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山椿

八百屋 伴声(47期)●Bansei Yaoya

異変は昨年の10月上旬頃突然やってきた。駅の階段を上がった後、ひどい息切れを起こし、そのまま歩くことができなくなり、その場にうずくまってしまったのである。しばらくすると呼吸が落ち着き歩くことができたが、その日以来、階段を上る度に息切れがするようになり、階段の途中で立ち止まらないといけなくなった。

父方が心臓病の家系なので、ああついにと思った。病院に行くと心臓病の確定診断が出ることが分かっていたので、「救心」を買って様子を見ることにした。しかし、だんだんと症状が悪化していったので、ついに循環器の専門病院へ行くことにした。各種検査を終えた後、医師から説明を受けた。その医師はこう言った。「八百屋さんの心臓はほとんど動いていない状態です。心不全を起こしています。」ええっ、心臓がほとんど動いていない??? あまりの話に思わず心臓が止まりそうになった。

医師は続けてこう言った。「もはや通院投薬の段階ではなく、総合病院へ行って精密検査を受ける必要があります。紹介状を書くので、総合病院へ行ってください。」私が医師に「いつ行けばいいですか? 明日ですか?」と言うと、「今すぐです! 今晩発作が起こったら終わりですよ」と言われ、タクシーを呼ばれてそのまま総合病院の救急外来へ行き、お約束どおり即入院となった。とりあえず入院期間は2週間と決まった。

弁護士になって25年余り、風邪で裁判所の期日を休んだこともなかったので、裁判所の期日などはどうしようかと心配したが、事務所から「心不全」という病名を伝伝えてもらうと、かえって書記官も心配してくれて、期日を取り消してもらえることになった。

入院してから2、3日で症状が改善し、生まれて初めての入院生活も結構楽しむことができていい休養になった。ところで、約40年間年中無休で酒を飲んで来たのであるが、主治医からは断酒するよう告げられた。しかし、副会長を務めていたとき、会長の吉成先生が主宰する吉成酒飲み道場で一年間稽古をつけてもらったこともあり、吉成先生や当時一緒に道場に通った同期の副会長たちに顔向けできないので、今更断酒などできるわけはない。ほどほどに飲んでいる。

退院後、診察のため通院したところ、主治医から特発性拡張型心筋症という病名であると言われた。根治療法は心臓移植しかないらしい。し、心臓移植ですか???

特発性とは原因不明を意味するようで、難病とのこと。先日、今年度会長のK先生から「八百屋さん、気を付けてね。霊界に戻んないでよ」と心配していただいたが、はっきり言って気を付けようもない。

ところで、二弁会員の方の中で、もし私にお持ちの心臓をひとつ分けてもいいというお方があれば、会館で私を見かけたときに声をかけてください。西新橋あたりの居酒屋でお酒を飲みながらご相談させていただければ幸いです。もちろん私がおごります。

ということで、これからは無病息災ではなく一病息災で、山椿のようにぽろっと花が落ちるその日までがんばろうかなと思っています。みなさんは構わずどうぞお元気で!