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交通事故紛争の現在と未来

【後編】EDR(イベント・データ・レコーダー)の技術と交通事故紛争への活用

EDR(イベント・データ・レコーダー)をご存じでしょうか。2021年10月施行の改正道路運送車両法により、2022年7月以降に販売される新型車にEDR の搭載が義務付けられましたが、実はそれ以前から、公道を走っている多くの車には既にEDR が搭載されています。このEDRに記録されたデータを引き出して解析するのがボッシュ(株)社製CDR(クラッシュ・データ・リトリーバル)です。このEDR/CDR から得られるデータを用いれば、より客観的に事故の状況を分析することが可能となり、今後、交通事故紛争における事故態様を巡る立証のあり方が大きく変容する可能性もあります。
本号では、ボッシュ(株)認定のCDR アナリストである菰田潔氏に、EDR/CDR の概要と、その活用にあたって弁護士が知っておくべきポイント等を伺いました。

菰田 潔氏 Kiyoshi Komoda
タイヤのテストドライバーからモータージャーナリストに転向。現在日本自動車ジャーナリスト協会会長、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、BMW Driving Experienceチーフインストラクター。2019年9月にボッシュ(株)認定CDRアナリスト資格取得。株式会社ドライビングアカデミー代表取締役。
https://driving-academy.co.jp/

EDRとは何か?

車には、エアバッグを展開するときに、「こういう危ない状況だからエアバッグを開きましょう」と指令を出す、ACM(エアバッグ・コントロール・モジュール)という装置が付いています。この中に記録装置が組み込んであります。これは、運転者からの「エアバッグが暴発した」「エアバッグのせいで怪我をした」といったクレームに備えるべく、車両メーカー及びエアバッグシステムを作っている部品メーカーが、「このような危険な状況だったからエアバッグが開き、ドライバーを守ろうとしたのだ」等、要因を調査できるようにするため、設置されたものです。この記録を事故の再現に活用できないかと考え、事故後の時系列データに加え、事故前5秒ほどの短い時間の時系列データを記録したのがEDR( イベント・データ・レコーダー)の始まりです。これが事故の解析に非常に役立つのです。EDR はほとんどがACM 内に装備されており、ACM 本体は、お弁当箱くらいの大きさで、シフトレバーの下部あたりに設置されることが多いです。
例えば、3台の車が事故を起こしたとします。A車は後ろがへこんでいる、B車は前と後ろがへこんでいる、C車は前がへこんでいるという状況で、どの順番でぶつかったのかを、それぞれの証言が食い違う中で、Bが証明することは、これまで大変難しいことでした。これが、EDR のデータを解析すれば、例えば、初めにB車の後ろに衝突があり、これによってB車が加速し、何秒後にA車にぶつかったのだということが分かります。クラッシュスピード、接近速度、後ろの車が何㎞/h でぶつかってきたのか、衝撃の強さも、データから読み取ることができます。
最近では、ドライブレコーダーを搭載した車が増えていますが、資料のように、EDR には、動画には記録されないような、アクセルを何パーセント踏んでいたか、ブレーキをどのくらいの力で踏んでいたか、クラッシュスピード、ヨー角(YawRate)までもが記録されます。なお、EDRでは、プライバシーへの配慮から、映像と音声は記録していません※1

CDRレポートのプレクラッシュデータ例

ドライブレコーダーとCDR/EDRデータとの一般的な比較

(※1)ただし、一部メーカーでは、駐車時のモニター用に使う前後左右4個のカメラを使い、衝突時の前後各30秒の周辺映像をも記録できるようになっている。この場合も、車内の映像は記録しないことでプライバシーに配慮をしている。

CDRとは何か?

EDR の記録は車のオーナー、ドライバーに所有権のあるデータですが、データを活用するためにはEDR 装置からデータを読み出し、車のコンピュータ言語で書かれた16進数記録を、人が読めるレポート形式に変換する必要があります。その市場標準ツールがボッシュ(株)社製のCDR(クラッシュ・データ・リトリーバル)です。
 かつて、アメリカでプリウスが暴走したということでトヨタの豊田社長が公聴会に呼ばれて説明をしたことがありました。この際、トヨタは、「うちのEDR データでは、プリウスは暴走していませんでした」と説明したのですが、公聴会で指摘されたのは、「あなたは自社の車を自社で解析して暴走していませんと言っているだけです。どこに透明性があるんですか」ということだったそうです。これ以降トヨタの車は、EDR で記録できるデータ量も世界一の水準に増やし、かつ、公平に透明性を持った形でデータを活用できる環境を作るため、トヨタと資本関係のないボッシュ(株)が開発・販売している、業界の標準ツールであったCDRでの読み出し対応に切り替えました。
トヨタのほか、現在既に、国産だとスバル、三菱、一部の車種で日産、外国車だとGM 系、FCA のジープ、アルファロメオ、フィアットの車には、CDRで解析可能なEDRが搭載されています。

CDRとは?

日本でのCDR対応メーカーについて

米国市場でのEDR搭載メーカーCDR対応カバレージについて

CDRアナリストとCDRテクニシャン制度

自動車部品メーカー最大手の日本法人であるボッシュ(株)では、CDRツールの販売のほか、EDR の記録を正確に読み出し、解析を行うためのトレーニングと、認定制度を設けています。この認定を受けたCDRアナリストという資格者は、現在約300人に及びます。私もそのうちの一人です。科捜研、科警研、損保会社、自動車メーカー、研究機関等にも、CDR アナリストの資格を持った人が複数在籍しているようです。
しかし、交通事故数に対して、圧倒的にCDRアナリストの数が不足しているという問題があります。地方の事故の場合には、現場に急行するだけでも数万円の交通費が掛かってしまうなど、EDR の記録の利用が現実的には難しいといった現状があります。
そこで、ボッシュ(株)では、昨年12月から、新たに、解析のトレーニングは受けないものの、EDRからデータの取り出しができる資格である、CDR テクニシャンという認定制度を創設することとしました。2日ほどのトレーニングを受けて修了試験に合格すれば認定を得られますので、CDR テクニシャンが数千人規模に増えて、アメリカでは既に当たり前となっているように、事故が起きたときに、すぐに現場に駆けつけてEDRの記録を取り出せるようになればと期待しています。
将来的には、各県警にもテクニシャンが配置されるようになり、弁護士の先生の中でも、テクニシャンの肩書を取得される方も出てくるかもしれません。事故が起きたときに、自分で現場に駆けつけてデータを抜くことができると格好良いですね。
なお、CDRテクニシャンは、パソコンを持って、CDRを利用してEDRからデータを引き出しますが、ここで引き出したデータは、乱用を避けるため、正しく読み出せたかどうか、作業を行った会社、日時等の情報と16進数データのみが表示され、解析に必要な情報はレポート化されないようになっています。CDR テクニシャンは、解析のトレーニングは受けていませんので、誤ってデータを解析できないようブロックがかけられています。
概ねコストとしては、データを車から取り出すのに5~6万円が掛かります。更に、CDR アナリストによるデータ解析には、事案の複雑性により料金が前後することもありますが、基本的な解析であれば、40~50万円が掛かると思っていただければと思います。弁護士費用特約が付いていれば、十分にその範囲内で賄える出費であろうかと思います。

法改正による2022年からのEDRの搭載義務化

アメリカでは、従来、保険会社のアジャスターと呼ばれる専門職が、事故を調査して過失割合を提言するという仕組みが採られていました。しかし、2000年頃からEDRデータを活用した事故調査が広く採用され始め、2012年からは、自動車ユーザーが皆EDR データを活用できるよう、EDR 搭載車両にEDR 記録項目の標準化とCDRのような市場で入手可能なEDR 読み出し機器の提供を自動車メーカーに義務付けました。これにより、おそらく現在のアメリカの新車の90% 以上は、ボッシュ(株)のCDR でEDR データの読み出しが可能だと思います。アメリカは訴訟大国なので、自分たちを守るためにカーメーカーがボッシュ(株)のCDR で市場対応を進めてきたようです。これにより、現在、多くの事故調査で活用されることとなり、事故が起こったときは、まずEDRのデータを確認することになりました。
国連WP29という会議においても、電子化された車の事故時の調査において、ドライバーの操作ミスなのか、システムのエラーなのかを明確にする必要があるため、2022年7月に全世界共通の国連法規としてEDR の搭載義務化が導入されることが決定しました。その会議を主導していたヨーロッパも、2022年7月にEDR の搭載が義務化されています。
日本でも、以前から車の電子化に伴い、EDR搭載とCDR での読み出し可能なメーカーが増えていましたが、国連法規化に合わせ、本年7月以降に発売する新型車については、道路運送車両の保安基準が改正され、乗用者から中型の商用車まで全てEDR を搭載しなければいけないことになりました。
ただし、今回法制化されたのは、EDR を搭載しなければならないということのみで、アメリカのように、カーメーカーに対し、読み出し機器の市場での供給については法制化されていません。CDRに対応していないのであれば、EDRが搭載されても意味がないので、この点は、今後はっきりと法制化されるべき点であると考えています。

国際法規化動向

国土交通省改正概要2(1)

EDRの記録範囲

EDRは、衝突直前5秒前から、衝突後、原則として0.25秒(最大値は0.3秒)までの連続したデータを記録しています。車が横転した場合には衝突後2秒まで、マルチクラッシュで衝突後5秒以内に新たな衝撃が加わった場合は、それも連続して記録できます。記録メモリーがあれば5秒以内に限らず、車の電源が消失するまで、連続記録できます。
通常の運転をしている間は、データは保存されることなくそのまま消去されていきますが、事故のようなイベントがあると、その直前・直後の記録データが保存される仕組みになっています。

イベントデータレコーダーEDRの記録範囲

EDRが交通事故紛争に与える影響

今後EDR が浸透すれば、交通事故紛争における弁護士の皆さんのお仕事も、事実に関する争いではなく、評価の問題にシフトしていく可能性があるのではないかと思います。
また、保険会社のいわゆるモラル案件、つまり自分でわざと車をぶつけて保険金をもらおうとするといった案件や、衝突被害軽減ブレーキの搭載された車両等の調査でも、更にEDR のデータが活用されるようになっていくと思います。EDRのデータを見れば、何回も自らぶつかりに走行していることや、衝突前にブレーキを踏まず加速をしていることがすぐに分かります。
ドライブレコーダーであれば、設置しているのに「設置していなかった」、「起動していなかった」などと主張されたり、SD カードを抜き取られてしまったりすると記録を確認できませんが、EDR は車の内部に搭載され、自動的に記録が残されているものですので、そういった問題も生じません。また、記録されるデータは全て16進法でとても複雑であるうえ、改ざんされた場合も、その根拠を追跡可能ですので、アメリカ、日本でも改ざんに成功したケースはないようです。

実際の事件での活用

2019年に発生した池袋の暴走事故では、トヨタが「車両に異常や技術的な問題は認められなかった」との異例のコメントを発表しましたが、これは、トヨタの協力の下、警察側もEDR を確認したからこその発表だと思います。
また、2018年に発生した、被告人がトヨタの車を急発進させ、通行人をはねて死亡させたという刑事裁判でも、弁護人側は、ブレーキを踏んだのに車が暴走したと主張し、EDR の記録の証明力を争いましたが、EDR には、ブレーキではなくアクセルを踏んだ記録がしっかり残っており、弁護人側の主張を排斥したということがありました。こういった事件においては、EDR の記録がなければ、車の暴走の可能性を否定することは難しかったと思います。
他方、刑事、民事ともに、アメリカでは既に相当数の活用がなされていますが、日本では配備台数、アナリストの数が少ないこともあり、これまで高額案件や重要案件のみに活用が限定されていました。本年のEDR 搭載義務化の動きもあり、今後の活用が期待されます。

実際の事件での活用

EDRデータ読み出しの限界

EDR も、事故の前後一定の時間しか記録が保存されないということは前述したとおりですが、同様に、CDRには、一定の限界があります。
我々がデータを読み出すにあたっては、運転手か車のオーナーの許可が必要だという点です。刑事事件で、警察の捜査権がある場合は別として、勝手にデータを読み出すということはできません。
ですので、弁護士の皆さんがEDR を活用したいと思った場合に、自分の依頼者の車のEDR の記録であれば読み出しに問題はないかと思いますが、相手方の支配領域にある車の記録を確認したいと考えたときには、相手方の許可が得られるかという問題がどうしてもついて回ることになってしまいます。
双方の言い分が食い違う場合には、話し合いの中で、「そこまでおっしゃるのであれば、きちんと透明性を持って、客観的に本件を片付けるためにもEDR データを確認しましょう。すぐにこちらから専門の人を送ってデータを読み出しさせてもらいますので」等と相手方を説得する必要があるかと思います。その方が早期に事件も解決できるはずです。データの読み出しができる人がいなければ、私宛に連絡をいただければ、対応いたします。
また、事案によっては、保険会社が既にデータの読み出しをしている可能性もありますので、この点の確認もしてみた方が良いかもしれません。

EDRデータ読み出しの限界

EDR活用における留意点(1)─ 記録保存の限界

また、EDR を活用するにあたり、いくつか留意いただきたい点があります。先ほども少し触れましたが、EDR の記録は、エアバッグが展開した場合には、まず間違いなく残され、メモリーにフリーズ(消されない状態で)記憶されます。また、エアバッグが展開していなくても、ある程度以上の衝撃があれば、記録が残りますが、車ごとに若干異なるものの、記録が残るのは、概ね1000分の20秒でスピードの差が0.8㎞ /h 以上出たときといった水準です。これを下回る衝撃しか生じなかった場合には、衝撃が生じた場所にもよってきますが、記録されません。また、記録できる件数を超えると古い記録は新しい記録に上書きされ、削除されてしまいます。
「こういった事故なんですけど、記録は残っていますか」といった質問をよく受けるのですが、まず間違いなく残っていると言えるのは、エアバッグが作動した場合のみです。それ以外の場合には、やってみないと分からないのですが、記録が残されていない可能性もあらかじめ認識をしておいていただければと思います。
また、もう一つ留意いただきたいのは、よく警察の方々に講演をする際に申し上げるのですが、物損事故の場合であっても、後から人身事故に変わる場合が多々あるかと思います。ですので、物損のときでもEDR のデータはとりあえず取っておくよう推奨しています。先ほども述べたように、古い記録は新しい記録で上書きされることがあります。データの取出し自体は、5~6万円でできますので、後で解析までするかどうかは措いても、とりあえずデータを取り出しておいた方が良いと思います。

EDRデータ読み出しの限界

EDR活用における留意点(2)─ 解析結果の検証の必要

EDRデータは、客観的なデータではありますが、解析にあたっては、いくつか難しい点があります。
まず、EDR データには、最低限の表示規格がありますが、多くのカーメーカーはそれ以上の内容を記録しており、全世界のカーメーカーごとに方式が異なるという点です。ですので、CDR アナリストは、GM方式、クライスラー方式と、メーカーごとの方式を全部勉強しなければなりません。
また、出てくるデータの形も、事故形態が100件あれば100通りなので、データからどのような事故だったのか、頭の中で想像しながらの解析が必要です。車の安全システムが検知する限られた、また1000分の1秒かそれ以下の非常に細かな時間のデータをもとに物理法則を用いて現実に起こった事故を再現するという高度な技術であるため、やはり人間の推認の過程はどうしても必要になってくると思います。例えば、冒頭のA、B、C の車の事故でも、後ろからぶつけられてBの車が加速して何メートル進んで止まった、ということを、EDR のデータ外の車間距離や車の長さなども考慮しながら読み解いていく必要があります。EDR の中にあるデータにプラスしてデータの外の世界の情報を合わせて初めて分析が可能になるのです。車もどんどん進化しており、いわゆるサポカーでは、レーダーとカメラで前方にある物体を特定できるようになってきているので、今後はこのあたりもEDR のデータ上に反映されるようになりますが、システムが検知した内容を精査するためには人間の推認と判断が欠かせません。現場に行ったり、写真で現場の様子を確認したり、というアナログな作業も必要だと思います。
もう1点、気を付けなければならないのが、過去にも事故を起こした車であれば、その後の事故時に、車が元通りの形に直っていたかという点です。最近の車には、前方にレーダーやカメラ等、色々なセンサーがいっぱい付いているので、前方をちょっとぶつけただけで100万円以上の修理代が掛かる場合もあります。センサーキャリブレーション、俗名エーミングとも言われますが、車を修理する場合には、これらのセンサーのズレを修正して、キャリブレーション、すなわち正しい値をシステムに覚えさせる必要があります。
このエーミングがうまく行われていたかどうかは、今後は明確になるようですが、現状のEDRのデータからは分かりません。この点は、事故歴があれば、どこでどのように修理をしたのか、修理の履歴を確認し、そこで正確なエーミングがされているのか確認をしながらデータを解析する必要があります。エーミングは、ボッシュ(株)の認定工場や一部のディーラー等、専用の機械が整備されている修理工場でないとできませんので、そういった工場で修理されていないのに、「エーミングしました」と書いている場合には、疑ってかからなければなりません。
このように、EDR の解析には、経験値や、車の知識、物体の運動法則等の様々な知識が必要であり、解析する人のセンスによる部分が大きいと思います。ですので、例えば相手方からEDRデータの解析結果が提出された場合も、その内容を直ちに鵜呑みにせずに、こちらでも元データを確認して、別の結果が導き出される可能性がないかを検証し、反対の意見書を提出することも考えなければなりません。データは同じでも、見解が違うということは十分にあり得ます。
なお、裁判官の皆さんの中には、車を運転しない方や理系の分野の事柄が苦手な方もいらっしゃるかもしれません。解析結果を示した報告書だけでは内容を理解できないという場合には、もう少しかみ砕いた説明を付け加えたり、場合によっては、私が裁判所に直接出向いて説明をしたりということも、対応は可能です。

CDRアナリストの前提条件

レポートサンプル

レポートサンプル

レポートサンプル

レポートサンプル

EDR活用における留意点(3)─ バージョンの確認の必要

データの解析にあたり注意しなければならないのは、記録にはバージョンがあるということです。先ほど申し上げたように、EDR のデータが16進法で記録されるということは変わらないのですが、そのデータを変換するソフトウエアにバグなどが生じた場合には、メーカーがこれをどんどんバージョンアップして修正していきます。
データの解析にあたっても、どのバージョンで解析をしたかによって、結果も変わってくる可能性があります。通常、解析結果の報告書には、例えば「クラッシュ・データ・リトリーバル・ツール21.0」等と記載がありますが、現在(インタビュー時)の最新バージョンは21.3です。相手方からこのような報告書が証拠書類として提出された場合には、最新のバージョンである21.3で解析をした場合にも同様の結果が出るのか、突っ込みを入れることができる可能性があります。この点は、知らないと指摘もできませんので、認識しておいた方がよいかと思います。

EDRの今後

EDR の記録の内容も、今後ますます進歩していくと思います。トヨタでは、記録されるメモリー数・項目をどんどん増やす開発を進めているようです。
CDR テクニシャン制度も始まりましたし、今後EDRの認知度が更に高まり、活用が広がれば、これまでにない公正・客観的なデータとして、アメリカのように、民事事件、刑事事件いずれにおいても、EDR のデータが証拠として提出されるのが当たり前になっていくのではないかと思います。モラル案件をはじめ、一般的な事故の調査なども、速やかに解決できるようになるはずです。
ただし、利用にあたっては、これまで述べたようにいくつか留意しなければならない点があります。まず、事故後可能な限り早くデータを保全する必要があること、データの解析結果に対しては検証の余地があること、バージョンの確認の必要があることは、弁護士の皆さんがEDR を使いこなすようになるために、しっかり押さえておくべき知識ではないかと思います。  

EDRの今後

資料提供: ボッシュ(株)