出版物・パンフレット等

山椿

私と将棋 金田 繁(50期)
●Shugeru Kaneda


社会人の多くは、アラフォー世代に差し掛かると、仕事以外にも次第に関心が向くようになりませんか? 走る・泳ぐ・自転車といったアスリート系、その他スポーツ系、グルメ、ワインなどなど。さて私の場合、それまで余り興味のなかったクラシック音楽が、なぜか心に響くようになりました。小学生のときにピアノを多少習ったものの、以降四半世紀にわたり、殆ど縁がなかったのに。 リーマン・ショックの頃、三井住友銀行のロビーで開催されていたクラシックコンサート(入場無料)に足を運んだのが、興味をもった最初のきっかけです。仕事は忙しくも不安定で、「心の癒し」を何か欲していました。都内では、このように、タダでクラシック音楽を聴ける機会が沢山あります*1

「定番」の楽曲が耳になじんできた頃、長女のために購入した超安物の電子ピアノ(今も現役)を、自分でも見よう見まねで弾き始めました。そのような折、長女の学校の父親の集まりで、思いがけずピアノやオルガンの伴奏を仰せつかり、ミッションとして練習に取り組むようになりました。東日本大震災のあった2011年の頃です。以来、職場の内外で段々とネットワークが広がり、人前でピアノやオルガンを弾く機会が増えてきました。

実はピアノ以外にも幾つか、ドラム・ハーモニカ・クラリネット・ギターといった楽器をかじりましたが、ピアノは、狙った音を出すだけなら超簡単(鍵盤を指で押すだけ)、十指を使えば音の組合せは自由自在、強弱も付けられます*2。ニワカの私ですら、1台だけで無限の可能性が広がる、よくできた楽器だと感じます。

クラシックと云えば、丸の内界隈で、春に「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO」、秋に「藝大アーツイン丸の内」というイベントが開催されます。後者には「丸の内ワーカーによる『金曜日のピアニスト』」という、アマチュア参加の企画もあります。私も2014年、5名の奏者の一人として、大勢の聴衆の前で拙いピアノを演奏しました。

あと、法曹界では恐らく私だけなので、くちぶえ(口笛)業界のことも紹介しておきます。『出没!アド街ック天国』で分山貴美子さんという世界チャンピオン(当時)が取材されていたのを偶々観て、「くちぶえ吹き」の存在を知りました。我流ながら、3オクターブの音階が口笛で吹けた私は、ピンと来るものがあり、以来、口笛のコンクールやイベントにも何度か参加しました。口笛を吹きながら自分でピアノ伴奏もする「弾き吹き」をやると、珍妙ゆえ(?)関心を持って貰えることが多いです。

ここ数年は音楽から遠ざかりつつありましたが、最近、ピアノを細々と再開しました。元々、公私ともイベントに乏しく、弁護士業務を粛々とこなす日々でしたので、緊急事態宣言が発出された今(執筆当時)も生活に大きな変化はありませんが、コロナで滅入ってしまわないよう、ピアノに触れる日が増えています。

最後に、駄文で大ゲサながら、お世話になったH先生に、この拙稿を捧げます。

※1 三井住友銀行本店、森トラスト系列のオフィスビル(2018年4月以降は中止)、日本橋三井タワーほか多数。どこも概ね、月1ペースで開催。
※2 ピアノの本来の呼び名は「ピアノフォルテ」、略称は"pf"。弱い音(ピアノ)も強い音(フォルテ)も自在に出せるところに由来。従前の鍵盤楽器になかった特徴。