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山椿

柳 志郎(42期) ●Shirou Yanagi

山椿夏休みの自由研究くらいのつもりで本稿を引き受け、我が家の「猫」の様子を書く予定だったが、編集部からもらった案内を見ると「弁護士魂」という大それた文字が! そこで「弁護士魂」かどうかはともかく、私が常務理事をつとめる日本弁護士国民年金基金(以下「基金」)での日々をご紹介しようと思う。私が弁護士登録したのは平 成2年4月だが、基金はその翌年8月に設立された。まだバブル景気で、基金に加入するくらいなら株を運用するという時代だった。当時加入した弁護士の多くは節税が目的で、将来の年金額など考えもしなかった世代である。
私自身が基金に加入したのは設立時よりかなり遅く、留学から帰ってきてからである。当時は留学中は加入できなかったからだが、今では任意加入制度がある。
加入に出遅れた私を基金の組織に誘ってくれたのが、同じ日比谷倶楽部の山岸良太先生であった。自分が常務理事になるので代わりに代議員をやって欲しいという依頼だった。その私が、不思議な巡り合わせで、山岸先生以来12 年ぶりの二弁出身の常務理事として小田修司理事長(一弁)をお支えしている。
基金の常務理事は、毎日事務所に通って決裁書類を検討・承認するだけではなく、資産運用をモニタリングしたり、弁連大会に併せて広報連絡会議を開催したり、広報用のポスターをデザインしたりと結構忙しい。
基金の存在意義だが、司法制度改革による弁護士増員時 代を迎え、弁護士を取り巻く 経済状況は激変した。今や、昼夜のクラブライフではなく、人生100年のライフプラ ンを組み立てる時代である。 ところが、基金の加入者 数は現在約9700名で、弁護 士の加入率は約3割に過ぎな い。そこで、特に若手弁護士 の加入率を早急に引き上げる ため、登録10年目までの弁護士に対する加入勧奨に力を入れている。
年金の2階建て部分という意味では基金ではなくイデコ(iDeCo)を選択することもできる。将来の年金額が一生涯確定しているのが基金、期間限定で金額も確定していないのがイデコ。それでもここ数年、イデコの加入者が増えていたのは、運用先の選択次第で基金の予定利回りよりも高い収益を確保できたからだ。ただ、現在は、新型コロナの影響で市況が不安定となり、安全確実な基金に移る方が増えている。
常務理事の任期も残すところ半年となった。広報ビデオ作成PTや設立30周年記念行事PTを立ち上げたものの、新型コロナの影響でZoom 会議を多用せざるを得ない。
「新しい生活様式」のなかで、どこまでできるか、任期最後の楽しみでもある。