出版物・パンフレット等

花水木

水野 太樹 Taiki Mizuno(65期)

読書中 弁護士には、本好きが多いと思いますが、私もその一人。小説やラノベのほか、一般向けの哲学、統計学、量子物理学、数学、認知心理学、認知言語学、行動経済学、行動遺伝学から法学の本まで何でも読む、雑食性の本の虫です。
漫画以外の通読した本は読書メーターに登録してきたのですが、2012年3月4日から2021年末までに1412冊の本を読みました。平均3日で1冊のペースを9年間継続しているので、本好きを自称しても許されるのではないかと思います。
本当は本好き仲間と本について語り合いたいのですが、なぜか私の周りには本好きが少ない。「本について語りたい!」という人がいれば是非ご連絡ください。
さて、既述のとおり、周りに本好きが少ないので、せっかくの機会です。私の読んだお気に入りの本について少し紹介させていただければと思います。法律書はよくご存じだと思うので、それ以外で。
一冊目が、アダム・ベッカー『実在とは何か ―量子力学に残された究極の問い』(筑摩書房)です。量子力学好きには是非読んでもらいたいのですが、量子力学の通説であるコペンハーゲン解釈に疑問を呈する興味深い本。世界の根本に解釈の論争があるという事実は、この世界はまだ謎だらけという事実を示してくれます。
次にアラン・S・ミラー/サトシ・カナザワ『進化心理学から考えるホモサピエンス 一万年変化しない価値観』(フェニックスシリーズ)です。こちらは、進化心理学という人間の思考の傾向を進化の観点から読み解いていく学問の入門書です。進化の過程で淘汰されてきた人間の傾向が、現在に残している影響を社会学的思考と比較しつつ解説してくれます。人間を見る新しい視点を知るという意味でも興味深い内容です。
続いて、アンソニー・ホロヴィッツ『モリアーティ』(角川文庫)。ホロヴィッツの書く本はどれも有名ですが、こちらはコナン・ドイル財団公認で、シャーロック・ホームズシリーズの公式続編として描かれています。推理小説なので、詳細の説明は省きますが、コナン・ドイルの描いたホームズの世界とリンクした素晴らしい作品で、ホームズ好きにはぜひ読んでほしい一冊です。
最後に、國分功一郎『暇と退屈の倫理学 増補新版』(太田出版)。人はなぜ退屈するのか、という疑問からスタートし、カント、パスカル、ニーチェ、バートランド・ラッセル、ホッブス、ルソー、マルクスからハイデガーまで、様々な議論を参照しながら、この疑問に対する答えを出そうとする面白い本。暇と退屈の人間の社会構造との深い結び付きに気付かされる過程が興味深く、議論の展開も分かりやすいので、知的好奇心も満されます。こういう本を読んだことがない人にこそ、薦めたい一冊です。
ほかにも、小坂井敏晶『増補責任という虚構』(ちくま学芸文庫)、鈴木宏昭『類似と思考 改訂版』(ちくま学芸文庫)、相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(講談社文庫)など、お薦めの本が多々あるのですが、紙幅の関係上ここまでで。読んだことのない分野の本に興味をもっていただき、読書仲間が増えれば幸いです。読書仲間からの連絡お待ちしております。

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