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この一冊

日本の給料& 職業図鑑
日本の給料& 職業図鑑
給 料 BANK 著 宝島社 980円(税別)
「決定版 日本の給料&職業図鑑」1,500円(税別)も発売中

この世の中は、我々弁護士のみならず、様々な職業の人たちが尽力することで成り立っている。更に言えば、予防法務の重要性が浸透しつつある昨今においてもなお、「紛争」をイメージされがちな弁護士という職業よりも、一般の人々にとっては、弁護士以外の職業のほうが身近に感じられるかもしれない。
そして、我々弁護士が職務を行うにあたり、企業法務においては、手掛ける事件の業界や職業に精通すべきであるし、一般民事を手掛けるにしても、その分野は多岐に亘る以上、一般の人々にとって身近な職業や業界に関心を持ち、勉強していくことは我々にとっても、至上命令であると言える。
しかしながら、私は、法学部卒業後、法科大学院に進学し、そのまま司法試験を受験して弁護士になった身であり、法曹以外の世界を知らないまま生涯を弁護士として生きる(ことにする予定。)と決めたため、社会で、法曹以外にどのような職業の人たちが活躍しているのかを知ることは容易ではなかった。
本書は、そんな私にとって、世の中にどんな職業があり、どのような魅力があるのかを、楽しく、興味を持って学ぶことができる一冊であったから、ぜひ、本誌においておすすめしたい。
本書の職業紹介は、その職業のイメージについて、目を引くキャッチコピーとともに始まる。私が一番好きなキャッチコピーとしては、獣医の「犬は親友であり、家族であり、恋人である」を推したい。獣医がいかに動物に対する愛情を持たなければできない職業かが端的に表れている。鉄筋工の「鉄筋工よ、語るなかれ。組め。」も多くを語らない職人の世界を的確に表現しており、素晴らしいと思う。
そして、RPGゲームをしたことのある者にとっては、どこかで見たことのあるような職業イメージ図が掲載されており、これもまたスタイリッシュで、この絵を見たさに、つい時間を忘れて本書を読みふけってしまう。私は、本書の土木建築系の職人のイメージがあまりにカッコよかったため、思わず、電気工事士(雷の魔法使いとして描かれている。)の資格を取ろうか本気で調べてしまったほどである。
もちろん、その職業の内容、職業への就き方など、お堅い記載もあり、取っ掛かりやすさをアピールした後に、きちんとした解説もなされているので、真面目に職業の内容を知りたい方々も安心して本書を手に取っていただきたい。
なお、この書評をお読みの方々が気になっているであろう弁護士の記載は、ぜひ、直接本書を手に取って読んでほしいので、詳細は記載しないことにさせていただくが、やや世間のイメージに流されている感が否めない。 もっとも、「メールや電話が非常に多く、ストレスでかなり健康に影響が出やすい」という点については、(特に起案中の場合)肯首せざるを得ないのかもしれない。

菅野 正太(70期) ●Shota Kanno