けられる弁護士を目指していきたいと思っています。