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花水木

世古 修平 Shuhei Seko (66期)

NF202206_hanamizuki.jpg 弁護士数の増加に伴い、企業内でインハウスとして働く弁護士の 数も増えてきました。当会においてもインハウスの先生方が一定数 おられることと思います。かくいう私もインハウスなのですが、少し変わった働き方をしているので、今回はそのことについてお話ししようと思います。

勤務先・所属先

私は現在、インターネットサー ビス企業のセキュリティ部門でインハウスの弁護士として勤務をしながら、法律事務所に所属してプライベートプラクティスにも取り組んでいます。
勤務先では、法務部門ではなくセキュリティ部門に所属しています。元々セキュリティやプライバシーに興味があったのですが、勤務先ではセキュリティ部門が独自に弁護士の採用を行っており、個 人情報保護法や電気通信事業法のような法律をピンポイントで担当しています。普段の業務では法務部門と協業することになるのですが、彼/彼女たちの守備範囲の広さにはいつも感謝しています。安心してパスを出せる法務部門が隣にいてくれるおかげで、セキュリティ部門の私は特定少数の法律だけをやや趣味的に楽しみながら取り組んでいます。
続いて所属先の法律事務所です。弊所に勤務する弁護士・弁理士は、事務所以外にそれぞれインハウスとしての勤務先を持っています。所長は「兼・副業型事務 所」と言っています。

働き方

平日日中はインハウス、平日朝 夜・土日で事務所の仕事をしています。会社側での制約(就業規 則、副業誓約書)や弁護士側での制約(弁護士法、弁護士職務基本 規程)の関係で、できない仕事もそれなりにあります。訴訟を中心に仕事を回すことは難しいので、企業相手の「こと」が起こる前の事前相談が中心です。

どのような点にメリットを感 じているか

やりたい仕事だけを選んで仕事 ができることにメリットを感じています。
中堅・ベテランの先生方は法律 事務所だけでも、やりたい仕事だけで食べていくことができるのだと思います。他方、若手の場合はなかなかその領域に到達することが難しく、

  • 食べていくためにやりたくない仕事を受ける
  • 顧問契約を取りたいがために、顔色を伺ってディスカウントをして仕事を受ける
  • 結果として業務時間が圧迫され、本当にやりたい種類の仕事を受けられない
といったことをしてしまいがちではないでしょうか(私の話です)。
インハウスと事務所との兼業の場合、インハウスとしての仕事が多くの部分を占める代わりに、(会 社員としての)生活に困らないだけの収入を得ることができます。とても太い顧問契約があるようなイメージでしょうか。そしてその収入は、労働法により守られている訳です。
そのため、インハウス以外の部 分は「やらなくても生活には困らない仕事」という性質を帯びることになり、「自分の趣味の時間・ 家族との時間を削ってでもぜひやりたい仕事」という位置付けに なってきます。
中堅・ベテランの先生方から見ると些かスケールの小さな話かもしれませんが、私は今の働き方をとても気に入っています。弁護士 増員時代において、若手が四苦八苦しながら良き働き方を模索する 事例として楽しんでいただければ幸いです。